#27 問題発生
今まで投稿した分の見直しをしています。
おかしい文章が多々ありますね、読みにくくてすみません。
それから1週間、物色という名目で引きこもっていたらカグヤが困った顔で俺を呼び出した。
「少し、問題が発生しました」
今現在俺も問題抱えてるぞ。
何買うのかあんまり決まってない。
今も現実逃避でネットを見てた。
「そちらは最悪買わなくても何とかなりますので、現実逃避をやめてこっちの話を優先してください」
はいよ。
とりあえず着替えて環境に艦橋に向かう。
「オークションに出していたワインですが、出品が利用規約に反する恐れがあるということで出品を取り消されました」
「公営のほうで?」
「両方です」
「何が原因で?」
「詐欺の疑いがあるということです」
なるほどそういうことですか。
「鑑定書をつけておりますが、売り手の管理頭脳だけでは信頼性に欠ける。未知の惑星のコンテンツがあるからと言ってワインまであるとは限らない。適当なワインを高額で売りつけようとする詐欺の可能性が高い、と利用者からクレームが入ったそうです」
信じられないと困惑するカグヤを尻目に、まあこんなこともあるわなと頷く。
初めてこの惑星にきた人間の出品が信用できないというのはわからなくもない。
これは本物です、素晴らしいものですと偽物の骨董品を騙されて買うなんてよく聞く話だ。
「しかしこれは完全に本物ですよ」
「そうだな。でもそれを手間かけて証明してまで売らなくてもいいさ」
「……よろしいのですか?」
「別に元々試しにって感じで、どの程度の反応になるのかを知りたかっただけだしな。コンテンツのほうはそれなりに売れて金の心配はないんだろう?」
「ええ、そちらのほうは好調……というより大絶賛で空前の売れ行きで、このままだとちょっとした資産家になれますが……」
ちょっとした資産家の基準がわからない。
「まあここに永住するわけでもないし、買えるだけコンテンツにして別の惑星ってとこか。……今さらだけどデータの容量が圧迫されるから購入を控えたほうがいいとかあるの?」
「その点はご安心を、例えこの惑星のデータコンテンツをすべてダウンロードしても全容量の1%にもなりませんので」
なんとなく最大容量は大きいのだろうな、ということだけは伝わってきた。
「じゃあなんの問題もないな。ワインが売れなくて金に困ることもないなら気にすることもないさ」
「船長がそうおっしゃるなら……」
「ちなみに評判とか値の上がりかたはどうだった?」
「最初の数日は本物かどうか半信半疑という感じでしたが、ワイズのコンテンツが売れだしてからは難破船で手に入れたに信憑性がでてきたのか10万、100万単位で値上がっていきだしました」
この星の物価や貨幣価値がわからないからピンとこないが日本円として考えたら大したもんだ。
ドルならもっとすごいが逆の場合もあるから一概にはいえないが。
さっきから詳しい部分はさっぱり理解していないが、とりあえずしたり顔で会話を続けている。
なんとなくのニュアンスさえわかればいい。
詳しく知ると違う心労が増えそうだしな。
「ワインの愛好家のコミュニティでは連日この話題で持ちきりで、盛り上がっていますよ。真贋もそうですが、オークションがだめでも直接交渉でいくら積めばいいか? とかもありました」
「価格がどんなもんになるかが見たくてオークションだしたのに、直接交渉って言ってもなぁ。……てか問い合わせがあったの?」
するとカグヤは画面の右端により、中央部に問い合わせ一覧の画面を表示する。
「ワイン絡みもありますが、一番多いのは近隣の惑星のコンテンツの続きはないか、大翠の欲しいものを取り寄せてくれないか、という問い合わせですね」
「これって返事してるの?」
「いえ、これは要望フォーラムですので特に対応は。あとでこれを見てもらって、こういったものを欲しがっている人がいるというのを知ってもらおうと思っていました」
「それだけか? 個人的な依頼を受けるってことはないんだな?」
「たまに直接コンタクトをとって依頼してくる人もいるそうですし、積極的に受ける人もいるそうですが」
船長はどちらですか?
そんな目をしなくても答えはわかるだろう。
「基本的に無視したい」
「ちなみに理由は?」
「キリがないからな。こちらは『まあたまには善意で一度だけ』と要望に応えたつもりが、相手としてはそうは取らないからな。金を払ったら自分は客だという意識になるし、一度してくれたなら二度目もってな。それが口コミで広がって別の人間が『あいつにして自分にしないのはなんでだ』とか言ってくるのが目に見えてる。するのは手間がかかる、断れば評判は下がる。特別対応ほど割に合わないものはないよ」
生前どんだけ苦労したことか。
上が付き合いでとってきた特別対応は金にならないし、仕事を休日返上して対応する羽目になった。
それが定期的になることの辛さったら。
「船長の言い分はもっともだと思います。今度ここに立ち寄る時に手に入れられたらもっていこう、くらいのスタンスが無難ではあります。まあ先を越されて他の人が売って売れないということも多々ありますが」
「その程度の赤字ならましだと思うがな。そもそもそういうのは定期便がする仕事だろうが」
この惑星には不定期便しかないとしても、それを俺がすることはあるまい。
そんなことしてたら女神さまにキレられると思うぞ。
アホくさいと手を振って拒否する。
カグヤは言葉を発しようとしたが何かに気が付いたような顔をし、若干の思考、そして俺を見る。
「船長のおっしゃることはもっともです。たまにならともかく、ずっとそんな生活をしていたら確かに創造主はお怒りになるかと。でもそういう個別対応こそトラブルの種があり、そこから始まるのがスペースオペラの一幕たり得るのではないのでしょうか?」
いやな言い回しだな。あんまり聞きたくはないのだが。
「トラブルの種がやってきたようです」
カグヤはニコリとほほ笑んだ。