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#249 想いは奇跡の鐘を鳴らす 2

「アキラ、良く来てくれました!」


 とりあえず入国管理局にいつものように入国手続きしようとすると、シンから俺らが来たときの対応は申しつけられていたのだろう、丁重に扱われほどなくしてシンが通信に現れる。


 お久しぶりです、シン様。

 ご無事なお姿を拝見して安心しました


「それもあなたのお陰です。礼を言わせていただきます」


 と、画面の少女は微笑む。

 一瞬誰だよ? と思うほどの美少女だ。

 自分で短くした髪はきちんと整えられ、丁寧にケアされて輝くような金髪となり、痩せていた体も女性特有の柔らかな丸みを帯びている。

 表情も張りつめられたものがなくなったのだろう、穏やかになったように見える。


 事件は無事解決した、でよろしいのかな?


「はい。一応の決着は。アキラの予想通りこの国に犯人がのうのうと暮らしていたというのに、……私はなんと無駄な時間を過ごしたのでしょう」


 口惜しそうにほぞを噛む。


「しかし犯人が叔父上だったとは。信じられずに困惑しています。今まで皇位に興味を示したことがないというのに」


 権威というものはそういうものかもしれないな。

 第一継承権の皇子が試練を突破してしまえばよほどのことがないと覆らない。

 手に入らないと思ったら惜しくなったのかもしれない。


「……そうなのかも、しれませんね」


 野心に気がついていればなにか手を打てたかもしれないが、今となっては考えるだけむなしい。

 死者は甦らないのだから。

 せめて丁重に弔い、残されたものが今後少しでも幸せになるべく生きるべきだろう。


「アキラは相変わらず優しいですね」


 一般的な社交辞令のつもりだけど。


「それでも言うべきタイミングでキチンと言ってくれる。……私はそれがとても嬉しい」


 偶然なんだが?

 でもまあ嬉しいならあえて否定することもあるまい。


「ポーラにも面倒をかけました。あの時私は苛立っていたとはいえ……」

「いえ、私もシン様には失礼なことを申しました。謝罪せねばなりません」


 と二人でひとしきり謝罪して笑い出す。

 仲が良いならそれでいい。


「ウサギたちの返却ももちろんですが、そなたたちに礼をと……」


 そう言いかけてモニターのシンが怪訝な顔をする。


「その子は以前はいなかった気が? その子もレーティアと同じく管理頭脳ですか?」


 いや、ウチはウサギだの幼女の管理頭脳ばかり持ってるわけではないんですよ。

 ニーナ、ご挨拶しなさい。


「初めまして。ニーナです」


 とペコリを頭を下げた後、「お父さん、これでいい?」と問う。

 うむ、ニーナ、完璧だ。

 ハナマルをやろう。


「ニーナ、頑張った」

「いや、マスター。ニーナに甘すぎだよ」


 レーティア、俺は甘やかして育てるタイプだ。

 

「せめて褒めて育てると言ってよ!」


 と俺とレーティアで教育論を語っているとシンの顔色が変わる。


「え? お父さん? ってことは子供ってことで……」

「あのシン様?」

「ポ、ポーラ! 母親は?」

「シン様! 落ち着いてください!」

「ま、まさかポーラか?」

「違います!」

「でもあの時言われてみたらお腹が少し大きかったような」

「シン様! それはあんまりです!」


 うん、それはひどいな。


「それにこの子は9歳です。あのとき産んだ子なら歳が合いません!」

「でもあの時見なかっただけで、実はずいぶん前に産んでいたのでは?」

「私はまだ17です! それなら8歳の時の子になりますよ!」

「アキラ! 8歳の子に手を出したのか!」

「シン様!」


 俺そんな目で見られてるのか?

 俺はロリコンではないのだが?


「お父さん、あの人とお姉ちゃん、なに言ってるの?」


 なおも続く、ポーラとシンの会話についていけないニーナが俺に訊ねる。

 そういやこの子はクローンだから性教育はどうなっているんだろうか?

 月に同性のクローンしかいないとそんな知識はないかもしれない。


「船長、考え込んでないでそろそろシンシア様に状況を説明してください」


 いやカグヤよ、なまじ俺が言うより、ポーラにやらせろ。

 それも経験さ。

 そんなことよりニーナの性教育のほうが先ではないか?


「いや、それこそ後回しで。あとで私が教えておきますから」


 そうか、……そうだな。

 俺が下手にすると犯罪臭が漂うしな。

 のちに「お父さんの不潔! 近寄らないで!」って言われたらショックで寝込むことになるからスルーしようか。

 ということでニーナ、あとでカグヤに聞きなさい?


「うん、わかった」


 あと、お父さんは無実ということだけは覚えておきなさい。

 お父さんはこと女性関係には誠実で、特殊性癖もありませんと。


「よくわからないけど、わかった」


 とニーナが頷いてくれたので一安心。


「いえ船長。こっちじゃなくていい加減にあっちをなだめてください」


 ポーラとシンを指さすが、もういいんじゃないか?

 面白いから放置でも。




「す、すみません。少々取り乱しました」


 と恥ずかしそうに顔を伏せるシン。

 少々ね、……まあお気になさらずに。

 釈明に成功したがお腹をさすって気にしているポーラはとりあえず放置しよう。


前話で新ジュメルと表記すべきところを旧ジュメルと表記していました。

訂正させてください。

この星にいるのは新のほうです。

旧のほうは5話で説明します。



シンはよくよく考えたら再登場した人間は初めてかな。

人間でなければ女神と蒼龍が一瞬くらいで。

この作風だとキャラは再登場させにくいからもったいないキャラもいるんですがね。

そういえばそのためのスピンオフでしたが。



ちょっとどうなるかわからないのですが念のための連絡を。

家庭の事情で緊急に2、3日遠方に出かける可能性があります。

そのときにはバタバタしていてツイッターで報告はできるでしょうが、こっちでは無理そうなので一応。

1日更新されなかったら2,3日帰ってこないと思っておいてください

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