表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

255/316

#243 ニーナの帰還

「お父さん、ただいま」


 はい、お帰り。


 ニーナ、ポーラ、レーティアがイザヨイに帰還する。

 さて今回の1番の懸念はニーナである。

 決してミナヅキやらアヤノがどうする、どうなったではない。


 ニーナの2度目の地上はどうだったか?

 この子は俺と同じく引きこもりの道を歩くのか、はたまたリア充の道を歩くのか?

 重要なのはそこである、最重要だ!


「地上に降りたくらいでリア充扱いされてもさ」


 とレーティアは若干呆れ顔だが世の中そんなものである。

 引きこもってリア充などあり得ないのだから。


「イヤな理由だよ、力説しないでほしいよ」


 となぜかレーティアはあきれ顔だ。


「やや、マシ」


 俺の興味に相変わらず無表情でニーナは返事をする。

 なるほど高評価だな。


「チョイ待って! むしろ微妙な評価じゃない?」


 レーティアが突っ込みをいれるがこれは正当な判断である。

 前回、地上に耐えきれずに帰ってきた子が最後までいた上にややマシという評価なら上出来だ。

 俺なんてやっぱり宇宙船が1番という感想だぞ。


「お父さん、それはニーナも一緒」


 そうか、やっぱりイザヨイが一番だよな。

 俺の言葉にニーナは頷く。


「地上に行くことで再認識」


 実家の母親が旅行から帰って言うような台詞だな。

 俺なんかは徹頭徹尾その認識だぞ!


「お父さん、凄い!」


 だろう、ハッハハ。


「まずどこからツッコミをいれるべきか悩みますね」

「でもとりあえず地上に滞在できたことを素直に喜びましょうよ」

「ニーナに関してはね。あとはマスターなんだけど」

「それは長期計画ですから。とりあえずはニーナを悪影響から守りましょう」

「そうですよね」

「OK」


 と、なにやら外野がやかましい。


「でもニーナ。ホテルから外を眺めていたと聞きましたが、それだとモニターから見るのとあまり変わらなくないですか?」

「そんなことはない」


 カグヤの問いにニーナは首を振る。


「私もカグヤさんと同じことを思ったのですが、見てて飽きなかったようなんです」

「構図まで考えられた映像より、そのままのほうがリアリティーとかライブ感があったみたいなんだよ」


 と補足するポーラとレーティア。


 よくわからん世界だが、まあいいよ、なんでもさ。

 ホテルに缶詰めでも問題はないさ。


「違う」


 何が?


「ご飯、食べに行った」

「キャプテンのアドバイス通り色々な名店行ってきたんですよ」


 ああ、そうだったな。

 気にいったのあったか?


「神託のカルボナーラ」


 なんだよ、その二つ名みたいなメニューは?


「これですね、惑星ヤクモでパスタ№1の店の一押しメニューです」


 カグヤがモニターに表示してくれる。

 平麺にベーコンとポーチドエッグの乗ったカルボナーラだが見た目は普通だが?

 

「紅蓮のミートソースも良かったけど、神託には一歩及ばない」


 とよく見る感じのミートソーススパゲティが画面に表示される。

 まあテツジンのラーメンも見た目は普通だったからきっと味が凄いんだろう。


「私は雷鳴のペスカトーレが好きです」


 どうでもいいけどその二つ名は必要なのか?


「強そう」


 いや食べ物に強さは必要ないかと。


「おいしかった」


 まあならいいや。


 美味かったのはパスタだけか?


「おうどんも食べた」


 それも二つ名付きか?


「ギガント肉うどん」


 器を埋め尽くす肉がうどんどころか汁すら隠している。

 

「ギガントきつねうどんも甘くておいしかったけどギガント肉うどんが強い」


 器に蓋をするかのような大きいアゲ。

 ここは具のメガ盛りの店か?


「そうですね、具がとにかく多かったです。でも味も良かったですよ」


 ちなみにポーラはギガント海老天うどんだったそうだ。

 大丈夫、予想通りだ。



「焼きそば」


 蕎麦ではなくそっちか?

 あといきなり名前が普通になったな。


「マスターのいうところのお蕎麦も食べに行ったけど、ニーナには合わなかったみたい」

「食感が苦手みたいでしたよ」

「ボソボソする」


 別にアレルギーではないんだろう?


「そこは大丈夫」


 そうか、まあ合う合わないはあるから無理して食わなくてもいいさ。

 でもって焼きそば?


「そこから帰る途中に屋台が出ててね、ソースの香りに惹かれたみたい」

「お父さん! ソース焼きそば、最強! 超最強!」


 とニーナが珍しく語気が強い。

 ちなみに焼きそばには二つ名的なものはないのか?


「一子相伝とか門外不出とかあったよ」


 と教えてくれるレーティア。

 聞いておいてなんだがあるのかよ。


「こう名前でインパクトつけるのがこの国のスタイルみたい」


 テツジンのとこのラーメンにも二つ名あったんだろうか?


「戦慄のラーメンだったそうですよ」


 とカグヤ。

 てかあったのかよ。

 聞かなきゃよかったよ。

 

 まあいいや。

 で、ニーナ。

 焼きそばは何が美味かった?


「お父さん、焼きそばは最強なの!」


 と、この子にしては珍しく興奮気味に言う。

 でも残念なことに俺にはその興奮が伝わらないのだが?


「えっとね、マスター。どうにもどこのお店の焼きそばも気に入ったようで甲乙つけられないらしいよ」


 なるほど、はまったのか。


「お父さん、焼きそば、好き?」


 よく食ってたよ。

 焼きそば、焼きうどんって俺がつくれる数少ない料理だったからな


「焼きうどん!? おうどんも焼けるの?」


 焼けるよ。

 ホルモン焼きうどんとか俺好きだったよ。


「食べたい! レーちゃん、検索して!」

「え? 今から?」


 珍しくテンションが上がるニーナ。

 レーティアが判断を仰ぐように俺を見るのでゴーサインを送る。

 ピンクに作らせてもいいがせっかく地上に降りたがったのだから連れていってやれ。


「わかったよ」


 

 ……しかし、ニーナは俺と一緒で引きこもりだと思っていたのになあ。

 さみしいもんだな。

 なあカグヤ、親離れってこういうことかな?


「いえ船長、それは違うかと」


ポーラ、レーティアも一緒に帰ってきましたがタイトルは「ニーナの帰還」です。

1話挟んで「続・ニーナの帰還」が予定されていますw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 二つ名付きの料理名w 「来世は公務員になりたい」レベルではないだけマシだぞ、船長w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ