表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/316

#25 異星人とのファーストコンタクト(後編)

 その後は話が進み、早速コンテンツのアップロードも始まった。

 その辺はカグヤに丸投げだ。


 他の惑星だとコンテンツが売れる度に手数料などや税金が発生するところもあるらしいが、この惑星では他星系のものだと免除されるという。

 需要と供給の関係で、供給が少ないこの惑星ではそういうところを優遇してくれるらしい。

 だがこの惑星からコンテンツを買う、食糧や資源、工芸品や貴金属を買う場合は税金がかかる。


 それとは別に出国手数料が発生する。

 入国時には金がないことを想定して稼いだ後にとるのだそうだ。

 まあこの辺はカグヤから聞いていたことと大きな違いはない。


「あとオークションサイト的なものがあれば紹介してもらいたいのですが」


 これは俺の思いつき。

 人が豊かに暇を持て余しているなら好事家的な人もいて、金をいくら払ってでも手に入れたい人種はいるのではと。


「いいですよ。公営と民間がありますが」


 気安く返事が帰ってくる。

 安心安全の公営、利用者が多い民間があるらしい。

 さすがに公務員だけあって裏とか闇とかの違法オークションは教えてくれなかった。


「何を出品されるのですか?」

「さきほどの話の続きになるのですが、その宇宙船にはワイナリーがありまして、文字は読めないので管理頭脳に解析させたんですが最低でも300年以上のもののワインが何本もありまして」

「300年ですか?」

「ええ、驚きました。試しに一番若いのを一杯飲んでみましたがとても深く重厚な味わいでした。私の顧客にもワイン好きの方々もいらっしゃって自信をもって販売できる逸品ではあるのですが、さすがに300年ものだと値も張りますので、少しずついろんな国に提供していっているのですよ。この惑星にもワインの愛好家の方がたくさんいてくださると嬉しいのですが」

「著名人でワイン好きを公言している人は多いですよ。ウチの首相も好きだったような」

「そうなんですか? 本当なら友好の証に送るべきなんでしょうけど」


 賄賂ともいう。

 とはいえ辺境というのだから友好を育んだところでそこまで利点はないだろう。

 今後はともかく今のところは。


「贈り物には高価すぎて、何かやましいことを頼むのかと勘違いされそうですしね」


 おどけて肩をすくめる仕種がツボにはまったのか、茶髪の青年は笑い出す。


「日下部船長のように礼儀正しいというか、腰が低い人って宇宙船乗りにはめずらしいタイプですから、確かに逆に怪しく見えますね」


 なんだ?

 社会人時代の口調で対応したが普通はもっとラフなのか?

 とはいえ社会人口調の方が人と話すのは喋りやすいのですが、……初対面の人とフランクに話すのってハードル高すぎなんですが。



 そんなこんなで異星人とのファーストコンタクト終了。

 見た目は地球人と変わらないし、会話も成立したので思ったほど難しいことではなかった。

 相手は入国管理が仕事の役人。

 その職務のマニュアルにそって仕事をしてくるのだからこっちはそれにしたがって応対するだけだ。

 働いていたときにハローワークに求人募集の登録や雇用保険の手続きに行ってたが、それよりも楽だった。


 とまあ、一仕事終えほっとしているとモニターにカグヤが現れ、開口一番。


「よくもまあ、あんなに口からデマカセ言えるもんですね」


 ディスられた。


「失敬な。打ち合わせ通りだろう?」

「打ち合わせしたのはワイズのコンテンツは難破船から手に入れたことにしようってだけです。よくもまあ、ありもしない宇宙船のことをペラペラと語れるものだと」


 しかし難破船を発見したので手に入れただけだと、売り文句としては弱くないか? 

 少しは煽り文句を入れないと興味持ってもらえないだろうよ。


「それは正論ですが……。ワインの件だっていきなり何言いだすのだろうって驚いたっていうか、呆れましたよ」


「まあ俺にとっては興味ない酒だが、マニアからすれば垂涎のアイテムだろうからどんな感じで売れるのかとか、どんな層が欲しがるのかとかを見ておきたかったんだよ。あと値段と価値だな。これをちらつかせることで交渉できるかどうかとか見てみたかったし」

「言いたいことはわかりますよ。ただ私が言ってるのは一口も飲んだことのないワインを適当に語れるものかと」


 あんな感じでいっておけば騙せるかと思ったんだが?


「まあ騙せたようですけど。……船長は生前は働いてたと聞きましたが営業か詐欺師でしょうか?」


 営業はともかく詐欺師は職業ではないぞ。

 一応、総務部人事課なんだが庶務兼務だな。

 日々雑用ばっかしてた気がする。

 人事ほったらかして倉庫作業の応援なんか日常茶飯事だった。


「でもまあ、うちの会社の人事は詐欺師かもしれないよなぁ」

「といいますと?」

「あまりにもブラック体質が地元で有名で、求人だしてもめったに来ないので、たまに面接に来た人間には教育体制がしっかりしてます! ステップアップで給料が上がっていきます! とか嘘ばっかつかされてたなぁ」

「嘘なんですか?」

「正確には建前? かな」


 そして騙されたとすぐに辞めていく。

 そこから広がるブラック情報。

 うん悪循環だ。


「なるほど、船長のその場しのぎの話術のルーツがわかった気がします」


 ほっとけ。


評価してくださった方ありがとうございます。


またブックマークしてくれた方もありがとうございます。


活動報告にも書きましたが日に日に増えるブックマーク数やPV数に驚きつつも素直に嬉しいです。

もうちょっと頑張ろうという気になります。


まだまだ続きますので引き続き読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
難破船のデーターや画像がないと怪しまれますね。 そして遺物級の古さの船をそのまま放置してきた事も違和感があります。 もう少しつじつまの合う言い訳が欲しかったかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ