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#233 血は水よりも濃い 4

 ミナヅキがアヤノ・ヒイラギというおそらく地雷と思われる少女の後見人になることを選択した。

 実に愚かな行為である。

 人間はなぜそんな愚かな行為を自ら進んで行うのだろうか?

 不思議でしかたがない。


「いえ、船長が背中押してましたよね?」


 俺は最初止めたろう?

 でも背中押して欲しがっていたからな、しかたなくだよ。

 困ったもんだよ。

 平穏な人生ほどこの世に幸せなものはないはずだ、なぜみんな引きこもらない!


「船長の詐欺行為にも困りものですがね」


 とあきれ顔のカグヤはとりあえず無視する。


 ポーラもそうだったがなぜ人は地雷源に進もうとするのだろうか?

 そこにあるのは自分を傷つけるもので、その先微かに見えるモノは一見希望に見えるかもしれないが蜃気楼のようなものである。

 地を這って、ボロボロになってまでして近づいたというのに目の前でかき消えるだろう。

 そしてそこから見える希望への道のりに確実に絶望することだろう。


「それでも希望があるのですね?」


 あるんじゃないか?

 救いの御手がどこにもないほど女神は狭量ではないだろう?

 ただその御手が地上ではなく、宇宙にしかないかも知れないってだけで。


「それはそれで……」

「なんだかなあ、って感じだよ」


 まったくだ。


「でもその考え方なら、いま宇宙にいるレオンの先には希望があるのですか?」


 逆ではないかな?

 あんなのがいまだにフラフラとできているのは宇宙を放浪しているからと言えるのではないだろうか?


「といいますと?」


 スペースオペラには悪役が、それもああいう小物も必要だろうよ。

 その配置のためだけに天罰を免れているのではないか?


「それはちょっといやな配役ですね」


 顔をしかめるカグヤとレーティア。

 むしろ改心して真面目に生きると言い出すと天罰が下るんじゃないかな?

 この宇宙の法則からして。


「イヤな法則だよ」


 本当にな。

 誰か何とかしてくれないかな、あの女神。




 さてこのまま話を終えたかったのだがアヤノに後見人になることを告げてくれと頼まれる。

 自分でしろよと言ったらお礼にいま手元にある時計を優先的に譲ってくれるという。

 正直、もうどうでもよくなってきたので断ったのだが逆に泣きつかれた。

 なんでだよ!


「母親の死後、娘との関係がギクシャクしているって言ってましたが、それでよくもまあ引き取る引き取らないで悩んでたもんですね」

「ギクシャクしていたから簡単に引き取れなくてこじれたんじゃないの?」


 問題はなぜギクシャクしたかだよな。


「ミナヅキはわからないと言っていましたね」


 そもそもわからないのが問題なんじゃないのかね。


「どういうことなの、マスター」


 所詮は他人だから相手の考え方がわからないのはしかたがない。

 だけどこういうトラブルを解決するのが人付き合いでないだろうか?

 それができずに後見人がやっていけるのかねえと。

 そもそも立派に育てると決意して、まず最初の一歩が他人任せってのがなんともさ。


「先行き不安ですよね」


 不安というかもう無理じゃないかな。


「ならどうするの?」

 

 レーティアよ。

 どうするもこうするも、言われた通りにアヤノに用件だけ告げてもうおさらばだよ。

 そこまで面倒見れるか!

 むしろ勘弁してくれと言う感じだ、やってられるか!

 ということでアポイントよろしく。

 さっさと終わらせよう。


「それならポーラ姉に通信したほうが早いよ」


 はい?

 なんだ、あの子はまた俺の言うことを無視して会いに行ったのか?


「ポーラにとっては人生経験ですからねぇ」


 やめておけばいいのに。

 ……あれ?

 じゃあニーナはどうした?

 一緒にいるのか?


「ううん、ニーナはホテルにいるよ」


 さすがに連れて行かなかったか。

 その点は評価してもいいかと……いや待て、9歳の子供を1人でホテルに置いといてもいいものか?


「ギリアムもついてるから大丈夫だよ」


 まあそれを疑うわけではないんだが、俺的には不安を覚えるものでな。


「あのクラスの管理頭脳がナビゲート兼護衛していると何も不安などないんだけど? むしろどこの権力者の娘かってレベルだよ」


 文化の違いだな。

 管理頭脳を疑うわけでも人間の保護者を過信するわけでもないんだが。


「船長、ニーナには過保護ですね」


 ポーラも不安ではあるがニーナはもっと不安だ。

 あの子は家族の愛情を知らずに育った子だ。

 そんな子がアヤノのようになったらどうする?


「それならばむしろ長女が不良の子のところに遊びにいったほうが問題では?」


 そっちは何とか言いくるめられるが、幼少時のトラウマはなかなか手が折れるぞ。


「なら僕が地上に降りようか?」


 とレーティアが言うとカグヤが、


「でも今から降りても時間的に考えたらポーラのほうが先にニーナと合流しますよ」

「それならそれでいいんじゃない。そのあとニーナは自然が苦手のようだからポーラ姉だけ海か山に行ってもらって、僕はニーナと街を探索するよ」


 じゃあレーティアはそれで頼む。

 でもってカグヤは……しかたないか。

 ポーラに連絡を取ってくれ、説教するから。


「了解」

「オッケー」


これは確かスペースオペラのはずです。

忘れてませんよ。

彼が天罰受けてない理由を書きたかったのです。

清濁併せ呑むのと言いますが、この女神様、主人公(スピンオフ含む)といい、清ってどこにあるんでしょか?

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