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#231 血は水よりも濃い 2

 1番聞きたくない名前がまさかここからでるとは。

 さてどうするべきか?

 正直勘弁してくださいというのが本音ではある。


 とはいえ知らないと言うのも無理があるか。 

 何しろこの星の入国管理局の職員すら聞いてくるくらいだ、それも入国手続きを後回しにしてまで。



 探している。

 連絡を取りたい。

 どこにいた?

 国からの命令書を渡してくれ。

 むしろ連れて来てくれ。


 そんな感じだった。

 出会った場所と向かった方向を教えてやると、金は出すから追いかけてきてくれと言われる始末。

 もういっそ懸賞金でもかけたらどうだろうか?

 宇宙で指名手配など、どこぞの女神は喜びそうである。

 あんなんでも使いようだ。


 それはさておき、俺としてはまっぴらごめんだ。

 ヤツには金輪際関わらないと心に決めている。

 アイツのせいで地上に降りるはめになったからな、恨みがある。

 憎んでいると言っても過言ではない。



 いや~、この次の惑星の皇女さまに依頼を受けていましてね、そっちを優先しなければなりません。

 なかなか一国の皇女さまからの依頼なんてありませんから張り切っているんですよ。

 という事で、そちらの依頼は受けれません。

 他の方にお願いしますよ。

 ……でも急いで対応した方がいいとは思いますよ。

 まだ個人の犯罪で済みますが、それこそお偉いさんに手を出して逃げたりなんかすれば、逆恨みでこの星にまで飛び火するかも知れませんし。

 いやいや可能性は低いですよ。

 でも俺だって宇宙を旅しているというだけで珍しいものを持っていると思われて、欲しがる金持ちに会いますからね。

 惑星ヤクモで1つしかない宝石です、とか言ってイミテーションを一国のお姫様に差し出して、対価に体を要求したなどいう事件がなければいいなとは思いますけど。


 と思いつく限り穏便にあしらっておいた。

 その後、入国管理の職員がなぜか真っ青になっていたが、そんなのは俺の関与するべきことではない。

 あんなのを宇宙に出したこの星の担当者が責めを負うべきだ。


 ただ心配なのはフクハラの存在だ。

 いま地元に帰ってきたら即レオン探しを命じられるかもしれない。

 現在地はどこか知らないが、しばらく帰省を考えるなよ。

 遠くでバカンスを楽しめ。



 だいぶ話がそれたが本題に戻ろう。

 レオンの話になったのでもう別にミナヅキとは没交渉になってもいいかなと思いだしたので正直に語ることにした。

 だいたい入国管理局の職員と同じ事を聞いてきたが、


「高貴な身分の方って世間知らずではないですよね。あんなのに引っかかりませんよね?」


 ないとは信じたいけど、世の中あんなのを好きになる人はいるので、こればっかりは祈るほかないかと。


「……そう、ですよね。」


 ミナヅキは力無く肩を落とす。

 ちなみに聞きますがレオンとはお友達ですか?

 もしもそうなら被害者立場でこの人とはわかりあえるはずだ。


「いえ、面識はありますけど違います」


 それは運がいいと言うべきところかもしれないが、ここはあえて裏切りものと言いたい。


「僕は奥さんのほう、フミノさんと知り合いなんです」


 聞き覚えのない名前が出てきたな。


「親同士が仲が良くて、子供のころから知ってるお隣のお姉さんなんですよ。昔からよく遊んでもらっていて」


 二次元でよく聞く設定を嬉しそうに語る。


「学校の先生もしてて、僕、ハイスクールの時に教えてもらってたんですよ」


 ああ、そうですか。

 で好きだったってパターンかな?


「いえ、あの、そんな……」


 真っ赤な顔になり、慌てて否定しようとするが、


「……いえ、好きでした。ずっと前からです。関係を壊すのが怖くて、告白する勇気もなかったですけど」


 正直に答える。

 こう言っちゃあなんだが本当によくある設定だな、おい。

 で、もたもたしている間にレオンの屑野郎にとられたと。


「はい。フミノさんが幸せだったらまだ納得もいったと思うんですけど、苦労してましたし、ケンカもしてましたし、泣いてたのも見ました。でも僕には何もできなくて」


 とうなだれる。

 それは辛い初恋だったな。

 もう忘れるのがいいと思うぞ。

 過去を引きずっていいことなんてないからさ。


「僕もそう思ってました。でも子供ができたとわかってレオンは少し落ち着いたように見えたんですよ。アヤノちゃんが幼稚園にはいるまでは一緒に生活していたんですけど、入園早々友達のお母さんに手を出してしまって」


 やりかねないと思った俺は相当ヤツに毒されているな。

 真面目な父親でストレスがとか言って、手を出したんだろう?

 それも2、3人とか言うんだろう?


「――よくわかりますね? その通りです。フミノさんの話では特に父親らしいことは何もしてくれなかったという話なんですが」


 不自由が嫌なんだろうよ。


「そう言って宇宙に逃げたそうです、それも何の前触れもなく、タバコ買ってくると出て行ってそのまま帰ってこなかったんです」


 ああやりそうだな。


「僕もほうっておけなくて少しは手伝ってたけど、毎日大変で。それでも頑張っていたのに、ある日フミノさんが倒れてすぐに亡くなって、娘のアヤノちゃんが一人残った状態なんですよ。こんなのってあんまりですよ!」


 本当にな。

 それは気の毒ではある。


 それで君はどうしたいんだ?

 レオンを探し出して娘の世話をさせたいとでも言うのか?

 正直なところそれはお勧めしないぞ、なんせ子供ができても、不倫したうえに宇宙にさっさと逃げる人間が、状況を聞いて「ハイわかりました」と素直に帰ってきて父親するとは到底思えないぞ。


「……そうですよね、どうすればいいんでしょうか?」


 知らんがな!


昨日のあとがき少し言葉が足りませんでした。

レオンに関係することについて書きますが、レオンは出てきませんw



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― 新着の感想 ―
[一言] 〉惑星ヤクモで1つしかない宝石〜 船長本当に焚きつけるの上手いですね。見習いたいです。
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