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#217 引きこもり案件

 予定よりだいぶ早く3人が地上から引きあげてきた。

 いったいどうした?

 

「えっとですね」


 困ったような顔のポーラにしがみつくニーナ。

 レーティアも困りはてた表情で肩をすくめる。


「どうにもニーナと話が通じなくて。マスターの案件かなと思って連れて帰って来たんだよ」


 俺の案件って、俺が子供にできることって何があると?

 

「そりゃあまあマスターはいい歳こいておかしいことを言う人間相手の専門家だけどさ」


 その言い方はどうだろうか。


「ついこの間もその対応をしてましたしね」


 うるさいよ、カグヤ。


「まあちょっとニーナと話してよ」


 まあ話すことはやぶさかではない。

 というか話さないと進まないだろうからな。

 で、どうした、ニーナ?


 ニーナと目線を合わせるべくしゃがんで声をかける。


「お父さん」


 ぐずったニーナはポーラにしがみついたままチラっと俺を見て、


「太陽、消して」


 ああ、確かにまぶしいよな。

 進行方向でギラギラ照るのをやめてほしいよな。

 あとカーテン閉め忘れると朝早くから光が差し込んで寝れないよな。


「そう。あと暑い」


 そうだな、空調が効いてる部屋の中はいいんだけど、そこに慣れてると外出たときに余計に暑さ寒さが堪えるよな。


「そう」


 ニーナはポーラから手を放し、体ごと俺に向ける。


「臭いの」


 ああ、わかるわかる。

 慣れないと海辺は磯の香りがきついかな。

 土の匂いなんかも初めて嗅いだのか?

 花とかも月にはなかったのかな?

 雨上がりなんかも結構匂うよな。

 あと人込みだといろんな匂いが混ざっているから気分悪くなることもあるよな。


「そう」


 うんうんと頷く。


「重いの」


 重力のことかな?

 やっぱりそうだよな、重いよな。

 宇宙船も同じ1Gっていうけどさ、湿度とかで絶対重いって。


「そう」


 他にも空が高くて怖いだの、水平線を見ると広すぎて怖いだの言う。


 至極まっとうなことを言っているけど、何が問題なんだ?


「マスターと話が合うことが問題なんだよ!」


 とレーティアが何故かキレ気味に言う。


 というかなんで俺が怒られる?

 俺は一応止めたぞ、いきなり地上に降ろすのはどうかって。

 人の意見を聞かずに連れて行ったのはお前たちだろう?

 

「それは……そうなんですが」

「マスターみたいなのが他にもいるとは思わないでしょう?」


 それはお前たちの見込みが甘いとしか。


「なるほど、これは新発見ですね。宇宙のプラントで育って地上に降りたことがない子は地上の生活に耐えられなくなるのでしょうか?」


 カグヤが新たな閉鎖環境下でのストレス研究に一石を投じられたと興味津々だ。


「しかし月からずっと一人で惑星を見ていたのですから憧れがあるのでは?」

「あった。でも違った」


 あのさ、宇宙船のような気温も湿度も一定の場所で過ごしてきた子供がな、いきなり地上に降りてみろ。

 温度差だけでもストレスになるってもんだ。

 ニーナ、俺はお前の気持ちがよくわかる。

 人間、宇宙船で引きこもるのがちょうどいいんだよ。


「ニーナもそう思う」


 固い握手を交わす俺たち。


「いや、ちょっと待って、その結論はおかしい!」


 だがレーティアが否定する。


「人間って適度に地上に降りないと弱る生き物だって」


 それは地上暮らしの人間だろう?

 宇宙船で生まれ育ったクローンのデータがないのだから決めつけてはならないぞ。


「確かにそれはそうだけどさ」


 と答えに窮するレーティア。


「でもそれでしたらキャプテンはどうなのですか? 地上生まれですよね」


 俺は地上で生き急ぎすぎた。

 もう地上は俺にとっては楽園ではないのさ。

 俺の新たな楽園はこのイザヨイだ。

 止めてくれるな!


「え? でも……」

「ダメですよ、ポーラ。船長相手に真正面から聞くと煙に巻かれます。それが仕事なんですから」


 そんな仕事に就いた覚えはないのだが?



 でもまあ仕方ないだろう。

 当のニーナが地上がいやだと言っている。

 無理やりおろしてどうする。

 それこそ地上が嫌いになる。

 まあとりあえず様子を見るのが一番ではないだろうか?

 ニーナの面倒は俺が見るからポーラとレーティアはもう一度降りてこい。

 

「ですが……」

「マスターだけだと不安なんだけど」

 

 カグヤも白ウサギもいるから問題ないだろう。


「そうですね、大丈夫だと思いますよ。それに、ほら」


 カグヤがニーナを指さす。

 ニーナは完全にポーラから離れ、俺の手を握ったままだ。

 その様子に少しショックを受けたようなポーラとあきれ顔のレーティア。


「まあしょうがないよ、ポーラ姉。とりあえずマスターに従おうよ」

「……そうですね」


 と渋々納得してくれる。

 とまあこういうことだ、安心しなさいニーナ。


「うん」


 まあなんか困ったことがあったら俺かカグヤに言いなさい。


「いいの?」


 おう、なんでもいいぞ。

 俺がそう言うと、ちらっとポーラを見た後に俺に耳打ちをする。


「お父さん。……お魚、飽きた」


 ……ああ、そうだな。

 とりあえずしばらくは魚以外のいろんなものを食べような。

 それとポーラにはあとでちゃんと言っておくから安心しな。


今日は会社を休みまして病院に行ってきまして、とりあえず様子見なんですが、薬飲んで寝てたら少し楽になりました。


今日を含め3日ほど小説を書いていませんが、ストックというのはこういう時に放出するものだと思います。

こういう時のために頑張った過去の私を褒めてやってください。

明日から仕事に行くので体調次第で更新ができるのか、執筆ができるのか、ストックを使い切るのかは未定ですが未来の私を応援してやってくださいw


まあこんなことを書くとやる気がなくなったのかと思われかもしれないので後ほど活動報告に今後の予定を書いておきます

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― 新着の感想 ―
[一言] この世界の平均人種もドラゴンも管理が過ぎて想像力と柔軟性にかけるよね(^_^;) ニーナにとって最適化された環境が正常で、一般の正常こそが異常なのに。 みんなもっと仮定の話(フィクション)に…
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