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#210 月の少女は希望の唄を口ずさむ 12

なぜか更新できていませんでした

すみません



「でも船長、仮に、仮にですよ。人間が勝つ可能性ってありませんか?」


 長い沈黙の後にカグヤが口を開く。


「おいカグヤ、さすがにそれは……」


 カグヤの疑問をラフェスルが否定するが、これはカグヤが考えすぎということもない。

 なにせカグヤは滅ぼされたドラゴンだからだ。


――人間というものを知っている。


 人間とは強大な敵がいるときは一致団結し、あらゆる手段を講じる戦闘民族だということを。


 さてよくあるファンタジー物で最強の生物とかラスボスはというとドラゴンや魔王などがあげられる。

 確かにそれらは強く、普通ならば脆弱な人間に太刀打ちすることなどできはしない。

 だがそれを倒すのは人間である。

 それは物語だから、ということもできる。

 だが実際に地球やカグヤのいた惑星ワイズなどは物語だけではなく、実際にドラゴンがうち滅ぼされたという事実があり、それがカグヤの不安を呼び起こしているのだろう。


――人間という生き物は恐ろしいものだと。


 ならばスペースオペラの世界に現れたラスボスを倒すのも人間であるというのが道理ではなかろうか?


「船長……」


 まあ聞けカグヤよ。

 俺はあの女神がどのくらいの存在かは知らんが、そうはいっても人に簡単に敗れることはあるまい。

 というか砲撃で死ぬのか?


「たぶん死なないかと」


 だよなぁ。

 だからむしろ特等席で艦隊戦が見られると喜んで最前線にいるだろう。

 最終的に人間を全滅させるか、ある程度逃がして再戦をしてくれるのを待つか、もしかしたらあの女神ノリがいいだろうから敗れたふりくらいはしてくれるかもしれんが。


「それは……」

「ありえますな」


 だろう、本当に困った女神だ。


 つまりはだ、メイ・ホワイトがこのまま何も残せず死んだってこちらに損はない。

 ドラゴンにたどり着くのならば、しばらくは女神の遊び相手になってくれるからありがたい。

 そして――仮にだ、仮に魔王が滅んだところで何か問題があるのか?


「この宇宙から創造主がいなくなれば……あれ?」


 いまや宇宙は安定していて、暇だからスペースオペラが見たいとかき回している魔王がいるとしよう。

 さてそいつが滅んだら、宇宙は平和になりました、めでたしめでたし、ではなかろうか?


「いえ、でも船長、それは……」

「確かに、そう簡単なことでは……」


 二人が葛藤している。

 ドラゴンとして創造主に従うのは当然のこと、でも仮に創造主がいなければ……。

 その二つのせめぎ合いはもしかしたら今後ドラゴンが3つに分裂するかもしれない。


 創造主に従う派。

 創造主が滅ぶわけはないけど、できれば滅んでほしいと見守る派。

 創造主をこの機会に乗じて滅ぼそうとする裏切り派。


 ドラゴンは女神を裏切れないように作られているかもしれないが、そんなのは関係ない。

 さっきも言ったが人間というものは勝つためにはあらゆる手段を選択する生き物だ。

 ドラゴンを裏切らせることなど造作もなくやってのけるのではないだろうか?

 そうなると人間対ドラゴンの艦隊戦は人間&ドラゴンの連合艦隊と魔王との戦いになるかもしれない。

 もしも創造主に逆らうことができるようになったドラゴンがどんな行動を起こすかは見ものではある。

 そして砲撃程度では死にそうにない魔王でも、なんとか倒すのが人間の知恵というものではないだろうか?




 とはいえそれはずいぶん先の話だろう。

 そもそもメイ・ホワイトがドラゴンまでたどり着けるのかというと今の段階では無理なんじゃないかと思う。


 そう、例えばどこかのドラゴンが事あるごとに自ら存在をアピールして、あの一派を導くことが大前提ではなかろうか?


「――日下部船長!」


 いや悪い、独り言がつい口に出た。


 なんだかんだであの人はクローンを使って200年も隠れていた人間だ。

 変な方向にこじれているがちゃんとうまい方向に思考が進めばなんかうまいことやるのでは、と思ってな。

 それに現時点でクローンも19人もいるんだ、いい案の1つや2つ出てくるのではと思う。



 もちろんドラゴンにたどり着いても俺が思った展開にならない可能性もある。

 それならそれで新たなスペースオペラが始まるかもしれない。

 それは女神が望む展開かもしれないし望まない展開かもしれない。

 まあそんなことは関係ない。

 俺たちは見つけたスペースオペラの種を芽吹かせようとしただけだ。

 どんな花が咲くかまでは責任がないだろうよ。



 つまり未来は不確定ということだ。

 いつの日かスペースオペラが大好きなラスボスが登場するかもしれないが、きっと俺には関りがなく、引きこもりの人生を送れると信じるくらいだ。


以前書きましたが最終話のボツ案です。


魔王(?)を倒した後に皆が喜ぶ中、

「面白かったわね! 次は私、正義の陣営でよろしくね!」

と秒で復活する女神、というオチでしたがそこに至るプロセスの長さに断念しました。


いきなり100年後に跳ぶという方法を考えましたが、そもそもこの小説にバトルを求める読者はすでに離れているのではと?


とりあえず最終回は未定です。

最悪「俺たちのスペースオペラはこれからだ」があるので気楽に進めていきます。

まあ現状「あなたたちのスペースオペラはこれからでしょう?」って女神に背中を押されている気がしますがw

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― 新着の感想 ―
ダイナマイトを用意してもどう使うかは使用者次第だよーw
[一言] 魂を持った管理頭脳しかたどり着けないプログラムを組めるって事は管理頭脳が魂を持った事を証明する方法を知ってるってことにならないかな?少なくともその取っ掛かりにはなりそうだけど。 主人公の屁理…
[一言] 悪魔の囁きってのは結局のところ。 禁忌も無理も不可能も度外視して【選択肢を増やす】ことなんだろうな。
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