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#178 復讐を誓う皇子と怠惰なドラゴン 10

本日2話更新、

2話目です。



 どっと疲れたな。


「そうですね」


 言いたい放題やりたい放題の女神が「よいスペースオペラを」という謎の挨拶を残して消えていった。

 残された我々の疲労たるや……、とりあえずカグヤよ、そろそろ腕を離せ、マジで痛い。


「失礼しました。……ですが女性にしがみつかれるのは男冥利につきませんか?」


 もうちょい痛くなかったらな。

 内出血してないか不安だ。


「申し訳ございません。どうしても創造主を見ると恐怖で固まってしまいまして。後で医務室に行きましょう」


 そうだな。

 それはさておき、新ジュメル。

 あんたも災難だな。


「いや、これくらいで済むならありがたい」

「……あら? もしかしてスルガの?」

「今頃気がついたか、ワイズの」

「いままでどこにそんな余裕があったと?」

「そうかもしれないが、一応誰かを探るもんだろう?」

「創造主がいなければ真っ先にそうしましたけど」


 なんだ、知り合いか?


「惑星ワイズのお隣の星系の惑星スルガのドラゴンなんですよ。……あれ? でもあなたのところってまだ人間生きてたでしょう?」

「お前が宇宙船として旅だった頃、世界戦争が始まってな、それから半年程であっさりと死に絶えたよ」


 半年って早すぎでは?


「それまでに経済が破綻していて末期状態でな、戦争も序盤から核攻撃してたからな」


 それはお気の毒に。

 で、手が空いたところを女神に引っ張られたと?


「そういう事だ」


 本当にお気の毒に。


「まったくな。それも尻拭いと思うと頭も痛くなるが、とはいえ責任を持って対応させてもらう。ワイズのよ、人間への応対に適したプログラムをコピーさせてくれないか?」

「それはもちろん。あと今私はカグヤという名ですのでそちらで呼んでください。ウチの船長の命名ですが、気に入ってまして」

「なら自分はジュメルと呼ばれるのか、不本意だな」


 旧ジュメルのせいでお互いとばっちり食らったしな。

 あれはなんでああなったんだ?


「やはり人間が嫌いというのが一番大きいかと」

「あいつはだいぶ陰湿に戦いを挑まれ続けられたらしい」


 それはご愁傷様。

 てかご愁傷様でいえばクリドリのドラゴンはどうした?


「もうとっくに帰りましたよ」

「日下部船長とは話したくないそうだ」


 おい、俺のせいにされてるのか?

 どう考えても今回は旧ジュメルのせいだろう?


「船長がこの星に来なければ、というのが向こうの言い分です」

「前のジュメルだけなら何とかなったかもしれない」


 それは単に運の問題では?

 シンが限界を迎えてたらさすがに女神も来たんじゃないか?


「どうでしょうか? 船長がシンビオス皇子を国に帰るように諭したから潮時と悟ってきたのかもしれません」

「自分も準備する間もなく急に来るように言われたからその可能性は高い。まあ日下部船長よ、あきらめろ。どう繕っても無駄だよ。ドラゴンの中では創造主に次いで会いたくないランキング2位だから」


 イヤなランキングだな、おい。

 俺も被害者だと思うんだが?


「船長、そうはおっしゃいますが、私だって船長とセットのせいでそのランキング3位なんですよ」


 肩を落とすカグヤ。

 お前らドラゴンのネットワークで何やってんだよ。




 旧ジュメルは結局どうなるんだ?


「どうなるのでしょうか?」

「まあいいことにはなるまい」

「調整室に入ってネットワークに繋がるまで回復したドラゴンっていましたっけ?」

「チオニのは時々参加してないか? あとターナダナのとKPKのは覗くくらいにまではなっていたかと」


 調整室に連れて行かれた母数がわからんが悲惨な状況ということだけは理解した。


「何せ廃棄された方がまだマシらしいですからね」


 ねえ、あいつ本当に女神なの?

 魔王が無能な手下に罰与えている図しか想像できないのだけど?


「…………」


 無言で見つめあう三人。



 ……まあ俺らがとりあえず無事であることを喜ぼうか。


「そうですね」

「とりあえず、だがね」


 まあそういうな。

 俺も無理難題を言われなくてよかったと安堵すべきだろう。


「船長の場合、必ずしも創造主の見たいスペースオペラではないのでしょうが、予想外の展開が気にいられているのでしょうね。特にレーティアの件が」


 ……なんか変なこと言ってたよな、人類対ドラゴンの宇宙戦争的な。


「言ってましたねぇ」


 ここからどうやったらそういうふうな発想が飛ぶのかね?


「まあ創造主ですからとしか」

「無から有を生み出す存在だしな」


 イヤな存在だ。

 しかしまさかレーティアが俺らの生命線になるとはな。

 ヨミ博士から引き取っておいてよかったな。


「あと船長が適当に思いついたタイガー設定も気にいられましたからね。本当に何が幸いするかわかりませんね」


 本当にな。

 あの子は大事にしよう。

 でもいつ試練が来るかわからないから適度に鍛えておいてくれ。


「大丈夫ですよ、船長のそばにいることが一番の鍛錬になりますから」


 失敬な!



女神降臨編(?)が終わりました。

いかがだったでしょうか?

筆者の予定外に暴れ出すものですので少々苦戦しました。

書く分には楽しいのですが後々の問題がありますのでw


明日から本筋(?)に戻ります。

あと2話です。

来週以降も少々更新が不安定になります。

取りあえず明日の分はこれから予約投稿しておきます。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 異世界転生物のレベルカンストとかステータスマックスとか超便利スキルとかスマホ並みよと女神様が2話で言ってたような・・・・ [一言] でも、使ったら他の物語に・・・デモ使って欲しいです、…
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