#177 復讐を誓う皇子と怠惰なドラゴン 9
本日は2話更新します。
まずは1話目。
「それで最後に晃君だけど」
いやもう勘弁してくれないかな?
ポーラやシンが待っているからそろそろ解散といかないか?
「せっかく来たんだから晃君への賛辞を述べとかないと! じゃないと前のジュメルしばいて、クリドリに叱咤激励しただけになるじゃない!」
十分だろう。
てかクリドリのドラゴンに対してのあれは叱咤激励とは言わないと思うぞ。
叱咤しかなかったぞ、激励はどこだ?
もっと正確に言うならパワハラとか下手したら死亡宣告ではないかな。
ワイプの中の彼女は死にそうな顔をしているぞ。
「大丈夫よ、ウチの子達って何だかんだで叩けば伸びるから」
その結果が俺の後ろで震えているカグヤか。
それもパワハラですよ。
「そんなことより何からいこうか? 惑星パールから行く? 私はエクレアを連れて行くかと期待したのに!」
いやあの子は退位したのは皇帝であって、あの星の王族というのはかわりないのだから連れていけないだろう?
しかも代理皇帝になったイザベラおいて行くことなんてあの子の選択肢にはないだろう
「いっそ二人とも連れてハーレム展開希望!」
女神の言う台詞かね?
「まあいいわ、次はフィ=ラガか。そうそう!! 私、タイガーちゃん、いいと思うのよ! 本当の管理頭脳の隠しギミックとは違うんだけどアレ採用です! レーティアちゃんはタイガーちゃん確定です!」
軽いな、そんなんでいいのか?
「私がいいっていってるからオーケーです」
宇宙の法則が怖い。
「まあホンの少し試練を受けてもらうけど、何とかしてね」
すまん、レーティア。
きっとホンの少しで終わらない。
ほんとすまん。
「でもこうなると人類対ドラゴンが地上戦ではなく宇宙戦、……艦隊戦もできるかしら? 心踊る展開よね!!」
あんただけな。
ここにいる三体のドラゴンの真っ青な顔を見てみろ。
「大丈夫! きっと面白いから!!」
全然大丈夫ではない。
「竜玉は……まあ、あの子はもうちょいひどい目にあわせてもいいかな? 何だかんだであの子の星はやる気ないしね。ハッパかけるためにあの姿100年固定にしておいたから」
まあそれはどうでもいいや。
それよりはあのスパイラルはあんたの仕業かな?
「私以外に誰ができると?」
ですよねー。
「まあ、あそこで跳んでくれなきゃ惑星フィ=ラガもスパイラルで封鎖してたわよ」
最悪だな、こいつ。
「スパイラル突破は良かったわ。ああ、それで思い出した。クリドリ、管理頭脳2台でのゲートジャンプ許可します。それならなんとかなるでしょう?」
「……は、はい! ありがとうございます。何とかします!」
おや、やっぱり反対してたのか?
「うーん、ゲートは手動突入が華だと思うんだけど、確かに宇宙船の数は増やしたいのよ。だから突入出力は5%が最大で。ブースト時間の制限くらいは設けましょう」
それなら連結するコンテナ増やせばなんとかなるよなと思うがあえて教えない。
「晃君がスパイラル突入のタイミングに、ちょうど知り合いの隣の銀河の神が来てね、一緒に見てたのよ。彼も褒めてたわよ」
これ以上やっかいそうな登場人物を増やさないでくれるかな?
「別に彼は今後登場しないわよ。異世界転生の人材をスカウトさせてっていう交渉に来ただけだから」
隣の銀河からもスカウトに来るのかよ。
「ちょうど地球にその条件の子がいたんだけど、それでも私の管轄の子だからね、おいそれとあげるわけにはいかないでしょう」
そうだな、そういう判断くらいはできる女神か。
「でもスペースオペラが捗る新技術くれるって言うから仕方ないよね」
前言撤回。
「地球の2人はスペースオペラのための礎になってくれたのよ」
礎にした、だよね?
てか2人って!
「ファンタジー世界で一応チートで最強スタートだからまあ本人たち、納得していったみたいよ。でも日本人ってそういう適性の子が多いよね。ファンタジー適性ってのが腹立つけど。SF適性にしなさいよ、ほんとにもう!」
腹立てても地球を滅ぼさないでください。
あと地球のドラゴンにはあまり関わらないでいてやってください。
「幽霊船は……もうちょっと何とかならないかなぁ」
ご不満で?
「う~ん、現行の宇宙船に連結するカジノじゃなく、機動要塞とかスペースコロニーでカジノ運営にすればいいと思うのよ!」
そっちね。
それは俺に言わないでほしい。
「宇宙でのアウトローが集まる酒場とかも見てみたいわねぇ」
それは俺の担当じゃないよなぁ。
……いや、待てよ。
基本宇宙船乗りは地上が恋しくなる生き物で、たびたび地上にバカンスに行く。
幽霊船の夫人だってその口だろ。
しかし俺はそういう欠点がない。
ならどこかの宙域でカジノやら酒場を開き、ウサギに働いてもらえば俺は引きこもっていてもスペースオペラをしていることにはならないだろうか?
伝説のゲートジャンパーで今は隠居して酒場のオーナーってスペースオペラ的にはありだろう、どうよ?
「……それは、アリ……。いや、でも」
俺の言葉に女神は考え出す。
お、検討の余地ありか?
「……今の宇宙船乗りの人口だとそこまで集まらないかな。あの幽霊船だっていつもお客がいるわけではないしねぇ」
そうか。
いい案だと思ったのに、引きこもるための。
「将来的にはそれもありかもしれないわ。これから管理頭脳2台体制で人口が増えたらね」
なるほど、その日が早く来ればいいな。
「だから晃君はそれまでにいっぱい活躍して伝説のオーナーになってよね。絶対よ」
いかん、藪蛇だった。
はい、いろいろ女神さまが設定ぶっこんでくれましたw
補足をしますと管理頭脳の本来の隠しギミックは時間軸的にはこの話の少し前にヨミ博士が達成していたりします。
今頃白ウサギは「キュアホワイトラビット」となっているはずですが、それはどこかの女海賊の話だったりします。
あと別の銀河の神様はなろう未発表の作品の神様なのでこっちには出ませんのでご安心を。
いつもの19時台にもう1話、続きを投稿する予定です。