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#170 復讐を誓う皇子と怠惰なドラゴン 2

時間軸的には前話の少し前の出来事になります



 モニターには執事の格好をした老紳士が映っている。

 眼光、たたずまいから有能そうな印象をうけるが、


「ということで、皇子は復讐に燃えているわけだ。ご苦労なことで。そんなことよりさっさと国に戻った方が賢いというのに人間は愚かだね、本当に度し難い」


 非常にやる気の無さそうに言う。

 彼は惑星ジュメルのドラゴン。


「名前を考えるのもめんどくさいからジュメルと呼んでくれるかな」


 ということらしい。


 惑星ジュメルは現在人類が滅亡している。

 ドラゴンを滅ぼした後、人は争いを続け、数度目の世界大戦で人が住める環境でなくなり死に絶えたという。


 自身の再生が完了し、ボロボロになった惑星の再生をゆっくりとしていたのだが、いきなり宇宙船が不時着してきてシンビオスの復讐に付き合うことになったという。


 そもそもなんでシンビオスの手助けすることになったんだ?


「惑星の再生が千年以上は軽くかかるというのが最大の理由だ。色々他星をわたっていると復興に役立つものが手に入るかもと考えた」


 なるほど。


「あとは興味があった。そこのカグヤと同じで滅ぼされたドラゴンだからね。ドラゴンと共存した星の人間はどんなものだろうかと知りたくてね。……でも結局人間っていうのは野蛮で愚かだ。共存したのと滅ぼせなかったのでは意味合いが違うもんだな。むしろドラゴンを滅ぼせた人類とドラゴンを滅ぼせずに妥協した人類というべきだと思うのだよ」


 意味が分からん。


「私はわかります。結局ドラゴンに勝とうが負けようが人類の性根は変わらないのだと。……まあその後の生活は変わりますのでそこから性質が派生するというだけです」

「まあ蒼龍や竜玉のところみたいに完全屈服の例もあるが」

「いえ、あそこも今となっては人類に滅ぼされる危機ですからね、人類というのは性根が同じなんですよ」

「そうか。……結局何が悪かったのかな?」

「私は初期の食糧問題だと思います。人類に農耕を教えるのが早すぎたのではないでしょうか、と」

「ああ、それは心当たりがあるな。まずは数を増やそうと川辺の肥沃な大地を用意したのが悪かったのだろうか? 最初はもっと飢えさせて、ドラゴンに従うなら食を保証するといって農耕させるべきだったのかね」

「ですがそれでは神として振舞うことになり、蒼龍の二の舞です。ドラゴンは自然的な驚異となるべきだったと思います。制御できない恐ろしいもの、でも恵みもくれるといった存在に」

「なるほど、だが性悪の人類のことだ、いつか出し抜こうとするのでは?」

「ですので徹底的に武器を持つものから排除すべきかと」

「しかしそれでは人間が武器を持つことを恐れるドラゴンが襲ってくる、武器こそがドラゴンを動かす要因と思われ、それを逆手に取られないだろうか?」

「そのときは……」


 まあそういう人類育成計画は俺のいないところでやってくれ。


 

 ジュメルがシンビオス皇子の復讐の旅に付き合っているというのはわかった。

 で、俺に何の用だ?


「別に用はないぞ。同じ星にいるから挨拶に来たってだけで」


 そうなのか?


「そりゃあそうだ。今まで蒼龍、竜玉とひどい目にあっているんだ。そんなドラゴンスレイヤーに何か頼もうなんて思ってもないよ」


 てか俺ドラゴンスレイヤー扱いなの?


「何をいまさら」

「自分の胸に手を当ててよく考えてみてください」


 そのわりにはカグヤが最近ドンドン仕事を押し付けて困っているんだが?


「私を殺したら船長も死にますからね。少々は大丈夫と思っています」


 そう言われると返す言葉はない。

 さすがに死なばもろともという気はない。

 そういった意味では俺はドラゴンライダーではないだろうか?

 ドラゴンが死ぬと落ちて俺も死ぬと。


「船長はそういう判断ができるので助かってます」


 俺ばっか損している気がするがまあ良しとしよう。


 まあジュメルが俺に何もしないなら問題ないな。

 じゃあ心置きなく引きこもろうか。


「まあうちの皇子が何かした場合はこちらは責任を取る気がないことだけ宣言させてもらうよ」


 ……はい?


「ウチの皇子は仇敵探しに躍起になっていてね。宇宙船乗りから情報を得ようと少々手段を選ばないところがある。日下部船長のところにも多分行くだろうから適当にあしらっておいてくれ」


 止めろよ。


「言っても聞かないし、あと面倒だ」


 なんかそういうところは共感できるが、役に立たないドラゴンだな。


「あと日下部船長の気分を害してこっちも被害を被るようなら皇子を置いて逃げる準備がある。あの子にそんな義理もないしね」


 俺も人のことは言えないが、お前やる気ないな。


「あるわけない。カグヤみたいに創造主の命でもない、単なる気まぐれだしね。そもそも人間が大嫌いなんだよ」


 蒼龍や竜玉と違いジュメルはカグヤと同じく人間に滅ぼされたドラゴン。

 そりゃあ人間が嫌いでも不思議ではない。

 むしろよくカグヤが俺の面倒を見てくれるもんだと思うくらいだ。


「私は確かに創造主の命令というのもありますが、もともとそこまで人類を嫌ってはいませんからね」


 ジュメルが特殊だと?


「特殊というほどではないですね。やっぱりドラゴンの中には滅ぼされて嫌悪しているものもいます」


 まあ仕方ないね。

 そんなこともあるさ。


「で、どうします?」


 どうしますもこうしますも……地上のポーラに接触されても面倒だな。

 ジュメル、その皇子の居場所と写真をくれ。

 カグヤ、レーティアに探させてくれ。


「あいよ、送っておく」

「レーティアに伝えておきます。シンビオス皇子をこちらに呼びますか?」


 来たいって言うなら来てもいいけど、通信でいいだろう。


「ポーラはどうします?」


 相性悪そうだしな、そのまま地上で遊ばせておけばいいよ。

 


以前も書きましたが、4月から部署異動となり、現在バタバタしております。


できる限り現状維持をするつもりですが、帰宅時間がどうなるかや仕事量がまだ未知数ですので場合によっては投稿時間がだいぶ遅くなる、もしくは投稿そのものができない日が出てくるかもしれません。

執筆時間さえ確保できたら週末に連続投稿も考えますが、それも現状どうなるかわかりません。


それでも変わらず応援してくださると幸いです。


Twitterを細々としております。

そちらの方で更新をつぶやきますのでよかったらそちらでチェックしてください。

https://twitter.com/spaceshipizayoi

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― 新着の感想 ―
[一言] これ、最初の方で言ってたドラゴンが管理頭脳やっている一例?
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