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#168 事実確認と今後のミーティング

「船長。温泉気に入ったと言ってたわりには全然いかないんですね?」


 とカグヤが呆れ顔で言う。

 気に入ったのは本当だぞ。

 たまには大きな風呂で長風呂するのもいいもんだ。

 とはいえ今までは普段は部屋のシャワーのみで、メインユニットにある浴室につかることも稀だった。

 温泉ができたからといって、ほいほいと通っていたらカグヤに対して失礼ではないだろうか?


「私は最初からお風呂は7種類用意しようとしていたことをお忘れですか? それを船長がいらないと言い張りましたからそうしただけです。温泉に通ってくれた方がかつての私の言い分を認めてくれたんだなといい気分になりますよ。いいですか、人間間違いを素直に認めるのは美徳というらしいですよ」


 逆に非難された。

 まあ正直なところ、ああいうのはたまに行くからありがたいのかなと思うんだよ。

 毎日通って贅沢が当たり前になりたくはないなと。

 引きこもりは分相応に自室にこもり、シャワーで済ますべきかと。


「施設も使ってくれないともったいないんですよ。使わないまま耐用年数だけが過ぎていきます」


 使ってないならいいじゃないかと思うのだが、宇宙だと何がトラブルのもとになるのかわからないので早めの対応が必要なのだという。


 まあ施設に関してはポーラが使ってくれるのだろう?


「まあそれなりにですが、それでも船長が率先して使わないと乗務員が我が物顔で使ってもいいものかと遠慮してしまうものでしょう」

 

 それはいけないな。

 ポーラにはちゃんとわがまま言ってもいいことを伝えておかねば。

 何ならそろそろもう一つコンテナをポーラ専用に増やしてもいいのではないか?


「余計恐縮すると思いますよ」


 困ったもんだな。


「ええ困ったものです、船長がですけどね」


 俺はまったく困ってないのになぁ。




 それはそうと温泉や花見はレーティアの案なのか?


「ええ、やっぱり人間が作った管理頭脳のほうが人間を喜ばすには長けていますね。私も日本人は温泉好き、桜好きという知識はあるのですが、本人がいらないというものをわざわざ作ろうとか思いもしません」


 女神に作られた管理頭脳ドラゴンだと、人間に奉仕するのが本懐ではないからな。

 宇宙に進出するようにさえできれば人間が喜ぼうが苦しもうが関係ないしな。


「別にわざわざ苦しまそうとは思ってませんよ。ただ喜ばす術がわからないだけです」


 俺なんかは引きこもらせてくれたら喜ぶがね。


「絶対言うと思いました。ですが喜ばすことよりも最低限、健康でいてもらわないと船の航行に関わります。そのためには積極的に外に出てもらいたいものです」


 今後の課題として心の片隅に封印しておきます。


「せめて検討してください」




 で、何か聞いておくことがあるか?


「幽霊船の夫人から連絡がありました」


 なんて?


「船長との会話で何か思うことがあったらしく、レオンの借金のカタを確認していたらいくつかイミテーションにすり替えられていたそうです」


 それはご愁傷様。

 てかあいつは本当にクズだな。


「ですね。それで夫人はカンカンに怒っています」


 まあ当然だな。

 でなんだ、まさか捕まえてこいとか言わないよな?


「いえ、夫人は本気でレオンの悪行を各地に広めるから船長も徹底的に追い詰めてやってくれと。あとこっちに誘導してくれるならむしり取ると言っていますが」


 善処しますということで。

 

「軽いですね」


 俺に実害があるわけでもないし、報酬があるわけでもない。

 レオンの悪行を広めるのだって、あの場を収める方便で別に期待もしていないしな。


「船長はいつも乗り気ではないですけど、レオンに関しては本当にやる気ないですね」

 

 今後ポーラが泣くことがわかっているのにやる気を出せと言われても。


「泣かさない方向に持っていけばいいのでは?」

 

 それができたらとっくにやってるよ。

 

「船長でも無理ですか?」


 そりゃあ今後のポーラとの関係を破綻させる可能性でもいいなら……いや、俺がいやだな。


「そんな方法もあるのですか?」


 そりゃああるよ。

 レオンが傷つけるか、俺が傷つけるかだけの話で。


「なるほど。ならそれは封印しておいてください」


 わかってもらえて助かるよ。




 そういやクリドリで厄介事がありそうだとか言ってなかったか?


「言いましたけど……」


 言い淀むカグヤ。

 言いにくいことか?


「言いにくいというのではなく、予想がつかないのです。どうする気かな? というところなんですが」


 なんだ?

 はっきりしないのか?


「そうですね。あちらは関わりたくないと思ってるんでしょうけど、結果的にかかわることになるのかなと思っています」


 よくわからんな。

 もう少し具体的に。


「クリドリにはそこの惑星のドラゴンとは別に、もう一体ドラゴンがいるのです」



昨日の投稿後、たくさんの感想をいただきありがとうごさいます。

10年以上前のことになりますが実話です。

人生で1,2を争う理不尽なトラブルでした。(もう1つは#139の5股友人のせいでヤンデレさんに付きまとわれたこと)


ちなみに前話の店長ですが後で聞いたところいろいろな赤字店舗を立て直した優秀な方で、その手腕で私の配達に行った店舗を立て直すために赴任した直後の出来事だったそうです。


まあ2年後に閉店していましたが。



さて明日から新シリーズに突入します。

「復讐を誓う王子と怠惰なドラゴン」編となります。

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