表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

166/316

#154 幽霊船の財宝は呪われているか 4

 レーティア、修理は順調か?

 修理を一任されているレーティアの陣中見舞いに来た。


「だいたい予定表通り」


 まあ急ぐ理由もないし、少々遅れても構わない。

 確実な作業するように。

 事故のないように。


「マスター、こういうときは普通の指示ができるんだね」


 おかしい?

 いつも普通の指示をしているつもりだが。


 生前、非定常作業での事故報告を聞いては走り回っていた人たちのフォローをしてきてたからな。

 破損くらいならともかくケガなどされた日には……。

 俺的には少々何かを壊しても作業員にケガさえなければひと安心なのだが、会社としては補償だの対策改善に追われるので。

 あとなんでか総務がしっかりしてないから悪いと説教させる。

 本当にあの支社長は意味が分からない。

 それならばトップが責任を負うべきだろうに下に責任転嫁しやがって。


「そういう意味だと、ウサギにケガはないと思うけど」


 管理頭脳だしな。


「あと修理ドックは無人だし」


 そうかい。

 でもケガ人はなくてもウサギが故障して、そのあと二次被害に何かを巻き込んで壊す可能性だってあり得る。

 もちろんウサギも心配ではある。

 ウサギにはメンテナンスをキチンとさせておくように。

 あとウサギもそうだがレーティアもメンテナンスをちゃんとしておけよ。


「そこまでは気をつかえる人が、何で自分のメンテナンスできないのかな?」


 俺的には、メンテナンスするために引きこもっているのだけど。


「まあいいけどさ。ついでだから工程表見てくれる?」


 構わないが、生前見たことがあるがいまいち見方がわからない。

 レーティアの説明をとりあえずしたり顔で頷く。


 まあ修理の順番とかは効率がいいようにすればいいさ。


 今回、基本的には修理で対応するのだが、外装の一部は新品に取り替えるために注文中らしい。


 せっかくだから、軽くイザヨイのオーバーホールもしたらどうだ?

 消耗品なんかこの機会に取り換えたらどうだ。


「一応、そう言われるかもと、そのスケジュール案もつくっているけど、全部終わるのに4ヶ月くらいかかるよ」


 この大きさの宇宙船のメンテナンスにそれは早いのか遅いのかさっぱりわからない。

 確か俺が宇宙に来て、イザヨイが飛ぶようになるまで100時間だったことを考えると時間がかかりすぎの気もするが、あの時はカグヤがつくっていた専用のドックで外装の補強と資材搬入だけだったと考えるとそんなものかと思わないでもない。


 まあどのみち急ぐ理由もない。

 ゆっくりやろう。

 ちょうど時間が欲しかった。

 なぜなら待ち望んでいたSRPGの新作が出たところだ。

 まずはノーマルでシナリオだけ堪能してその後ハードでやりこもうと思っている。

 ピンクに朝・昼は部屋で食べるからとサンドイッチ、ホットドック、ハンバーガー、おにぎりをローテーションで持ってくるように指示もした。

 夕方だけ艦橋に行き、少し話した後に食堂で酒を飲み、それから引きこもる。

 よし、万全な準備ができたな。


「そういうの万全って言わないよ」


 大丈夫だ、本人が気にしないから。


「いや、してよ!」


 とあきれ顔のレーティア。


「カグ姉にも言われていると思うけど、地上に降りてくれない? 修理の邪魔だからさ」


 だから邪魔しないように引きこもるって言ってるのになぁ、なんで伝わらないんだろう?


「ホントだよね、なんで伝わらないんだろうね」


 互いに首を傾げる。


「オババだって1日に1回は外の空気を吸いに公園まで散歩してたもんだけどね。ベンチでぼーっとしてたよ」


 年齢的にはボケ老人の徘徊を心配すべきかもしれないが、外見的には放置子なのかと心配すべき案件だ。

 俺のウサギたちはうまいことやっているだろうか。


「本当にマスターって会話なりたたないよね」


 失敬な。

 本気で心配したのに。


「まあいいけど。そもそもゲームって楽しいの? 対人ならともかく相手がプログラムされた行動するんでしょう?」


 むしろ対人より楽しいけどなぁ。

 敵の行動パターンを調べて、読んで、対応するのが楽しいんだよ。

 あとキャラをコツコツ育てて、武器を手に入れてと。


「でもデータでしょう?」


 そうだ。

 昔はセーブ失敗して消えたことがある。

 最強のキャラも一瞬で消える世界だ。

 だがそれでもまた一からやり直す、……そうだ宇宙に足りないのはその忍耐力ではないだろうか?

 クソ難易度のゲームを何度もやり直す、そういう忍耐・根気がないから宇宙船の生活が耐えられないのだろう。

 どうだろう、宇宙船の適性検査にゲームを入れてみたら。

 これは心を鍛える試練となろう。


「一般的には管理頭脳は生活の補助をしてもらうものであって、遊びまで相手してもらうのは異端なんだよ。人は人と遊ぶ、人が作った本を読む、人が作った映画を見、音楽を聴く、それが普通なんだよ。ゲームが必須となると白い目で見られて、さらに宇宙に出ようとする人が減るよ」


 さみしい世界だな。


「お互い様だよ」


 てかそういう意味ならゲームだって人が作ったものだけど?

 

「人が作ったプログラムを基礎に管理頭脳が動かしてるんでしょう? なら管理頭脳と遊んでるようなもんだよ」


 管理頭脳ほど立派なもんでもないけどな。

 まあ仕方ない、それなら俺は一人、ゲームで心を鍛えるとするよ。


「ちょっとくらいならいいけどさ、本当に朝も昼も食事をデリバリーですましてゲームするっていうなら叩き出しに行くからね。忙しいんだからそういう手間かけさせないでよ」


 なんとなくレーティアが本気だということが伝わってきた。

 朝飯だけは許してもらえるとありがたい。


誤字報告、評価、ブックマークしてくださった方ありがとうございます。


次話からそろそろ話が進んでいきます、

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ