表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

160/316

#148 竜玉を封印せし螺旋の檻 20

 さて件のスパイラルが守るゲートまでは1週間かかるという。

 その間、レーティアがイザヨイの操縦、維持管理をすることになった。

 まあいい機会だ。

 せっかく新しい管理頭脳だ。

 ある程度使えるようにしておきたい。

 いついざという時が来るかわからないからな。


「スパイラル突入はいざという時の備えよりも過酷な状況に思えますが」

 

 それは女神に言えよ。

 触らぬ神に祟りなしというが、あの女神は自分から触られに来やがる。

 いかに触れずに逃げるかを考えてても結果このざまだ。

 事務総長の入国拒否の時点でやっぱり立ち去るべきだったか。


「それよりも新ゲートを発見すべきではなかったですね。何もなかった、気のせいで通すべきでした。それを船長が気が付くものだから」


 そこからかなあ。

 確かに何も見つからなかったとして予定のゲートに向かうべきだったか。


「その場合のポーラのメンタルケアだけをキチンとしていただければよかったと思います」


 しかしその場合、ずっとポーラに女神さまが囁くということをしなかっただろうか?

 もしくは次の惑星にここにつながるゲートを創ったりはしないだろうか?


「それは……可能性がありますね」


 そうなるとずっとポーラが違和感を感じ続け、病むことになっていたかもしれない。


「流石に創造主もそこまでは……しないと……思い、ます」


 おい、こっち見て言えよ。

 断言までに時間食った気がするのは気のせいか?


 まあいい、これも不可抗力というか、回避不可だったと。


「仕方ありません」


 そうなると一番逃げられる可能性があったのは竜玉との交渉だったかと。

 俺もあんな姿になられては流石に良心の呵責を感じてしまったが、もっと不可能なことを言って没交渉まで持っていくべきだった。


「あれでも直視に耐えないのにそれ以上って本当に勘弁してください」


 しかし自衛のためには。


「大丈夫です。船長の予想以上の行動に他のドラゴンはあなたのことを恐れてます。スパイラルを跳んで遠ざかってくれ派と失敗してこっちに来るな派で大論争。罵詈雑言が飛び交ってます」


 だからドラゴンってネットワークで何してんの、暇なのか?


「蒼龍、竜玉と悲惨な目を見ると戦々恐々ですよ。私だっていたたまれないのですよ」


 別に関わらなきゃなにもしてないだろう。


「何もなく通りすぎた星のドラゴンはもう気楽に見物してますよ」


 ホントに暇そうだな、ドラゴン。

 ちなみにもうその蒼龍からは通信はなくなったのか?


「はい、約束通り竜玉が代わりに受けてくれます」

 

 それはよかった。


「こんな格好イヤだから早く死んでくれ。とか、ふざけるな、死んでたまるかと言い争っているそうですよ」


 ずいぶんと物騒な会話だな。


「仲が良かったんですけどね。船長って本当に恐ろしい人です」


 何度でも言おう、自衛だと。




 それはさておき今回のスパイラル突入方法だが。


「ゲートアウト後の危険がありますが、跳ぶこと自体の成功率は高いかと。進入場所もさることながら、管理頭脳2台体制など盲点でした。さすが船長、よく気がつきましたね。船長の星で言うところのコロンブスの卵ですね」


 いや、そこが引っかかっているのだが。


「どこでしょう?」


 宇宙に進出して何千年たっているのか知らんが、本当に今まで誰もその考えに至っていないのか?


「ですから手動で跳ぶことになっているのでは? こういう技術は直ぐに広まるはずですよ」


 例えばだ、ゲート跳ぶのって手動でやる方がスペースオペラ的にはロマンがあって素敵よね、と思っているヤツが広まるのを阻止している可能性。


「――! ……それは」


 それを言うために来ないよなとビクビクしてんだが。


「船長、怖いことを言わないでください!」


 怖いよな。


「しかしこういう考えもあります。今までのやり方では宇宙にでる人口が少ないのです。この方法で人口が増えればそれだけトラブルも増え、スペースオペラが盛り上がるのではないでしょうか?」


 俺に言いつつもどこか遠くの誰かに訴えるように言う。

 切実だな。


「船長、何か妙案をください」


 そんな切羽詰まった表情しないでくれないか?

 えっといろいろ考えていたんだが、管理頭脳でゲートを跳ぶと出力が5%以下でしか飛べないとか、30m級コンテナ6基もしくは35m級コンテナ4基でしか跳べないので速度が出せず航行に時間がかかる、やっぱ上級者は手動で跳ぶべきだよね、というのを広めてみてはどうだろうか?


「それです! さすがは船長。こういう方便を考えさせたら右に出る者はいません! 早速ネットワークに提唱します」


 ……まあいいけどさ。

 お前、俺より必死だよな。


「船長は知らないと思いますが、普通ドラゴンって創造主に100年単位で会わないんですよ。ドラゴンによっては1000年以上も会わない場合もあるのですから。私だって500年ぶりにいきなり現れて、宇宙船の管理頭脳になれと言われ、それから数年後にゲートの件やら蒼龍のアレですよ。船長のせいで短いスパンで3度もあっているんですよ! 今後そうでなくても会う可能性が高いのですから少しでも回数減らしたいでしょう!」


 お前の本気度だけは伝わった。

 



 それはさておきずっと疑問なんだが、なんでお前、俺の寝室にいるの?

 しかもベッドに座ってさ。


「いまレーティアがイザヨイを動かしているんですよ」


 それは聞いた。


「暇なので船長と友諠を深めようかなと」


 今更だな。


「せっかく実体もできたことですし、なんなら添い寝でもして差し上げようかと」


 出ていけ、俺の聖域から出ていけ!


感想、誤字報告、ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます。


体調不良が続いています

それでも今週まではストックの問題はありません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 美女の添い寝(管理頭脳)
[一言] >触らぬ神に祟りなしというが、あの女神は自分から触られに来やがる ???「寄らば斬ります!」 (すいませんこれが言いたかっだけです)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ