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#147 竜玉を封印せし螺旋の檻 19

「へ? 僕?」


 ああそうだ。

 レーティアが亜空間共振波の維持。

 俺が手動で突入し、直前で回頭。

 カグヤがその時に船体の角度の調整だ。


「そんなことできるの?」


 そのために作ったわけではないがせっかくある第二艦橋だ、そこでやればいけると思うんだが、カグヤどうだろうか?


「…………」


 カグヤは腕を組み、固まっている。


「カグヤさん?」


 おそらくシミュレーション中なのだろう、まあ少し待とうか。

 ピンク、ウイスキー、いやバーボンをロックで。

 ほどなくしてバーボンとチェイサーが運ばれてきて飲みだすとカグヤが口を開く。


「可能です。いろいろ細部を詰めないといけませんが可能です」


 そうかい、そりゃあよかった。


「そりゃあよかった、じゃないです! なんですか、この方法! これだと宇宙船航海用の管理頭脳2台乗せた船だと自動運転でゲート跳ぶことだってできるじゃないですか!」


 そうだな。

 今回だって一応俺も数に入れたけど必要かな? って思ったくらいだ。

 だけど形だけでも跳ぶふりしていないとダメかなって。


「え? そうなんですか?」

「僕がゲート突入の準備さえしてしまえば、カグ姉がいつも通りに操舵するだけで何の問題なく跳べるっていうことになるみたい。逆でもいいんだけど」

「それって……宇宙に出る条件が変わりません?」

「変わりますよ! こんな方法でゲートを跳べるなら、ものすごく宇宙に出れる人が増えます。そもそも閉鎖環境適応の数値は高くてもゲートが跳べないって人もたくさんいるのですから!」


 イザヨイは初期の段階でセカンドユニットを用意しようと俺が提案し、その後レーティアという管理頭脳を搭載したことで正・副の2枚看板となった。

 もともとは予備として考えていたのだが同時に利用できないかと思い立ったのだ。


「しかもこんな単純な方法があったなんて」

 

 ちなみに今回のスパイラル突入方法は五股した友人の斜め上の話から思いついた。

 こういう二股なら許してもらえないだろうかと思うが、あえてそのことを口にはしない。

 仮に管理頭脳2台体制が確立されたときに、どこからその発想を得たかと言われて正直に言うのははばかられる。


「でもそうなると宇宙船にセカンドユニットをつけないといけないから長くなるからこまるんじゃないの?」

「長くなる分は管理頭脳の自動運転だと問題がないかと。問題があるとしたら経費くらいでしょうか?」

 

 最終的には亜空間共振波を出すだけの管理頭脳を載せたら問題なさそうな気がするな。


「これはちょっと目からうろこが落ちました。船長は本当に自分が楽するための裏道を探すことに長けてますね」


 もっと言い方がないか?


「でもキャプテン、すごいです」

「本当だよ。初めてマスターのことを尊敬したよ」


 ポーラ以外いまいち誉められている感じもしないがまあ良しとしよう。


 さて実際にできるかどうかをやってみるべきだろう。

 カグヤ、問題点は?


「通常のゲートを跳ぶことに関してはいけると思われます」


 レーティアに経験はないけど?


「そこは僕だって管理頭脳ということだよ。宇宙船をまだ動かしたことはないけどシステムはインストールされてるから大丈夫だよ」

「そうですね。船長が心配なら念のためサブユニットの試運転を兼ねてしばらくレーティアにしてもらいましょう」


 その辺は任すよ。


「しかし、スパイラル突破と考えると少々打ち合わせが必要となります」


 聞こうか。


「まずは担当決めですが、これは先程船長のおっしゃったので問題ないと思います。私とレーティアは役目を入れ換えても構いませんが、イザヨイのクセを知り尽くしている私が姿勢制御する方が正解でしょう」


 なるほど。

 ちなみに聞くが、俺は必要か?


「突入の手順や急旋回まではしていただきたいです。スパイラル突入による船体のダメージや急旋回による負荷に対応もしないといけませんので。もちろんゲート進入の細かいブレなどはこちらで対応します」


 残念だ、楽がしたかった。


「そうは問屋がおろしません」

「マスター、スパイラル突破を自力でしないとポーラ姉の新ゲート発見の功績を抜けないよ」

「そんなことありません、キャプテンはご立派です」


 俺的には功績云々はどうでもいいのだが、女神案件ということを鑑みて操舵くらいしますよ。

 ちなみにゲート突入の確率は?


「高いです。旋回のタイミングだけは後でシミュレーションで詰めましょう」


 了解。

 ならなんとかなりそうか。

 竜玉をあんな姿にした責任がとれるかな。


「その言い分はどうかと思いますが。しかし問題はゲートアウト後です」

 

 何がある?


「ゲートアウト後の宙域もスパイラルが予想されます。それもど真ん中に出現する形になりますので、操舵が非常に不安定になります。船長とポーラには対ショック姿勢でいてもらうとして、私がイザヨイを安定させます。レーティアには艦内・外の維持管理を頼みます」

「OK」

「わかりました」


 ちなみに船体は大丈夫か?

 壊れる危険があるなら方法を考えるが。

 

「初期の段階で普通の40m級より外装強化していますので、船長が長時間オーバーブーストするような速度で侵入しなければ大丈夫と思います」


 さすがに直前で旋回があるのでスピードは出せないと思うが、でもスピード出して突っ切った方がスパイラルにいる時間が少なくて済むのでは?


「突っ切れるといいんですけど、なまじ速度がある分、衝撃が大きいと予想されます。また渦にのまれますとどこか変な方向に飛ばされる危険性もあります」


 よくわからんがカグヤが言うならそうなんだろう。

 よし、ではそういう感じでいこう。

 成り行きとはいえスパイラルを跳ぶことに巻き込んで申し訳ないとは思っているが、竜玉があんな姿をしてまで懇願したんだ、哀れと思って跳んでやろうじゃないか。


「ですから全部船長のせいです」



風邪でしょうか、少々体調が悪いです。


インフルエンザでない限り明日も更新するつもりですが、もしもの場合はご容赦ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 〉そうかい、そりゃあよかった 日下部さん見てるとベテラン船乗りとか飛行機乗りを思い出すというか。 コブラとか次元とか思い出すなぁ。 何が言いたいかといえば、渋カッコいいwww
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