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#145 竜玉を封印せし螺旋の檻 17

「今日はお刺身ですか?」


 まあ生で食ってもいいけどな。

 これからピンクウサギが鍋を持ってくるから少し待て。


 しかし宇宙船生活だと季節感がないな。

 暑さ寒さがない一定の温度で、旬のものがあるというわけではない。

 カレンダーにあわせて食事をしてもいいんだが、そういうのは食いたいものがない時でいいだろう。

 ちなみに今日の昼飯は冷やし中華を食った気がする。


 今ピンクが野菜の煮てある鍋を持ってくる。

 それをテーブルに備えつけられた熱源にセットし、弱火をキープする。


「……これは?」


 ポーラが食べたことがある鍋はおでんくらいか。

 まああれは不評だったが。

 魚を食べるには鍋もいい方法だと思うが、今までは箸が使えなかったので勧めづらかった。

 ということで今回はブリしゃぶにしてみた。


「ブリはお魚の名前ですよね? しゃぶ?」


 まあ見てみなさい。

 ブリの切り身を箸でつまむ。

 鍋につける。

 しゃぶしゃぶと2、3回、さっと出汁にくぐらせる。

 薬味を入れたポン酢に入れて食べる。

 これが美味い。


「はあ」


 ポーラが慣れない箸さばきで慎重に俺の真似をする。


「――――!」


 一口食べて目を真ん丸にして言葉を失う。

 なぜかブリと鍋を見比べて、もう一度おずおずとブリを鍋にくぐらせ、口に運ぶ。


「キャプテン、これ美味しい!」


 随分と時間かかったな。


「最初食べてもよくわからなかったんですけど、でもすごく美味しかったです」


 ならよかった。

 好きなだけ食いな。

 あと野菜も食べな。


「はい」


 反応が上々ならそれでよい。

 さて俺は飲むとしよう。


「船長、お注ぎします」


 ビールをお酌するためだけに瓶ビールをいつの間にか作ったカグヤ。

 設備の無駄遣いという気もしないではないが、作ったものは仕方ない。

 黙ってグラスに注いでもらう。

 てかカグヤ、一口飲むたびに注がなくていいから。


「それは残念です」


 今日は瓶ビール1本飲んで、その後は焼酎にしようか。


「わかりました」

「こうなると僕も仕事が欲しいよね」


 じゃあ、俺の代わりにブリしゃぶを2、3キレしてくれ。


「OK!」

 

 菜箸を握り、ポーラと違い慣れた手つきでさっさとくぐらせる。

 俺の器にブリと野菜を盛り付ける。


「はい、どうぞ」


 ああ、ありがとう。

 てか自分のことは自分でできるというか、自分のペースで食いたいものだが何だろうこの接待されているような感じは。

 いや接待されているのかしているのかわからないな。

 管理頭脳に仕事を与えるために自分のポリシーを曲げる羽目になるとは。

 社畜の気をつかう術をここに発揮するとはな。


「普段、人を使う癖にこういう時は文句言うんだね」

「キレイどころに囲まれてお酒を飲めるのだから幸せを噛みしめてもらいたいものです」


 はいはい。

 とはいえ二人は管理頭脳、唯一の人間は幸せそうにブリを食べている。

 ポーラが一番幸せ(魚)を文字通り噛みしめている気がする。




「船長、そろそろ始まるようです」


 それじゃあモニターに映してくれ。


「何が始まるんですか?」


 あらかたブリを食べつくしたポーラが訊ねる。

 政府の緊急放送が始まるんだが、そんな長い時間じゃないだろうからピンクよ、シメにうどんを作ってくれ。




『こ、国民の皆様、……これより、竜玉からの緊急発表があります』


 しかしこの事務総長、いつ見ても困ったような顔してるな。


「全部船長のせいですけどね」


 俺的には自業自得説を唱えたいが。

 さて事務総長のしどろもどろの前説がおわり、画面が切り替わる。


『こ~ん~に~ち~は~! 今日から~、グルドニアの皆様を~、導く~、竜玉たんですぅ! みんなぁ~、わたしに~、ちゃ~んとついてきてね~。いうこと聞いてくれないと~、プンプン! だぞ』


 見てて不安になるような落書き絵の所信演説が始まる。

 これが一国の管理頭脳というのだから国民の不安はさぞ募ることだろう。


「そもそもいたずらだと思って信じないのでは?」


 その可能性もある。


「なんなのマスターあれ?」


 驚愕を浮かべるレーティア。

 なんなのと言われても、リニューアルされた竜玉だよ。


「あれが!?」


 ひどいよなぁ。


「誰のせいですか」


 これも自業自得説を唱えたい。

 ちなみにポーラは目を真ん丸にして言葉も出ないようだ。


『みんなもぉ、これからわ~、私のことを気楽に~、竜玉たんって言ってもいいからねぇ。みんなでぇ、仲良くぅ、いい国を~つくって~、いきましょう~。みんなぁ、いくよぉ! せ~の! えい・えい・お~!』


 キャラデザ:日下部晃

 脚本担当:日下部晃

 演技指導:日下部晃

 

 うむ、見事な駄作が見れたな。

 日本なら炎上間違いなしだ。


「マスター本当に性格悪いよね」


 失敬な、自衛のために仕方なくだ。


「さすがに同族のこんな姿を見るのは少々、いえ、かなりショックですよ」


 まあそこは少し悪いと思っている。

 だがこのドラゴンならウチのタイガー追いつけるんじゃないかな?


「正直追いつく以前に近寄りたくないんだけど」


 正論だな。

 俺も同じことを思っている。

 あれはひどいな、本当にひどい。


「船長が言うなって感じですよ」



昨日のあとがきで書いた漫画のタイトルがわかる方がいてびっくり。

古いやつだから誰も知らないだろうと思っていました。

よかった、正解者がいたら2話連続投稿しますと言わなくてw


昨日の飲み会で今日は昼頃まで二日酔いで動けなくて執筆ができなかったので、余計なことを言わなくて本当に良かったw

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こwれwはwひwどwいww なう(2025/08/06 16:33:58)
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