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#144 竜玉を封印せし螺旋の檻 16

 さて一番の問題は何だろうか?


「スパイラルを跳ぶことでしょうか?」


 と言うカグヤ。

 それは問題でない。

 

「そうなのですか?」


 跳べる跳べないはこの際関係ないからな。

 跳んだらどうなるか、跳ばなかったらどうなるかだ。


「創造主の思惑という意味でしょうか?」


 正直、あれに振り回されるのも困ったもんだが、だからと言って対処法があるわけではない。

 なにせ女神だ、逆らうことなど無駄だろう。

 何もないことを願って日々生きよう。


「そうですね」


 ということで跳ばなかったことを考えよう。

 そうなると蒼龍のようなのがもう1体増えるだけで、俺的にはまあ問題はない。

 ドラゴン的には?


「蒼龍よりは同情を受けるかもしれませんが、そんなことよりもこれが本当に創造主の見せしめ・懲罰であるというのであれば、いつ自分に同じことが降りかかるのかと戦々恐々でしょうね。むしろ厄介なことになったと恨まれるかもしれません」

「ちょっと待って! そんな扱いになるの私!」


 なるほどそれはいい傾向だな。


「どこがよ!」


 結局のところ俺的には損がないからな。


「そんなこと言わないで!」


 でまあもしもスパイラルを跳んだとしよう。

 それでもスパイラルが消えない可能性もなくないが、女神の仕業で跳べば消えると仮定しよう。

 そうなるとどうなる?

 なんだかんだで竜玉が一人得だよな?

 そうなると今後土下座して何とか乗り越えようとするドラゴンが増えるかもしれない。

 それは厄介だ。

 一番の問題がこれだ。


「なるほど。船長に厄介ごとが舞い込む可能性も増えますね。もしかしたらそれが創造主の狙いとも考えられます。ドラゴンとの接触はスペースオペラ展開が増える一因になるかもしれません。……ですが、行く先々で土下座する同族見るのは嫌なんですが」


 俺も嫌だぞ。

 面倒くさい。

 本当に嫌だ。


 ということで跳ぶ場合は他のドラゴンに対しての抑止力的な感じになってもらいたいのだが?


「うう、それでも人間に襲われないのなら……」


 呻くように言う竜玉。

 追い込まれてるな。


「船長が追い込んだようなものですけどね」


 女神だと思う。

 俺は親切に気をつけろと言ってやっただけではないか。


「それでこうなったのですよ」


 世の中不思議だな。

 しかし放置しておいたら通信が2か所から鳴りやまなくなるんだろう?


「まあ、たぶんそうでしょうね」


 ……ああ、じゃあ一つ目はそれでもいいか。

 じゃあ竜玉。

 とりあえず今ウチに蒼龍からの通信が鳴りやまなくて困ってるんだ。

 お前のとこに転送するから今後はお前が相手してくれるか?


「やります! お安い御用です! 蒼龍にはきちんと言い聞かせます!」


 蒼龍シンパがいきなり敵になったな。


「船長がまた恨まれそうですね」


 自業自得だろう、いまだに通信してくる方が悪い。

 自分で何とかするべきだ。


「できないから船長の知恵を求めてるのでは?」


 約束破っておいてそれは通らないよ。


「そうですか」



 

 さてこれだけでは抑止力にならないからもう一つお前に枷をつけよう。


「お手柔らかにお願いします」


 いろいろ考えたんだが、ゆるキャラから姿を変えよう。


「姿を?」


 最初に言っていたろう? 

 そのゆるキャラは愛されるキャラになるためだと。

 しかしそれでも国民はお前の言うことを嫌々やっているそうではないか?

 ならゆるキャラは愛されていないのではないか?


「……そうなの、かな?」


 ということでデザインを一新しよう。


「どんなふうに?」


 カグヤ、書くものを。


「ではこれを」


 タブレットとタッチペンを渡される。

 サラサラっとペンを走らせる。

 こんな感じでいこう。


「え?」


 大きな水晶玉を抱えた巫女の服を着た萌えキャラ。

 名付けて「竜玉たん」だ。


「これはちょっと……」

「船長、見てて不安になる絵ですね」


 うむ。

 俺に絵心はない。

 幼児がクレヨンで書いた絵のごとしだ。

 悪意はないのだが俺の絵心のなさは悪意を感じてしまいそうになる萌えキャラを誕生させた。


「私、……これになるんですか?」


 青い球体がさらに青くなる竜玉。


 うん。

 きっと国民に管理頭脳どうしたんだろうと不安になってもらえることだろう。

 

「いや、でもこれだと壊れたと思って人間が反乱をおこすのでは?」


 その可能性はゼロではないが、そこまでいかないだろう。

 せいぜい人間が言うことを聞かなくなるくらいだろう。

 でも大丈夫、ずっと見ていたら慣れるから。

 そうだな50年くらいこの格好でいこう。


「50年!」


 一応言っておくが俺がいなくなったら元に戻すなんてきっと意味がないぞ。

 俺と約束をしたのならきっと女神がその姿から戻れないようにすると思うぞ。


「そんな!」


 まあ蒼龍が約束破ろうとしてああなったからな。

 破るならそれなりに覚悟がいるということだ。


「でも、これって」


 もちろん断ることもできる。

 その場合は俺はさっさと逃げるがな。


「――――」


 ゆるキャラと下手くそな萌えキャラも似たようなもんだろう。


「いえ船長。この絵はかなりひどくないですか?」


 あとでレーティアとポーラの意見も聞いてみよう。


 で、竜玉よ、どうする?


「――――」


 返事がない、ただの屍のようだ。


「ショックでフリーズしましたかね?」


 ドラゴンでもそんなのあるのか?


 よし、そこまで俺の絵がダメだというのなら50年の期限を短縮する方法を教えてやろう。

 蒼龍が滅んだ時点で元のゆるキャラに戻っていいぞ。


「――へ?」

「……船長、ちなみにその意図は?」


 俺に何か頼むと悲惨な目にあってもらおうと。

 ドラゴン同士の抗争が始まったならなかなか悲惨な展開ではないかなと?


「悲惨すぎて身震いが止まりません。しかも蒼龍はさらに悲惨な目に遭うのですか」


 シンパにも裏切られる展開になればそりゃあ他のドラゴンにいい抑止力になると思わないか?


「本当にドラゴンを滅ぼした民族って恐ろしいです。船長は実はドラゴンスレイヤーの末裔とかいいますか?」


 明治のころから農民の家系と聞いたから違うんじゃね?

 

 それはともかく、さあ竜玉、決断の時間だ。

 死に怯えるか、はたまた人間に蔑まれるか。

 好きな方を選べ。



最近、昔の漫画をよく思い出します。


その漫画の作者のコメントで「弥勒菩薩をこんな姿に書いてしまいましたから自分の子孫はきっと救ってもらえないでしょうね」と書いてました(うろ覚え)


もしも地球がドラゴンによって救済される日が来るとしたら私の子孫は救ってもらえないのかな

と明日掲載の竜玉や、蒼龍、そして今後出てくるドラゴンを見てそんなことを思いますw

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[一言] 主人公が立ち去ったら、気付かれなかったRPGの隠しイベントの如く消えていくのか
[一言] 暴れ竜(氾濫した川)の調教(治水)は農業の基本
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