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#143 竜玉を封印せし螺旋の檻 15

 まあ落ち着け竜玉。

 俺もゆるキャラに土下座されたのは初めてで少し動揺してるし、内容が内容だけに少しは気持ちがわからなくもない。


 だからと言って俺が言ったのは最悪の事態の予想であってそういうことが100%起こるというわけではない。


「もう絶対に起こるに決まってます。そもそもスパイラルが1年以上続くのもあり得なければ、この惑星に跳べる新ゲートを見つけることもあり得ない。どれだけ天文学的数字だと? そんなの創造主の仕業って言わないと説明がつかないって」


 まあここまではそうかもしれない。

 俺もカグヤも否定する材料を見つけれなかった。

 とはいえ、これからどうなるかはわからないぞ。

 この星が本当に隔離されるとは限らない。


「されるわよ! だって創造主なのよ! するに決まってる! しないわけがない!」


 こう断言される女神もどうだろうか?

 ちなみに隣でカグヤも「ですよねぇ」と頷いている。

 大概だな、あの女神。


 ……まあそうなったらご愁傷さまとしか。

 心を強く持って生きろ。


「お願いだから見捨てないでっ!」


 見捨てるも何も、お前がそもそも出て行けって言ったんだろう?


「ごめんなさい! 私が愚かでした!」


 と、土下座(?)のまま俺に謝る。

 なあカグヤ、いったいどうなったらこうなるんだ?


「いえ、私に聞かれても。船長が煽った結果ですから船長の担当でしょう?」


 俺にはさっぱりで。

 同族のお前のほうがまだ思考の変遷が理解できるのでは?


「そういわれましても、土下座するドラゴンなんて初めてみましたよ」


 と困惑顔。


「……前回の船長との会話で色々シミュレーションして、船長の言葉を否定する材料が見つけられず、最悪の未来を想定してエラーを起こしたのでしょうかね?」


 おい、これはドラゴン的にはエラーなのか?



 まあ竜玉、少しは落ち着け。

 仮にこのグルドニアがスパイラルのせいで孤立したとしよう。

 そこで何の問題があるっていうんだ?


「他星からコンテンツの輸入がないとうちの子たちは暇を持て余して、最後には暴動を起こして私を滅ぼしに来るのよ!」


 そんな大げさな。

 暇つぶしがないなら何か作ってやればいいじゃないか?


「ウチの子たちは私の言うことは聞くけど、強制で楽しくないって思ってるからスポーツ大会しても盛り上がりに欠けるのよ。他星のコンテンツがガス抜きなのよ」


 それは自業自得だろうが、……でもそれだけでお前を滅ぼしに来るのか?


「人間って追い詰められたら何するかわからないじゃない!」

「蒼龍の件で最近はドラゴンの間ではそういう風潮があると認識しています」


 なるほど、確かにそういわれてみれば同意するところではある。

 同じ人類としては申し訳ないとは思う。


「船長が原因の一端ですがね」


 その件については蒼龍が悪いという主張を維持したい。


 でもまあ竜玉のところと蒼龍のところでは状況も違うし、竜玉を滅ぼしたところで事態が好転するとは限らないのだからそんなことは起らないのでは?

 管理頭脳がなくなれば生活が成り立たないんだろう?

 それを自ら破壊することはないだろうよ。


「人間の愚かさを舐めないで! あいつら理性じゃなく感情が優先されるのよ! 一皮むけば獣なのよ!」


 言いたいことはわからんでもないが、俺も人間だということを思い出せ。


「怖いのよ! 人間が牙をむいて襲ってくるかもしれないと思いつつ生きていくなんて無理でしょう?」


 まあ蒼龍が今その状態だよな。


「そうよ! あんな風になりたくないのよ!」


 お前はあいつのシンパじゃなかったのか?


「それはそれ! これはこれ!」


 いや、まあそうかもしれんが。


「蒼龍がああなったのは可哀そうなことだと思うし、何とかしてあげたいと思ってた。でもだからといって私がああいう風になるのって耐えられないのよ!」


 ドラゴンの友情もはかないもんだな。


「まあ蒼龍と同じで竜玉も人間に逆らわれたことがあまりないドラゴンですからね。襲ってくる人間が心底怖いんですよ。それも人間が一皮むけば船長のような存在だと思うとそりゃあ気が気ではないですよ」

「――ひぃ」


 カグヤの言葉におびえる竜玉。

 だから俺が諸悪の根源のように言わないでほしいんだが。


「お願いです! 何でもします。だから助けてください!」


 特にしてほしいこともないんだが、強いて言えば関わりたくないというくらいで。


「そんなことを言わずご慈悲を!」


 さてどうしよう。

 ここですんなり助けると蒼龍の時の懸念でもあった、これから先、ドラゴンが何か助けを求めて群がってくるかもしれないという気がする。


 もちろん竜玉には同情の余地はある。

 星がスパイラルで閉鎖されるということが女神の仕業というのであれば降ってわいた災難と言える。


 しかし俺の想像通り、この星はスペースオペラを担う存在を長らく輩出できていないどころか、宇宙への進出率も低いから見せしめとしてという意味合いならばここはそのまま行くべきではないだろうか?


「そんな! 見捨てないで!」


 だってお前を救うと見せしめの意味がなくなるから俺がなんか厄介なことにならないか?


「跳べないスパイラルさえ跳べばきっと満足してくれます! たぶん細かいことを忘れます」


 まあそんな気がしないでもないが、そもそも飛べる保証がないだろう。


「そこを何とか!」


 さてどうしたものか?


感想、誤字報告、ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます。


急遽明日は飲み会に参加することになりました。

19時に予約投稿しておきます。

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