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#141 竜玉を封印せし螺旋の檻 13

 ……はあ、よりにもよってこのタイミングで竜玉からか。


「どうします? 繋ぎますか?」


 繋がないという選択肢をくれるのか?


「珍しく精神的に疲れているように見えますので」


 まあカグヤやレーティアに少々ディスられたところでブラック企業に比べたら全然大したことはなく、口では文句言うがノーダメージだったのだが――カグヤ、レーティアもそう思っているのだろう。

 だが今回はトラウマも刺激され本気で疲れてはいる。

 とはいえ竜玉との話も早急にしておきたいところではある。

 カグヤの気遣いはこの後、引きこもる時に発揮してもらうとしよう。


「船長はどこまで余裕があるのか本当にわかりにくいです」


 会話でボケもツッコミもできなくなったら追い込まれていると思ってくれ。

 ということで繋いでくれ。


「参考にします。それでは繋ぎます」


 あいよ。




「あんた、いい加減にって、……どうしたの? 死にそうな顔してるけど?」


 意外なことにゆるキャラに気遣われる。


 オタクのとこの住人の恋愛トラブルに巻き込まれて疲弊してるんだよ


「ウチの子? ウチの子はあんたと違って素直でしょう?」


 あれが素直ならウチのポーラは汚れを知らない純真無垢だろうな。


「そこで自分のことを言わないところが船長の素直なところだと思いますよ。それはさておき竜玉、情報連結を」




「ウチの子がこんな目にあってたの!」


 被害者でもあるが加害者でもあることを忘れるな。

 ウチのポーラは刺されかかったぞ。


「だから他星の人間って嫌いなのよ。言うこと聞かないし」


 そもそも聞く理由がないしな。

 何で保護してくれないのに命令を聞かなきゃなんないんだよ?


「ドラゴンの言うことを聞くのが結果的に正しいのよ! あんたもさっさと蒼龍と会話しなさい」


 やだよ、めんどい。


「じゃあ出ていきなさいよ」

 

 俺としてはお前と話をできたら初日でも出ていってもよかったんだが。


「そうなの? じゃあ何で早く言わないの?」


 取りつく島もなかったのはどっちだと?


「……まあいいわ、何?」


 今後お前が俺に連絡をとらないと約束してくれさえすればすぐに出ていくし、二度と近寄らない。


「連絡なんてとるわけないでしょう」


 そう言ってくれると心から助かる。

 これからこの惑星は孤立するかもしれないが頑張って人間を導いてくれたまえ。


「孤立って大げさな。確かにスパイラルは1年以上続いているけど」


 発生は自然災害なのでいつ発生するかというのはわからないのだが、だいたい長くても半年くらいで収まるという。

 

「それに新ゲートも発見されたんだし孤立なんかしないでしょう」


 そうか?


「そりゃああんたがここに行くなと言いふらしてもいずれは来るでしょう」


 そのいずれってのがドラゴンと人間では大きな差がありそうだが。

 でもまあ俺が心配しているのはそこではない。


「じゃあ何よ」


 俺が新ゲートを通って惑星フィ=ラガに戻ったら、たぶんスパイラルが発生し、そのゲートは封鎖されるかなと。


「はあ? 何言ってんの?」


 ついでに言うと惑星ガーランドに通じるゲートのスパイラルもこのままずっと続く可能性がある。


「カグヤ、あんたちゃんと教育してるの? 宇宙にそんなことなんか起こるわけないのよ! スパイラルが急に発生することも、消えずにいつまでもあり続けることなんてないのよ」


 ゆるキャラが俺を小バカにする。

 お前がそう思うなら構わんよ。

 そうなっても泣きつくな、そういってるだけで。


「そんなの起こりっこないから」


 女神の仕業でも?


「――――え?」


 最初にスパイラルが発生したのはまあ偶然だろう。

 俺が宇宙に出たのが11か月くらい前、その頃に宇宙で見渡してゲートを封鎖する形で発生していたスパイラルがここしかなく、ならこれを俺が来るまで発生させ続けましょう。

 なんたってスペースオペラだもの。

 跳ぶことが不可能なゲートを跳ぶのも醍醐味よね。

 ついでに直通のゲートも作っちゃいましょう。

 新発見のゲートを跳ぶのもスペースオペラの醍醐味よね。

 跳んでもらうように跳ぶまでスパイラルで封鎖しちゃいましょう。


 という考えに至ってないことを俺とカグヤは祈っているのだが。


「いや、ちょっと待って、そんなこと……」


 まああくまで可能性の話だ。

 そんなことはさすがに起こらないと思う。

 まあそういうことで、邪魔をしたな。

 二度と会うことはないが元気でやってくれ。


「ちょ、ちょっと待って! もしそうならどうするの!」


 だから連絡をするなと約束してもらったんだよ。

 俺は無関係だ。


「ちょっと待ってよ、そもそもあんたのせいでこうなったんでしょう?」


 そもそも拒否権なく巻き込まれたのに俺のせいにされても。

 それにお前にも一因があるのではないか?


「私には何の落ち度もないわよ」


 そうか?

 女神の言うところのスペースオペラを担う存在を長らく輩出できていないどころか、宇宙への進出率も低いから見せしめとしてという意味合いもあるのではないだろうか?


 最近思うのだが、女神が俺を転生させたのはもちろんスペースオペラが見たいからというのもあるのだろうが、ドラゴンに対してのテコ入れの意味合いもあるのではないだろうか?


「ウソ、そんな? ……カグヤ、そんなことあるの?」

「私にはなんとも。そもそも私は滅ぼされたドラゴンですから」


 関わりたくないとそっぽを向く。


「……ねえ日下部、なんとかしなさいよ」


 俺にはまだあのスパイラルを跳ぶのは不可能だ。

 だから尻尾を巻いて逃げるのさ。


「いいから跳びなさいよ! 黙って言うこと聞きなさい」


 おいおい、オタクの住人と一緒にしてくれるな。

 こちとらドラゴンを滅ぼした国の末裔で、最近では蒼龍がああなった原因でもある男だぞ。

 ドラゴンに頭ごなしで命令されて動くと思うのか?

 最低限の頼み方ってしらないのか?


「私を脅すっていうの! 大間違いよ! 人間はドラゴンの言うことを……」


 カグヤ、もういい、通信を切れ。


「了解です」


 上から物を言うゆるキャラが画面から消える。

 

 さてどうなるかね。

 とりあえずポーラたちが帰ってくるまで引きこもるよ。


「それはいいのですが、竜玉からの再度通信が来てますが」


 しばらく放置でいいよ。


「そうですか。そうなると現在竜玉、蒼龍の2体のドラゴンからひっきりなしに通信がかかってくる状況なんですけど」


 うんざりした顔のカグヤ。

 お前らのネットワークって着信拒否ってできないのか?




感想、誤字報告、ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます。


竜玉編なのに、もう13話だというのにようやくまともに出演した竜玉。

そして強制退場。


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