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#15 常識の時間 2  (三大人類不可能領域)

 やけにスッキリと目が覚めたがここはどこだろう


 三日月を横にしたようなベッドで寝ている。

 周りを見ると白を基調にした病院のような感じがするので医務室かなと当たりをつける。


 問題はなぜここにいるかだが。

 

 ……昨日はカグヤとの常識の雑談がすんだ後、ついでに酒でも飲もうと食堂に行った。

 焼鳥を焼いてもらいビールを堪能していた。

 一人で飲んでると飲む量など知れていて酔いつぶれることはないのだが、そこで動画が見れるということだったのでアニメを流しつつ、居酒屋みたいにドンドン運ばれてくると調子にのった。

 生ビール3杯と焼鳥をつまんでやめる予定が惑星ワイズの地酒を試し飲みを始めたので酔いつぶれたのだろう。


 どれか気に入った酒があったが、ピンクウサギが覚えているだろう、また今度飲もう。


 しかし外で飲むのは色々選択肢が増える分、量が増えるな。

 飲みにいくのは週一くらいにしてあとは宅飲みにしよう。

 まあ宇宙船だと自室で飲むのも食堂で飲むのも、大きいくくりだと宅飲みなのかもしれないが。


 しかし深酒した翌朝なのに二日酔いも胃もたれもないな。

 そんなことを思っていたら白ウサギとナース服を着た黄色のウサギがやって来た。

 話によると、酔いつぶれた後、自室でも問題はなかったが健やかな寝覚めをと思い覚醒処置をおこなった。

 あと医療室も一度案内しておきたかったと。

 それは構わないのだけど酔いつぶれた後がこんなに快調だと酒に強くなった錯覚が起きるな。

 よほど酷くないときは二日酔いで苦しむから自室でいいよ。


 でもゲート突入の際は酒を完全に抜かないとダメ? 

 じゃあその時は頼むよ。


 軽い朝食の後、自室に戻りシャワーを浴びようかとも思ったが、そのまま運動してからシャワーでいいやと、さっさと今日のノルマの運動を行う。


 その後部屋に戻り、昼飯までネットをする。

 昨日見忘れた俺の死亡記事は進展がないせいもあり、だんだんと下火になっている印象を受けた。

 死因がパワハラでのショック死ということで話題性はあるが、パワハラ自体は世間的には珍しくないしな。

 まあ会社が家宅捜索されるなら色々ヤバイのが出てくるんだけど。



「改装状況は順調です。24時間後には出航出来ますので明日はこの時間より早めに来てください」


 現在日本時間で14時。

 自室でだらだらしてたら本当に部屋から出たくなくなるよな。


「では今日は三大不可能領域について説明します。永久機関、自律思考型管理頭脳、門<ゲート>です」

「自律思考型管理頭脳とゲートは昨日までよく出てきた単語だな」

「そうですね。ゲートについては初日にある程度は説明しましたね。追加の説明は宇宙に出たときでいいと思います。自律思考型管理頭脳も昨日少し話しましたが、とどのつまりはドラゴンシステムのことでそれを人間が使えるようにダウングレードで量産したものと考えてください。地球でいうところのAIの最終進化版ですが、人間が作ってはたどり着けない領域のレベルのものです」

「神様のをよくわからないまま真似たほうがいいものが作れたってこと?」

「まあぶっちゃけそんな感じです。ちなみに今船長のお世話をしてるウサギたちは私から独立した管理頭脳なんですよ。よく働くでしょう?」


 確かに働き者だな。

 これが一般的なわけ?


「一人の人間の相手をするとなるとそうですね。もっと大きな100人、1000人、10000人と増えると頭脳たる部分が大きくなります。同時に処理できる容量の問題です」


 なんかすごい高性能なAI、ドラゴンシステムは意思を持った上位のAI。

 とりあえずその認識で問題なさそうだな。


「……問題はないんですけど、もうちょっと言い方ないですかね?」


 気にするな。

 最後の1つの永久機関はここでは初耳だけど、ずっと運動し続けるとか言うやつ?

 

「そうですね。外部からエネルギーの補給がなくとも運動をし続けます。それにより無限のエネルギーを得ることができ、人類は飛躍的に進歩します。なにせ有限の資源からではなく、無からエネルギーを調達できるのですから様々なことが安価でできます。この宇宙船だって各ユニットに永久機関による電力供給はされてます。そもそもこれがないと外宇宙を旅することなんてできません」


 俺の子供の時から石油が枯渇すると言われ続けて、いまだに使われているのでそこまで危機感はないが、メガソーラーだの省エネだのハイブリッドだの言われていた。

 ガソリンが高いから輸送費がかかる。

 灯油が高いからハウスで作る野菜が高い。

 そういったことから解放された世界は、それはいろいろなモノが安くなることだろうし、燃料効率が悪いと言われ、断念された技術を片っ端から挑戦できることだろう。

 きっと人の生活は豊かになるだろうし、豊かになれば宇宙にも目を向けるかもしれない。


「でもまあ、……遠大な計画だなぁ」

「否定はしません、なにせ神ですもの」


 なるほど、説得力がある。


「まあその3つを人間に与えればスペースオペラの銀河になるってことか」

「そういうことです」


 これを遠大といわずに何を遠大と言おうか。

 不老不死の神とは言えよくもまあこんな種を蒔くもんだ。

 実るまで待つなんて正気の沙汰ではないと思うのだが?


「それはさておき永久機関と自律思考型管理頭脳の隠しギミック発見できそうですか?」


 そういやそんなのあるとか言ってたな。


「どうでもいいよ、そんなの。俺はSFの設定はよくわからんけどなんかすげえで十分な人だから。ロマンさえあればそれでいいさ」

「……そういうところは創造主と話が合いそうですよね」


 まあその結果が異星界転移ですがね。

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― 新着の感想 ―
永久機関のギミックか…めっちゃ高性能な核燃料物質でエネルギー生み出して、そのエネルギーを蓄えて置いて、核燃料物質を使い果たしそうになったら物体時間巻き戻しシステムで巻き戻して新品未使用状態にするとかか…
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