#132 竜玉を封印せし螺旋の檻 4
感想、誤字報告、ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます。
来週頭までいろいろ立て込んでいて少しバタバタとしています。
22日(金)~25(月)まで19時の予約投稿にしようかと思っていますが、その準備もできていません。
これから頑張ります
用件を聞こうか?
自室の部屋のリビング。
カグヤとレーティアがソファーに座っている。
ポーラに聞かせたくない話があるというので、ポーラが眠ったタイミングでやってきたという。
「はい、これから向かう惑星グルドニアについてです」
なんか厄介な惑星とか言ってたな。
「はい。特に船長にとっては」
俺みたいに宇宙船に引きこもっている人間に厄介になるってのがよくわからない。
別に厄介なら即逃げればいいじゃないか。
「船長だけならそれでもいいのですが、ポーラを休ませずにですか?」
まあ最悪は我慢してもらおうよ。
「ここから最寄りの惑星へ続くゲートはスパイラルで封鎖されていますが」
正直それが一番引っかかっているところだがな。
まあフィ=ラガに戻って本来跳ぶ予定のゲートを跳べばいいだろう。
それくらいはポーラも我慢してくれるだろう。
最悪フィ=ラガに戻ってもいい。
「ビデオレターを送った直後に里帰りだとかっこ悪いんだけど?」
気にするな、人生ってのは恥かいてなんぼだ。
「人生って、僕、管理頭脳だよ」
気にすんな。
「マスターってそういうところ適当だよね」
臨機応変と言え。
「まあ最悪はそうしましょう。その前に惑星グルドニアについて説明させてください」
ある程度は予想がつく。
あの星のメインの竜玉と呼ばれる管理頭脳はドラゴンなんだろう?
「ご明察通りです。ドラゴンとして使命終了後、その星の住人にこれまで同様に導くように請われて、それでもドラゴンがそのまま現存すると人類の進化に悪影響があると考え、竜玉という管理頭脳になりオブザーバー的に相談を受けるということになり、それがいつしか、みんなが竜玉の指示通りに動くようになったのです」
結局どっちにしてももろに悪影響を受けたんだな。
てか大丈夫か、その星の住人は?
「賢いというか物分かりがよいと言うべきでしょうか。自分的には納得のいかない指示でも逆らうと面倒なことになる。ということを幼少期から体験しますと、結局竜玉の指示に従うのが正しいというとこになり、それが2000年以上も続くとそれはもう従順な子羊の群れです」
俺からしたら恐ろしいなと思うんだが?
「とはいえ星の住人は基本的に自由ですよ。竜玉も基本的に口だすのは政治までです」
奉仕活動がどうとか言ってなかったか?
「それも政治の一環です。国民は協調性、集団行動、整理・整頓・清掃・清潔・躾・習慣というものを身につけて置くべきだと」
まあそういう星もあるのだろう。
でもそんな星で育った人間が宇宙でやっていけるのか?
「適性検査を国民には義務付けており、素質のある人間を国家の貿易宇宙船乗りとして採用していますが、独立する人はほとんどいませんね」
だろうな。
しかしまあどこぞの宗教を思い出すな。
「ある意味正解です。それがポーラを抜きに話したかった理由です」
というと?
「竜玉は蒼龍に敬意を払っておりまして。自身が人間を管理する際に蒼龍を参考にしたというか、相談したというか」
それは残念なことだな。
それにしては口を出さなかった蒼龍と違い、管理頭脳になって口出ししまくっているのではないか?
「それが蒼龍のアドバイスですね。自身が象徴としただけの存在でほとんど何もできないから、自然に指示出せるほうがいいのではという意見を採用して管理頭脳となりました」
まあそういう星があってもいいだろうけどさ、的な考えにしか思えないが?
「否定はしません」
「宇宙って実はひどく適当?」
適当だぞ。
大雑把ともいう。
こんなところでスペースオペラするなんて無理ゲーだぞ。
「否定はしません」
「そこは否定しておこうよ」
レーティア、無茶を言ってはいけない。
で、この惑星が厄介ってのは竜玉は蒼龍のシンパだから恨まれているとでもいうのか?
「まあありていに言えば」
しかしそれは逆恨みだろう?
蒼龍がああなったのは女神のせいだろう?
「その元凶が船長だと」
いや元凶も蒼龍の蒔いた種で、女神にそそのかされた結果だろう?
「多くのドラゴンはその認識です。あとドラゴンを滅ぼした民族の末裔と関わるほうが愚かだと」
少々不本意な言われ方だがまあいいだろう。
「ですが竜玉はどうせポーラを引き受けるならおとなしく最初から引き受けろと」
それは勝手な言い分だな。
いや、管理頭脳として人を動かしてたドラゴンらしい言い分か。
素直に聞いたら他のドラゴンも俺を利用してくるかもという恐れがあった。
ああなったのは俺も予想外だが、結果的にドラゴンに避けられるようになったのだから成功したのだろう。
「まあどっちもどっちですが」
お前はどっちの味方だよ。
「一応この件につきましては中立です」
お前は一番にこっち側に来いよ。
「そうなるとネットワーク上で矢面に立つことになるのでお断りです。そうでなくても目立っているし誹謗中傷が多いんですよ」
ドラゴンたちってネットワークで何やってんだろう?
まあいいや。
竜玉が何かするかもしれないということだな。
「はい」
でも何ができる?
まさかいきなり攻撃されるとか言うか?
「さすがにそれはないかと。一応船長は選ばれしものですので、ドラゴンにとっては殺すなんてとんでもないことです。もしも殺した場合、その責任に船長以上のスペースオペラを用意しないといけないんですから」
そもそも各ドラゴンにそれができないから業を煮やした女神に俺が呼ばれた。
……あれ?
俺は女神のせいだと思ってたがドラゴンのせいでもあるのか?
「気のせいです」
いや、だがしかし。
「宇宙に飛び立たない人類も悪いとも言えます」
カグヤは静かにそれでいてはっきりとした口調で続ける。
「もっというならば地球だってドラゴンを滅ぼさなければ、船長がまっとうに宇宙に出ていたのかもしれません」
……わかった、元凶は女神でいい。
ドラゴンも被害者である。
「わかっていただけて幸いです」