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#129 竜玉を封印せし螺旋の檻 1

「キャプテン! いきなり無理を言わないでください!」


 いきなりかも知れないが、無理を言ったつもりはないぞ。


「無理ですよ。私まだ自信がありません」


 その自信をつけてみようと言っている。

 どうせいつかは跳んでもらうのだし、失敗したところで死ぬことはおろかペナルティがあるわけではない。

 まあ試しに跳んでみな。


「ですが……」


 しかもよく見てみろ、このゲートまでの真空の流れ。

 穏やかすぎだろう。

 シミュレーションでもここまで簡単なものはない。

 初チャレンジにはこれ以上のものはないと思うぞ。


「…………」


 ポーラは画面を食い入るように見て、俺の言葉が嘘でないと気がつく。


 まあ新発見のゲートだ。

 発見者が最初に跳ぶのが筋だろう。

 いい機会だ、やってみな。


「……わかりました。ただ準備をしてきていいですか?」




 精神統一のため、身を清めて祈ってからというので現在ポーラは退席中。

 そこまでは気張らなくても楽勝だと思うがな。


「船長がおかしいのです。普通ゲートを跳ぶ前は体調万全にして一番集中力のあるタイミングで行うものですよ」


繊細だな。


「マスターが鈍感なんだよ」

「いえ、船長が異常なんです」


 なぜか非難される。

 こうなるとこのゲートを見たときにここなら出力100%狙えると思ったことは黙っておくのが賢明だろう。




 それはさておきポーラがいない間に少し今後の展開を話し合おう。

 どこに出るかわからないということは、危険な場所に出る可能性はあるか?

 

「ゲートは入口と対になる出口は似たような真空状態になることが多いので、いきなりスパイラルに巻き込まれるということはないです」


 出先が小惑星帯とか、磁気嵐とかブラックホールとかはないだろうな?


「100%ないとは断言できません。ですがこの前の話でもありましたがこれが創造主の仕業なら私に対応不可能なことはしないと……信じたいです」


 本当にな。

 あと俺の抹殺計画するなら他は巻き込んでほしくはないしな。


「僕はまだ会ったことないけど今の会話だけでも相当面倒くさそうな感じがするよ」


 感じじゃないぞ、面倒くさいんだ。

 会ってないことは幸せなことだぞ


 俺の言葉にカグヤが頷く。


「レーティアがお目にかかるかどうかはとりあえず置いておきましょう。とりあえず、私が宇宙船の維持に努めます。レーティアは船長とポーラの生命維持を最優先してください」

「OK!」

「ですので船長は創造主が来た時の対応をお願いします」


 それが一番嫌なんだがまあ仕方あるまい。




「では参ります」


 緊張した面持ちでポーラは宣言する。

 俺とポーラはコクピットに座り、シートベルトで体を固定し、ついでにヘルメットをかぶっている。

 ゲートアウト後が未知のため念の為に装着をしている。

 ポーラの初陣を考えるとここまで重装備だと余計に緊張させてしまうな、すまない。

 ちなみにカグヤとレーティアもヘルメットこそかぶってはないがシートに固定されている。


 俺の見立てと同じ角度にずらしてのスタート。

 これで緊張で手が震えない限りは成功だろう。


 見るからにガチガチで力が入りまくっているのでもう少しリラックスしてもらいたいものだが、下手に声をかけるのはよそう、ぶれては困る。


 シフトをあげる余裕もなく、ゆっくりとゲートに進んでいく。

 スピード上げてさっさと終わらせた方が手もぶれないのだがなあと思うのだが。


 ゆっくりと、でも確実にゲートに進んでいき、


「ゲート突入、成功しました。おめでとうございます」

「ポーラ姉、やったね!」


 うん、よくやったぞ。


「ありがとうございます」


 と疲労困憊の様子。

 そんなに疲弊するものかね?


 そんなことよりカグヤ……、なんだ?

 いきなりアラート音がなり、艦橋に赤いシグナルが点灯する。


 どうした?


「ゲートアウト後、針路上に宇宙船を発見。回避運動中」

「マスター、ポーラ姉、衝撃に備えて!」


 モニターに映し出される進行方向に見える宇宙船が急速に近づいてくる。

 このままいくと相手の宇宙船の横っ腹にぶち当たる。


「きゃ!」

 

 横にGがかかるほど急激に舵を左に切る。

 相手も気が付いたのか、はたまたカグヤが指示を出したのか進行方向に加速する。

 

 だが徐々に距離がつまり、異常接近。 

 一瞬心臓が止まるかと思うほど息が詰まる。



 

「回避成功しました。こちらも相手も無傷です」


 カグヤの言葉にふうと息をつく。

 さすがに肝が冷えた。

 俺、宇宙に出て一番怖かったぞ。


「船長でもそういうのあるんですね」


 俺をどんな目で見ているのか知らんが、衝突事故は運送業界にいるとデリケートなことだからな。

 運転経験もそれなりにあり、知識も記憶もある分怖いんだよ。

 

「マスター! カグ姉! ポーラ姉が目を回してる」


 おっと、もっと酷いのがいたぞ。

 大丈夫なのか?


「命に別状はないよ。ただゲート突入の疲れとさっきのショックで」


 まあそれは仕方ない。

 医務室へ。


「今、黄色ウサギとストレッチャーを呼びました」


 よし、そっちは黄色に任せよう。

 久々の患者だ、張り切ってくれるだろう。


 さて、事なきを得たとはいえ一応ニアミスだし、相手に謝った方がいいよな?


誤字報告、ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます。


本日より新章スタートです。

取り急ぎしないといけないイベントがありまして、でもそれをする下準備だけだと話が成り立たたず。

そろそろカタをつけておこうかと思うイベントと、書きたくはないけど今後のことを思うとそろそろやっておこうかというイベントをまとめる事にしたら長くなることに。


色々思うところもあるのですが、頑張って書いていきますのでお付き合いください。


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