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#128 新発見

「イザヨイで感知できる範囲内に異変は見当たりません」


 ポーラが違和感を感じるポイントにたどりつくもカグヤの返答は変わらない。


「望遠で目視できる範囲にも何も見えないよ」


 とレーティアも報告してくる。

 艦橋は慌ただしい。

 

 でどうだ、ポーラ?

 まだ違和感があるか?


「はい、ここにきて今までより強く何かを感じます」


 そうか、なら何かあるんだろう。


「いえ、でも……私の気のせいという可能性も」


 まあそれは後で考えよう。

 とりあえず何かあるとして動こう。


「探査機を飛ばします」

「僕は集めたデータを洗い出してみる」


 俺の指示にカグヤ、レーティアが返事をする。


 さてポーラの気のせいならどんなにいいことか。

 問題はカグヤとの会話の通り女神の仕業の場合だ。

 その場合、俺にトラブルを与えるもしくは何かさせたいことがあるということだろうか。

 すでにスパイラルなどのトラブルは見当たらないという。


 ではさせたいことがあるのか?

 近くには恒星も惑星もなく真っ黒の空間が広がっている。

 こんなところで俺ができることなんて何もないよな。

 自動航行してくれるんだから引きこもっておくだけで。

 ポーラの違和感さえなきゃ艦橋など来ることもなかった。

 艦橋なんて日々に雑談を兼ねた報告とゲート練習くらいしか用が……あれ?

 カグヤ、ちょっと聞いてみるんだが。

 

「なんでしょう?」


 ここにゲートがある可能性は?


「へ? ゲートですか?」


 お前の持ってる隠しゲート情報にはないか?


「ありません、ですがこの世には私の把握していないゲートがある可能性もあります」


 探すの無理ゲーって言われた気がする。

 だけどさ、この状況下だと……。


「亜空間共振の準備をします」


 


「船長、新ゲートの発見です」


 そうか。


「信じられません。ゲートなんて簡単に発見できるものではないと習いましたが」


 と、驚くポーラ。

 きっと蒼龍のお導きだろう。

 マイタンを最後に混乱させる言葉を語った方のな。



 これってどこに通じているのかわかるのか?


「未知ですので、飛んでみないことには」


 跳べってことだろうよな。

 他に選択肢ないよなぁ。

 逃げてもいいかなぁ、ダメだろうなぁ。



 なあカグヤ、一応確認するが新ゲート発見したら何か特典はあるのか?

 賞金が出るとか。


「ゲートは共有財産です。あと秘匿することができません。ドラゴンより与えられた管理頭脳はゲートの情報は共有する設定になっております」


 スペースオペラ好きの設定からすると未知のゲートを秘匿して自分だけが飛ぶというのもロマンがありそうなものだが、そもそもそんなに宇宙が開けているわけでもなさそうだし、共有して少しでも多くの人間にいろいろな星を旅させる方が重要という考えだろうか?


「ただ発見者の名前だけは記録されます。ちょっとした勲章だと思っていただければ」


 そうかい。

 じゃあ発見者はポーラでよろしく。


「ちょっと待ってください、キャプテン!」


 どうした?

 お前の違和感に従ってきたんだからお前の功績だろう?


「いえ、私はただ違和感を言っただけです。実際ここまでくる判断をしたのも、ゲートがあると気が付いたのもキャプテンです」


 それはお前の功績を横取る理由にはならないよ。


「ですが」


 まあさっきも言ったが蒼龍の導きに従ったんだろう、ならばその功績を俺が受けても仕方ないだろう?

 蒼龍教のためにも登録しておきな。


「……わかりました」


 不本意ながら頷く。

 蒼龍教を出せば断りにくいのだろう。


「ではポーラの名で登録しておきます。とりあえず惑星フィ=ラガには報告しておきます」


 そうすると誰かが交易をしていつかはマイタンへその情報が流れる。

 国の教団関係者はさぞ喜ぶだろう。

 功績もそうだが、無事の便りにもなるからな。

 もちろんパールにも伝わるだろう。

 エクレアはまず気がつかないだろうが、イザベラならすぐに気がついてくれるだろう。


「それは、少し嬉しいです」


 さてゲートを跳ぶか?


「では10キロメートル離れた位置に移動します」


 10キロ?

 なんでだ?


「言ってませんでしたっけ? ゲートは亜空間共振波を10キロメートル出し続けないと亜空間繭にならないんです」


 距離なのか?


「距離です。ですので手動で操縦してもらっているのです。時間とかだとゲートぎりぎりで亜空間共振波を出して待機すれば誰でもゲート突入できるでしょう?」


 ああなるほど。

 俺はてっきり助走つけて突入したほうがスペースオペラっぽいから女神に推奨されているのかと思っていた。


「むしろそうしてもらいたいからそういう設定にしたのではないでしょうか?」


 イヤな話を聞いたな。


 


 さてゲート突入準備が整った。


「どこに出るのかわかりませんので速度を落として突入してください」


 それは構わないのだが。

 俺のシートがいつものゲート突入仕様になって画面を見る。

 ちなみにポーラは俺の後ろで突入手順を見るべく待機しているのだが。


 なあポーラ。


「はい?」


 お前が突入しなさい。



感想、誤字報告、評価、ブックマークしてくださった方ありがとうございます。


さて明日から本編は新シリーズに入ります。

全22話の予定です。

今までで最長ですがお付き合いください。

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