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#122 管理頭脳はドラゴンの夢を見るか? 12

「ドラゴン?」


 仮説だけどな。

 ここのところずっといろんなことを考えていたらそんな仮説ができた。


「ドラゴンってあれだろ、守護龍のことだよね。管理頭脳や永久機関を作ったっていう伝説の」


 そうだな。


「僕はそんなのじゃないよ。そんなの生み出せないから」


 心配するな、ドラゴンってのは神様が作った超すごい管理頭脳だから。


「何それ?」


 そんな怪訝そうな顔で見るな。

 実際この宇宙の創造主を名乗る女神もあったことがあるんだぞ。


「マスター、大丈夫? 引きこもりすぎて頭おかしくなったんじゃないの? カウンセリングしたほうがいいよ」


 まあ今回にいたってはそういわれることも予想済みだ。

 普通はそう思うよな。

 でも事実らしい、俺はその神様に宇宙船をもらって旅立つことになったんだ。


「マスター、少し休んだ方がいいよ。ハイになったオババよりよくわからないこと言ってる」


 これはポーラには内緒だが、カグヤはドラゴンだ。


「カグ姉が? そりゃあなんかすごいスペックしてたけど」


 これはカグヤを呼ぼう。




「あら? もう話したんですか?」


 問題ないだろう?


「ええ、まあポーラと違ってシステム側ですから、知っておいてもらったほうがいいとは思っていました」


 現在カグヤと情報連結させ説得中。

 

「でも星に残る残らないの話から、魂の話になって、それからレーティアがドラゴンって話の流れは突飛すぎませんか?」


 魂のある、なしとか考えてたら頭がこんがらがって、そもそも魂があって何の得があるのかとか考えてたら、管理頭脳に魂を搭載できたらドラゴンなんじゃね? って思い至って。


「隠しギミックだと?」


 かもしれないと。

 

「創造主が現れないから違うのでは?」


 言っててなんだが、俺もいま来たらどうしようかと思ってたよ。

 まあ仮説だ。

 人が魂の存在に気が付き、管理頭脳にそれを搭載できたら、ドラゴン並みの性能の管理頭脳を扱えるのではないか? 


「まあそういう意味であれば船長は魂の存在も証明できてないし、管理頭脳に搭載もできないから創造主は現れないかもしれませんね」


 てか隠しギミックを発見したら来るということもないんじゃないか?

 この前のはカグヤが混乱してたからきたのでは?


「前触れもなく来られるとさらに混乱しますがね」


 で、どう思う?


「魂がらみのことは禁則事項です」


 レーティアがドラゴンになる可能性は?


「何をもってドラゴンなんでしょうかね? 私はそう創られましたからドラゴンだと言えますけど、人が作ったものもドラゴンになるのでしょうか?」


 スペック的には?


「これから据え置き型につなげば格段に向上しますけど、私よりは劣るかと。あとドラゴン専用のネットワークにもつながらないかとは。ただ、どの惑星にある管理頭脳よりも上位スペックになります」


 ドラゴン>レーティア>その他の管理頭脳

 ってことか。


「ですね。個人が持つにはオーバースペック、国家が所有しても数世代上の管理頭脳で国家が1段階も2段階も発展するレベルです。そこから自身も発展させることができればドラゴンに匹敵するかもという可能性は否定しません」

「ちょっと待ってよ、僕はオババが改造しただけだよ。そんなのできっこないよ」


 それだから隠しギミックなんじゃないのかなと疑っている。


 よし、ならこうしよう。

 神が作った管理頭脳が「ドラゴン」なら、それに対抗しようと人が作った管理頭脳、その名は「タイガー」だ。


「なんです、それ?」

「なんだよ、それ?」


 我が星には「竜虎相搏つ」という故事がある。

 強い動物の双璧としてのたとえで、同じくらいの力量で優劣がつけ難いことから、力の伯仲した二人が勝負することをそう例えられる。

 レーティア、お前は今はまだ大したことがないかもしれない。

 だが成長すれば竜とも戦える虎児である。


「ねえマスター、何言ってるのかさっぱりなんだけど?」


 お前が自分はなんなのかという問いの答えのつもりなんだが。

 このイザヨイに乗ってカグヤを知れば、お前はいずれドラゴンにも匹敵する管理頭脳になる。

 その暁にはタイガーを作った製作者としてヨミ博士の名は宇宙に轟くことだろう。


「だから何言ってんのかわかんないんだけど?」


 このままイザヨイを降り、ヨミ博士とともに死んだ場合、ヨミ博士の人生は誰にも理解されずに終わる。


「――――!」


 さあ管理頭脳レーティアよ。

 お前には選択肢がある。

 製作者に従い、この船に乗る。

 自分の魂に従い、製作者と死ぬ。

 この船に乗った場合でもただの管理頭脳としてまっとうする場合と、製作者の名声のためにドラゴンと戦えるタイガーになるかだ。


「ほんとマスターって」


 レーティアは少し吹っ切れた顔をし、


「性格悪いよね」


 生前あまりそう言われたことはないけどな。


「詐欺師とはよく私が言ってますけどね」


 俺的には認めてないんだが。


「いいよ、マスター。この船にいても僕が『お母さん』のためにできることがあるっていうなら」


 レーティアは強い目で俺をにらむ。


「ドラゴンと戦えるタイガーになってやる!」





このシリーズ、ここで終わった方が読後感がいいのかなと思いましたが、この作品は蛇足を加えていくのが基本スタイル、もしくは蛇足こそが本編と思っています。

ということであと1話エピソードがあります。

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