#116 管理頭脳はドラゴンの夢を見るか? 6
「小僧! なんじゃこれは!」
お口にあいませんか?
「逆じゃ! 美味い」
と、試飲用にグラスで出した数点の日本酒を飲み、お褒めのお言葉をいただく。
それはよかった。
好みの味を言ってください。
竹のコップに入れて持ってこさせます。
あと冷か熱燗かの好みもあれば。
「これと、あとこれだな。冷で構わん。持ってこさせろ」
だそうだ、とりあえずそんな感じで。
つまみはどうでしょうか?
「おでんといったか? 練り物を煮るのってどうかと思ったが、これはこれでおつなもんだな」
それはよかった。
ちなみに、コンビニのレジ前に置いてあるようなおでんの鍋に煮てあり、それを白ウサギがとってくれている。
練り物以外にも大根とか玉子もなかなかいけますよ、試してください。
「これか、どれどれ……なんじゃこれは!」
お口に合いませんか?
「逆じゃ、なんだこの大根! 大根ってこんなに美味く食えるものなのか?」
よく味がしみ込んだ大根を絶賛してくれる。
それはよかった。
「ゴボウに練り物巻いただけでこんなに味が変わるのか? お前の星の発想は恐ろしいな」
お気に召したなら何よりです。
「このおでんにシロットを入れてもいいかもしれないな」
シロット?
なんだろう?
カグヤ……はいないんだったな、ピンクわかるか?
薄く切ったかまぼこのようなもの?
かまぼこはあったな。
なら入れてみてくれ。
あと魚肉ソーセージもできてるなら持ってきてくれ。
「キャプテン」
どうした、ポーラ?
「このおでん、おいしいですけど……お魚感がたりません」
知らんがな。
今日はお前の接待でないのでな、我慢しな。
「おい小僧! この魚肉ソーセージもいけるな」
「それはよかった」
「ウチの星は素材を原型のないまでに加工するのが流儀だが、他の星でもこういうのはあるんだな?」
そうみたいですね。
「おじさん、僕は食事しないから何か手伝おうか?」
と、レーティア。
俺的にはお客さん扱いだから座ってればいいさ。
オタクの主人の世話を焼いてな。
「わかったよ」
「キャプテン、この魚肉ソーセージもおいしいのですが……」
悪いがポーラ、今日はお前の好みを聞いてやれそうにないので口に合わなきゃ適当に逃げてくれればいいぞ。
どうにもお前の好みとは違いそうだ。
お前の好みに合う料理を提供できる余力がウサギたちにはなさそうだし。
「いえ、頑張ります」
別に頑張らなくてもいいんだけどな。
まああえて口には出さないがお前はこっち側で接待をする方に回ってほしいがな。
「小僧! お主なかなかやるな、気に入った」
お褒め頂き光栄です。
俺的には実際に見る幼女の皮をかぶったバアさまに酒を飲ますのにドキドキですがね。
「お主の国は変わっておるのぉ? 200歳過ぎてても規制がかかるのか?」
法律上はかかりませんが絵面的な問題です、気にしないでください。
「難儀な国だの」
まったくです。
「お主の国では管理頭脳が反乱を起こすという話だが」
物語だけどね。
「わかっておる。永遠の命に対してはどういう考えだ?」
求める権力者の姿はよく表現されるけど、失敗して終わるとか不幸になるとかそんな感じかなぁ。
最初は善良な人でも不老不死になると狂うとか死にたいからと事件を巻き起こす的な。
「……死者を生き返らせることは?」
ケースバイケースかな。
神的存在の力で生前そのままに復活することもあれば、おおよそ人とは違うゾンビ的な存在で復活することもある。
リスク背負うこともあればノーリスクの場合もある。
「そうか。じゃあ管理頭脳に人間の記憶を移すとどうなる?」
俺の星には技術的に不可能な意見が多いかな。
失敗する。
成功しても人間がコンピューターになったことに耐えきれずに自我が崩壊する。
人間だったことを認めずAIとして生きていく、的な。
「不幸にしかならないと?」
不老不死を求めて自分は脳だけの存在になってクローンを使って動いてたのもあったっけかな?
幸せかどうかは知らないが、主人公たちに倒されるまでは神様的に振舞ってた気がする。
「おい、それはホラーか?」
若い時にテレビで見たアニメだった気がするけどなぁ。
少し不気味だったけどホラーではなかったはずだが。
「人間が脳だけになるってめちゃくちゃのホラーだ!」
「キャプテン、いきなり怖いことを言わないでください」
とヨミ博士、ポーラから非難を浴びる。
肉体が邪魔だ的な発想は……そうか、老化のない世界だとそうは思わないのか。
文化の違いって難しいな。
カグヤがいたら「これだからドラゴンを滅ぼした末裔は野蛮なのです」って言いそうだ。
総PVが200万、総合評価も1万越えとなっていました。
応援してくださってる皆さま本当にありがとうございます。
まだ頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。