表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

120/316

#113 管理頭脳はドラゴンの夢を見るか? 3

「オババ、お客さん。久々の変わり者。それも逸材だよ」


 こんなイヤな紹介は初めてだな。

 働いていた頃、仕事を取るために俺をスペシャリスト的に持ち上げ、客先に紹介されたことはあったがそれに匹敵する。

 まさか持ち上げられるのとけなされるのが同等とは初めて知る事実である。

 

「ああ、もうくそ煮詰まってる時にうるさいわ!」

「逆だよ、オババ。煮詰まってるなら気分転換だって」


 レーティアはその辺に座っておいてと言い、奥にヨミ博士を呼びにいく。


「どうしましょう?」


 端末を持ったポーラが所在なさげに俺に訪ねる。

 まあ、お言葉に甘えな。

 ああ言うからには椅子の1つや2つあるんだろう? 


「ソファーがあります」


 じゃあ座ってな。

 あと交渉中、なんかあったら教えてくれ。


「私はカグヤさんには及びませんががんばります。あとキャプテンの交渉術を勉強させていただきます」


 ポーラはそのまま素直でいてほしいとカグヤが言っているが、そうなると俺がひねくれているように聞こえるな。



 しばらく待っているとレーティアが一人の美少女の手を引いてやってくる。

 少女、いや幼女と言っても通りそうだ。

 端正な顔立ちを不機嫌そうに歪ませた少女はレーティアよりさらに幼く見える。

 なるほど、逆か。


「お待たせ」

「初めまして、私はポーラと……」


 ポーラは立ち上がり挨拶を始めると少女は睨み付け、


「なんじゃい、この小娘が変わり者と言うんか?」


 と、見た目一番の小娘がポーラを小娘扱いする。


「違う、違う。こっちの端末の方。……ああ、うちの大きい画面に移し変えるよ」

「こっちの男か」


 俺的には視点が少し変わっただけなのだが別モニターになったようだ。


 どうもはじめまして、宇宙船イザヨイの船長の日下部晃です。

 この度はお忙しいところすみません。


「……ほう、小僧も遺伝子異常か?」


 似たようなもんです。

 

 てかまさかこんな幼女と言ってもいいくらいの子に小僧呼ばわりか。

 今日はおじさんだったり小僧呼ばわりされて落ち着かない日だな。

 まあ生前は「おい」だの「ノロマ」だの「クズ」「給料泥棒」だの呼ばれてきたからましな方だろう。


「まあ、こういっちゃなんだが、歳をとれる方がましだと思うのは……いや悪い。そっちにはそっちの苦労があるな。なんせ10歳そこそこで止まってそれから200年生きてるとな、不便で何度となく恨んだもんでな」


 いえいえ、お互い様ですよ。

 俺の星だと若い方が羨ましい。

 特にロリババアには一定数の需要がありますよ


「ロリババア?」


 日本では「イエス! ロリータ、ノー! タッチ」という法律があり、大人が少女に触れることはできません。

 その禁を破ったり、非合法の映像を手に入れたりして毎年、何人もの男性が逮捕されています。

 きっとあなたのような合法ロリの存在は日本に住む男どもに希望を与えることでしょう。


 ここまで言っておいてなんだが俺はロリコンではない、ホントだぞ。


「レーティア、またとびっきりなの連れてきたな」


 ヨミ博士はいきなりテンションが上がる。


「でしょう! 随分前に来たマルチダ姉さんをしのぐ逸材でしょう」

「あいつか、確か管理頭脳を調整してくれって言ったやつだったか?」

「そうそう、ブロン兄さんをあげた人」

「ああ、あいつも変じゃったなあ」

「ねぇ。でもこのおじさんも負けてないって。なんてったって今宇宙を旅して7惑星目なのに、いまだに宇宙船から降りてないんだよ」

「ちょい待て、普通宇宙船乗りっていうたら一惑星ごとに2,3ヶ月地上に降りてダラダラする生き物だろう?」

「僕もそう聞いてたけど、なんかこのおじさん宇宙船にずっと引きこもってるんだってさ。搭乗履歴も見せてもらったけどずっと宇宙船にいるんだよ」

「それでこんなんなのか?」

「う~ん、どうかな? 精神は安定してるって言ってたよ。むしろ引きこもっている方が落ち着いてるとも。だから素でこうなんじゃないかな?」

「それはそれですごいな。よくもまあ閉鎖空間で耐えれるもんだ。くそ、管理頭脳なら解析にかけるのに!」

「いや、オババ。管理頭脳なら閉鎖空間を何とも思わないんだから管理頭脳に近い脳波パターンなのか、もしくは逆に植物とかに近いんじゃあないかと」

「くそ、どのみち解析してぇ、分解してぇ!」


 よくわからんが褒められてないよな?

 あとかなり物騒に聞こえるが?


「でも、喜ばれているようなのでよかったのでは?」


 でもな、ポーラ。

 俺の何とも言えないこの気持ちを察してくれ。


「おお、悪い悪い。久々にテンションが上がったわ。すごいなお前!」


 ヨミ博士が目をきらめかせて俺を見る。

 先ほどの会話を聞いてなければ少しいい気になったかもしれないが、今となっては警戒感しかわかないわ!


「まあそういうな。たまに変わり者と話しておかないと研究が進まなくて」


 管理頭脳の研究家だったよな。 

 いったい変わり者と話してなんになるというのだろうか?


「でまあ、小僧。用件はなんじゃ?」

「このおじさんはゲン爺の素体の人形がほしいんだって」

「人形か」

「まあいいんじゃない、この前の遺品の1体あげても」


 レーティアが気楽に言うのに対しヨミ博士は腕を組み、唸る。

 製作者がいなくなったからレーティア用に取っておきたいのだろうか?

 はたまた元とはいえ、別れた旦那の遺品、大事に残しておきたいのだろうか?


 ……あれ?

 今気が付いたけどこの子、結婚してたんだ。

 日本のロリコンどもが聞いたらさぞ発狂することだろう。


「やらんでもないが……」


 もちろん金は十分に支払わさせてもらうよ。


「まあそれもありがたいが、ワシの研究にちょっと付き合え」


 俺が?

 言っておくが船からは降りないぞ。


「それが小僧のアイデンティティーって言うならワシはそれでいいと思ってる。なに、ちょいと会話に付き合え、そういってるんじゃ」


 まあそのくらいなら。

 そもそも管理頭脳の研究家なんだろう?

 俺は素人だぞ。


「うんなもん、百も承知よ。変わり者のデータが欲しいんじゃ」


 変わり者、まあそこは置いてこう。

 そんなデータでなにするんだ?


「小僧、ちょいと聞くが、お前は管理頭脳が魂を持てると思うか?」



今回の2人目の新キャラです。


作中に出てきたマルチダは某ポンコツ海賊で、ブロンはその管理頭脳です。

ヨミ博士の名前だけはスピンオフで出てきています。

この人の作った管理頭脳なのでブロンはあんな感じになっています。


この続きは明日の分まではできていますがそれ以降が難航。

今日明日で来週分のストックをつくれるようこれから執筆開始します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ