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#110 常識の時間 10(管理頭脳の基礎知識 後編)

 管理頭脳にも種類があることはなんとなくわかった。

 で何の話からそうなったんだっけ?


「最初からずっと管理頭脳の話ですよ」


 そうだったかな?


「キャプテン、素体の話です」


 ああ、惑星フィ=ラガの目的だな。


「そうです。私がそこの素体を求める理由です」


 うん、そんな話だった気がする。

 とりあえず、もう酒はいいのでウーロン茶を持ってきてもらいたい。


「今日は早めにやめるのですね?」


 ポーラよ、よく聞きなさい、これが自己防衛だ。

 今日この場で酔いつぶれると医務室に運ばれて、ついでにカウンセリングまで受ける羽目になる。

 俺的には正常なのだが、ここの管理頭脳に異常と判定されてアレしろ、コレするなと言われたくないので俺はもう素面に戻る。


「はあ、そうなのですか」

「ポーラ、こういう時は『キャプテン、バカなこと言ってないで話を続けますよ』って言えばいいですよ。そうすると『俺的にはまじめなこといっているんだけど?』って返ってきますから」


 ああ、言いそうだな。

 だいぶパターンが読まれてきたようだが、あまり俺の逃げ道をつぶさないようにしてくれよ。

 俺は打たれ弱いからな。


「私は船長の逃げるためのその場しのぎの対応力は評価していますよ」


 笑顔で言うな。

 さて話を戻そうか。


「そうですね」

「あの、私はお二人の話が脱線したり、そうかと思ったら急に戻ったりする展開についていけないんですが」

「大丈夫ですよ、ポーラ。そのうち慣れます」

「そんなものですか?」

「ええ、私もそうでしたもの」


 その言い方だと俺が悪いように聞こえるが?




「さて私が惑星フィ=ラガ製の素体を求める理由は単純に出来がいいからです」


 長々と語ったわりには普通の理由だな。


「そういった反応が出るあたり理解しているのか不安になります」


 一般の汎用型より動作性能がいいってことじゃないのか?

 

「1点はそれです。人間を模した素体ですと動きが複雑で多岐にわたります。そういった可動部が非常に人間のそれに近い作りになっています」


 なるほど。

 1点ってことは他にも?


「次にその動きに対してのプログラムの出来がいいのです」


 例えば歩くという行為がスムーズってことか?


「そうですね、船長が歩く行為をするのに右足を浮かし、80センチ先に移動。その際の重心とか体重移動とか考えていますか?」


 考えるわけがない。


「人間は生まれてから学習して無意識で体を動かせます。ちょっと段差があるからいつもより高く上げようなどと頭で考えなくてもするでしょう? ですが管理頭脳はそういうわけにはいきません。常に現状を把握し、最適な動きをすべく処理しています。特に人間の手という万能ツールは非常に高性能で、いま船長がウーロン茶を受け取り口に運びましたが、その作業だけでどれだけの処理を要することか」


 考えたことがないが、動きって複雑なのか。

 でもそれくらいできるのが管理頭脳なのでは?


「できます。が、高度な動きをするためにリソースをとられると、汎用型なのにできることが少なくなります。また処理が重くなると動作も鈍くなります」


 それを聞くと専用型のほうが便利そうだな。


「もちろん汎用型もその欠点を補うべく、基本動作プログラムを素体に組み込んであり簡素化はされていますが、イレギュラーには対応できず動作にリソースがとられます」


 惑星フィ=ラガ製は一般の素体より動作プログラムも高度だから使いやすいと。


「はい、それが2点目。最後3点目ですが、素体自体はマネキンのようなものですがそれにスーツを着せても私にはなりません。顔の部分は立体映像の技術を利用して表現しようと思っています。それが可能な技術もフィ=ラガにはあるのです」


 なるほど、たかが管理頭脳の素体と思っていたが、こだわる部分ってのはいろいろあるんだな。

 日本でもいろんなことにこだわる人間はいて、興味がない俺が適当に選ぶと情弱だと言われてきたもんだ。


「それと一緒にはしてほしくないのですが」


 もともと俺は素体購入には反対もしていない。

 いつも通りにコンテンツが売れるなら金に困ることもないだろうから、いいのを買いなというくらいで。


「ご許可ありがとうございます。ではそういう風に動きます。他に何かフィ=ラガについて質問がありますか? なければ今日は終了しましょうか」


 そうだな、俺は特にないが。


「ハイ! 惑星フィ=ラガのお魚料理の名物を教えてください!」


 ポーラが勢い良く手をあげる。

 いや、まあ、……大事なことだよな。


「練り物系が有名みたいですよ」

「ネリモノ? なんですか、それは?」


 それも魚料理になるのか?

 原材料は魚とはいえ加工品を魚料理と言ってもいいのだろうか?

 ……まあかまわないか。

 ポーラの気分だけの問題だ。


 そう言えばおでんやかまぼこはポーラが来てから食べたことないな。

 まあこの星の練り物を経験してからにしようか。

 なあピンク、魚肉ソーセージも作れるか?


感想、誤字報告、ブックマーク、評価してくださった方ありがとうございます。


明日より次の惑星にて「管理頭脳はドラゴンの夢を見るか?」を開始します。

今回の話や次のタイトルでどんな話になるかは予想されるかもしれませんが、お付き合いください。

まだ書き終わってないのでどれくらいの長さになるのかは未定ですが10話は越すかなと思ってます


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