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#104 環境適応力

「しかし船長の適応力って異常ですよね」


 いきなりどうした。

 褒めても何も出ないぞ。


「いえ、褒めたわけではないのですが」


 俺もそんな気はしている。


「死んだことをあっさり受け入れて、宇宙生活になじんでますよね」


 正確に言うとあんまり死んだ実感はないがな。

 あと宇宙生活している実感もない。

 

「いえ、そこは実感持っていていただきたいのですが」

 

 そんなこと言われてもなあ。

 苦しまずにショック死だろう?

 支社長が押し入ってきた記憶すらないしなぁ。


「死んだことはともかく、実際宇宙船で生活しているわけですし」

 

 それが常に艦橋にいて操縦してるとか、何らかの仕事をしているっていうならともかく基本引きこもってるだろう?

 もともと仕事辞めて引きこもるつもりだったしな。


「私的には引きこもってもらうつもりはないんですけど? てか日本って引きこもって生活できるんですか?」


 さすがに食糧の買い出しはいかないとダメだろうなぁ。

 退職金で生活しつつ、ハローワークで失業保険をもらえば、しばらくは生きていけると計算していたのだが、それには手続きに外に出る必要はあるから、完全引きこもりは不可能だな。

 きっと今よりも部屋から出る機会が多いだろう。

 となると今よりストレスの多い生活だったんだろうなぁ。


「あまりストレスを感じそうにない生活ですが?」


 バカ言うな、意外とハローワークは大変なんだぞ。

 お役所ってこっちが支払う分には手続きが簡単なんだが、受け取ろうとしたら手続きが複雑になるからな。

 ハローワークなどはこっちが払った雇用保険を返してもらおうとするのに、毎月顔を出せとか求職活動実績をだせとか手間かかるんだからな。


「まだ手続き前に死んだというのにすでにやってきたかのような憤りですね」


 間接的に被害をうけていた。

 会社で求人しているとたまに面接の申し込みしてくるくせにドタキャンする奴がいる。

 弊社クズノミヤ運送、面接にさえくればよほどの無能でも問題児でも採用なんだが、面接に来ない人間はさすがに採用できない。

 来ないだけなら問題ないと思われるかもしれないが、面接のために時間をつくり、段取りをして、来ないのなら確認の電話をしてってやるのも手間がかかる。

 まあ大抵電話に出てくれないしな。


 後から聞いたらハローワークの求職活動実績のために行く気のない面接を申し込むのだという。 

 今後絶対に行くことないブラック企業がそういうのに選ばれるというのだから、なるほどなと納得するところではある。


 とまあハローワークがさっさと支給してくれたら俺の手間が少し減ったことだろう。

 という具合に少々憤りがある。


「そもそも会社のブラック体質が広まってるからそういう求人が来るのでは? あとそういう求人なら来なかった時点でさっさと切って電話しなければいいのでは?」


 前者は俺のせいではない、後者はそれでも何とかして入社させないといけないくらい人手不足なんだよ。

 

「イヤな会社ですね」

 

 まったくだ。

 何がイヤかって、だいぶブラック企業ネタを話した気もするが、まだエピソードが山ほどあるってことだな。


「それは本当にイヤな話ですね。まあ後々聞きますよ」


 そうしてくれ。

 ……あれ?

 何の話だったっけ?

 

「船長の適応力はすごいですねという話です」


 そんな話だったかな、てかいきなりどうした。

 いまさらそんなことを聞くなんて?


「船長のデータを更新する際にたまには本人の意見や考えも聞いておこうと思いまして」


 なんだデータ更新とかしてるの?


「何をいまさら。思考だの性質だのを把握してそれに対応するのが管理頭脳の役目です。ちなみに船長は少々雑に扱ったほうがいいんだと思っています」


 うん、たまにそんな感じを受ける。

 そして確かに不快でないというか、やりやすい。

 今まで20年パワハラを受けてきたので褒め称えられると戸惑うだろうな。


「それも善し悪しというか、そんな悲惨な状況下など想定していないんですけどね」


 下には下があるということさ。

 そんな過酷な状況下で例えれば、書類を提出すると見もせずにやり直しを求められることはよくあること。

 昨日指示された内容が次の日には真逆になっていたり、そんなことは言ってないと怒られたりしてきたもんだ。

 そんなものを対応して20年生きてきた。

 適応力としてはそれなり身についたのではないのかなとは思うな、それが楽な方向なら人間いくらでも自堕落にいけるってもんだ。


「ブラック企業のパワハラって恐ろしいですね。ちなみにどう対応してきたんですか?」


 相手が見ずにやり直しを求められたらラッキーだな。

 同じのをそのまま再提出する。

 

 あとどうせやり直しを命じられるんだから最初は手を抜く、本番は2度目から。


 最初は適当なA案、本命のB案は後にとっておくとかだ。

 

 上司は2,3回やり直させればましなものが出てくると思っているからな。

 そうなると馬鹿正直に付き合っていられない。

 いかに手を抜くか、楽するかを考えて生きてきた。



「聞くんじゃなかったと思いました」


 カグヤが頭を抱えている。

 俺が悪いんじゃないと思う。

 悪いのはパワハラする上の体質だ。




お気づきかもしれませんが実話をもとにしておりますw


明日は急遽新年会兼打ち上げに参加することになりました。

これから明日の分を予約投稿しておきます。

19時にしておきます。


時間が欲しいの時にこんなことになりました

行きたくはないのですが、魚がおいしい店だそうです。

ポーラのネタ探しだと思って行ってきます。

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