目が覚めたら明智光秀でしたが、いろいろ悩みます。
目が覚めたら明智光秀でした。
目が覚めたら明智光秀だった。
もし、転生を司る神がいるのであれば、次はもっとマシな人物にしてくれと三日は言い続けるだろう。
しかも現在は天正十年の五月、狸……次郎三郎さんの饗応役をを解かれた時点である。六月には毛利征伐に向かった禿鼠の増援に出発し、上総介を討つ必要があるから大忙しだ。
ちなみに上総介が俺に討たれたのは上総介に問題がある。
岐阜とか「周」の真似事をするのは「周」の同じ事、旧王朝を倒して新王朝を立てるという宣言に等しい。簡単に言えば天皇家を倒し、織田家による新しい国を作ると言うことだ。
織田家による簒奪は何としてでも避けねばならない。
そして、上総介が聞き入れぬ以上、殺してでも止めさせる必要がある。
例え我が身と一族を滅びようともやらねばならぬ事がある。
問題は上総介を倒しても遺族が故人の遺志を継いで……、などと言うことが起こらないように織田家の乗っ取りもする必要があるが、禿鼠に密書でも送っておけばあちらで何とかするだろう。
この謀反が欲や恨みによる物であれば上総介に気づかれないはずはないが、まさかこの戦国の世に朝廷に対する忠義で我が身と一族を滅ぼす馬鹿がいるはずがない。この明智光秀を除いては。
でもさ、明智さんはともかく俺は戦後生まれの一般的な日本人なんだよね。上総介さんはどうでもいいけど、お市の方とか娘さん達とか周囲の人間の幸福をブチ壊してまで、天皇家守る必要があるの?
いやまさに、討つべきか、討たざるべきか、それが問題だよ。
もし君の知る歴史で、本能寺の変が起きていたならば覚えておいて欲しい。
惟任日向守は逆賊信長を討ち、日の本の国を救った忠臣だと。
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