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ファインダー  作者: 福山直木
ポートレート〜それぞれの明日〜
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◆ひとりぼっちな写真部の日常19

夏休みも終盤にさしかかり、花火大会の当日がやってきた。

島にいた頃も花火大会はあって、毎年楽しみにしていた。一年に一度の浴衣に袖を通して、片手で数えられるほどの夜店で定番の食べ物を買って、お世辞にも立派とは言えない手作りの花火大会を家族や友達たちと楽しんでいた。

それを想像していれば、確実に腰を抜かすだろう。


浴衣で来て後悔した。歩きづらいのだ。

集合場所になんとかたどり着き、みんなを待った。

メールによれば、既に三人が合流して、こちらへ向かっているという。


五分ほど待って、やっと合流できた。

「ハルミさん、可愛い!」

「二人も似合ってるよ」

木次川くんを除いて、みんな浴衣だ。


木次川くんは浴衣の女の子三人と行動するのが、気まずそうだった。

「今日はあくまでも写真部の活動よ!花火の撮影頑張るわよ!」

少し距離を置く彼に新谷さんが言う。


屋台で食べ物を買いこんで、撮影に適した場所を陣取る。

少し会場から離れた小高い丘の上。既に家族連れやカップルなどで賑わっている。


花火大会の前、準備をしながら待つ時間が好きだ。


ほどなくして、花火大会が始まる。


一斉にシャッターを切る音が響く。

この丘よりも高く打ち上がり、はじけたと思ったらすぐに消える。花火がこんなに儚いものだとは思わなかった。


花火が打ち上がる直前、ファインダーを覗く。

花開く直前にシャッターボタンを押しっぱなしにする。

パシャパシャパシャ

何度もシャッターを切る。

ほんの僅かな輝きを逃すまいと無心で撮り続けた。


しっかりグリップを握り、脇をぎゅっと締めて楽な態勢を取り、シャッタースピードを微妙に変えながら撮る。

島にいた頃から、ずっと続けてきた撮影法だ。


三脚とレリーズを用いた方法が一般的で、石田さんは三脚とレリーズを持ってきていた。


夢中になると、時間の経過が早い。

あっという間に最後の打ち上げが始まる。無心でシャッターを切り続ける。

そして、最後の花火が煙る空にはじけて散った。


混雑を避けるために、終わった後もその場で話をしていた。

「絶対また来ようよ!木次川もまんざらでもなさそうだしね?」

「べ、別に…まぁ、行ってやってもいいがな…」

「浴衣の女の子に囲まれて楽しそうな顔してたのは誰かしら?」

「そ、そうなんですか?」

「いやいや、そんな顔してねぇよ!」

いつもの会話を繰り広げる。でも、いつも以上に楽しそうな表情を浮かべている。


無意識にファインダーを覗いていた。

「そうだ!みんなで写真撮ろ!」

「うん!」

私を見た新谷さんが提案する。

カメラを替えて四回、集合写真を撮った。みんな、お揃いの写真だ。


空いたころを見計らって、会場を後にした。

最初は気まずい感じを醸し出していた木次川くんも楽しんでいるようだった。


帰る途中、「誘ってくれてありがとう」と石田さんが言ってくれた。

その言葉がすごく嬉しかった。


ここ数年で一番楽しい時間じゃないかと思うくらいに心が躍っていた。

すでに「次は何をしようか」と考え始めていた。

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