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ファインダー  作者: 福山直木
フィルム ~それぞれの活動報告~
18/74

●とある写真家の憂鬱3

風景部門で応募したのは、海の写真。


個人的に自信はあったが、受賞まではいかないだろうと思っていた。


数日後、届いた郵便物の中にコンテストの結果通知があった。封を開け、恐る恐る確認してみると、あっけなく協会長賞を受賞してしまった。


あくる日、表彰式に呼ばれた私は都心にある大きなホテルに向かった。

慣れないドレスコードで外を出歩くのは恥ずかしいため、家からタクシーで直接乗り入れた。ちょっとした優越感に浸れた。


コメントなどはなく、関係者の挨拶と賞状授与だけだった。

プロの部門には、いかにも格の高そうな30代の女性が受賞していた。


「あなたが協会長賞取った人?」

授賞式後の食事会で突然、話を掛けられた。見た目通り、気の強い女だ。

「はい・・・」

「へぇ、こんな写真でも賞取れるんだ~」

喧嘩腰の彼女につい乗ってしまった。

「お、お言葉ですが、その発言は失礼ではありませんか?」

「どうせあんた、裏で手回ししてるんじゃない」

「何でもかんでも口にする癖は治したほうがいいですよ。もう良いですか?私は忙しいのでもう帰らないと・・・」

「あんたもすぐ喧嘩を買う癖をやめた方がいいわよ。私だって忙しいんだから、無駄な立ち話させないで!」

と言いながら、どこかへ去っていった。


数分後、会場の外で言い争う彼女を見た。誰にでも喧嘩を売る人だったようで、私だけじゃないと分かり安心した。


足早にタクシーに乗り込み家路を急ぐ。帰宅するなり、すぐに着替えて外出する。


いざこざを避けるための口実ではなく、本当に忙しい。今の私には欠かせない仕事が待っているのだ。

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