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人魚  作者: 佐伯亮平
7/22

7

「デイビッド……さんは、国へ帰ってからどうしていたの?」

 話しの流れを変えるように私は質問した。

「……アメリカに帰ってから、何もないただの日常さ。そして、ナツキのいない非日常。あの石はまだ持ってる?」

 私はこくんと、子供のようにうなづいた。

「よかった。捨てられたんじゃないかと思ってたよ」

 デイビッドはそう言って微笑した。

「……」

「ところでそのワンピース、よく似合ってるよ。ええと……紺色の生地に白のミズタマ模様。それに赤い口紅が映えて、とてもきれいだ」

「……そんな風に褒めたりするのね。外人さんて」

「自然なことだろう?」

 きょとんとして彼は言った。そんな子供みたいな表情が可愛くて、私は笑みを浮かべた。パーラーに着いた私たちは席に座る。周りにいる客も店員もデイビッドをじろじろと物珍しそうに見た。余所者の外人だ……と言いたげに。デイビッドはどこ吹く風という感じでメニューを見ている。少し経って店員は見計らうように「何になさいますか?」と訊いた。

「僕はアイスコーヒー。ナツキは何にする?」

「私は……メロンソーダを」

 店員はそれを伝票に書き留め、裏返しにして置く。

「子供みたいなチョイスをするんだね。ナツキは」

「……え、何かおかしい、ですか?」

「ぜんぜん。ただ可愛いなって思って」

「ありがとう……」

 褒められることに慣れていない私は視線を下へ落として言った。こういう時、白人の女の人はなんて言うのだろう? 当然の賛辞だと誇った顔をするのだろうか?

「ナツキ? ナツキ? もう少ししたら、あるんだろう? ナツマツリが」

「……え? うん、そう。海開きしてから、その後に」

「じゃあ一緒に行こうよ。僕もユカタを着ていくから」

「……そう、ね」

 私はとりあえず生返事をした。

「確か、ただでアイスクリームをもらえるんだよね?」

「残念だけどそれは子供だけなの」

「そうなのか! じゃあ僕たちはお金を出して買わないとね。デ……出店で」

「うん。あの、デイビッドさんは魚釣りとかしないの?」

「デイビッドでいいよ。魚釣り? する予定ないかな」

「そう」

「でも、行ってみたいところはある」

「どこに?」

「**にある大きな岩」

「そこなら、自転車ですぐだわ。と言っても、十五分くらいかかるけど」

「本当? 案内してくれたら助かるよ」

 彼は満面の笑みで言った。

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