15
*
水着の上に羽織っていたワンピースを脱ぎ、私はビニールシートの上に座った。
デイビッドはもう土手から海に飛び込み、泳ぎ回っている。霧生とは違う、均整の取れた肉体が私の目の前を通り過ぎていく。この一週間でずいぶんと日焼けしたようだ。
「ナツキもおいでよ!」
彼はそう言って、指を上に向けた状態で手前に振った。私はここにいるから……そう言おうかと少し迷ったけれど、海へ入った。
「向こうでも、こうして泳いだりしたの?」
「僕が住んでるところは海が近くにないから、子供の頃はほとんどプールで泳いでた。でも大学に入ってからは、夏休みになるとみんなでフロリダに行ったりしたよ」
「楽しそうね」
「ああ。ナツキもいつか一緒に行こう」
「……うん。ねえ、白人の女の人はみんなどんな水着を着るの?」
「ほとんどがビキニだよ。中には日焼けする為にトップレスになってる人もいる」
「本当に?」
「本当だよ」
それを聞いて、何だか自分が恥ずかしくなった。高校の時に使っていた白地のスクール水着を着ていることが。
「……」
「沖まで行かないか? ナツキ」
「え……? うん……」
「怖い?」
「怖くはないけど……」
「じゃあ行こう。競争だ」
デイビッドそう言って赤い灯台へと泳いで行く。私もその後に続いた。
少しずつ岸の喧騒から離れていく中、私は彼の元へたどり着いた。デイビッドは積まれた石垣に誇らしく手をついている。私は少し痛む肩を休ませるように石を掴んだ。
「大丈夫かい?」
「大丈夫よ。でも、もう少しで雨が降るわ」
「本当に?」
「ええ。私が海へ入る前から、湿った温い空気が漂っていたから。だからもう、帰った方がいいかもしれない」
私は空を見上げて言った。
「ナツキ」
どうしたの? という間もなく、デイビッドはもう片方の腕で私を引き寄せ、手慣れたように口づけた。




