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人魚  作者: 佐伯亮平
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 水着の上に羽織っていたワンピースを脱ぎ、私はビニールシートの上に座った。

 デイビッドはもう土手から海に飛び込み、泳ぎ回っている。霧生とは違う、均整の取れた肉体が私の目の前を通り過ぎていく。この一週間でずいぶんと日焼けしたようだ。

「ナツキもおいでよ!」

 彼はそう言って、指を上に向けた状態で手前に振った。私はここにいるから……そう言おうかと少し迷ったけれど、海へ入った。

「向こうでも、こうして泳いだりしたの?」

「僕が住んでるところは海が近くにないから、子供の頃はほとんどプールで泳いでた。でも大学に入ってからは、夏休みになるとみんなでフロリダに行ったりしたよ」

「楽しそうね」

「ああ。ナツキもいつか一緒に行こう」

「……うん。ねえ、白人の女の人はみんなどんな水着を着るの?」

「ほとんどがビキニだよ。中には日焼けする為にトップレスになってる人もいる」

「本当に?」

「本当だよ」

 それを聞いて、何だか自分が恥ずかしくなった。高校の時に使っていた白地のスクール水着を着ていることが。

「……」

「沖まで行かないか? ナツキ」

「え……? うん……」

「怖い?」

「怖くはないけど……」

「じゃあ行こう。競争だ」

 デイビッドそう言って赤い灯台へと泳いで行く。私もその後に続いた。

 少しずつ岸の喧騒から離れていく中、私は彼の元へたどり着いた。デイビッドは積まれた石垣に誇らしく手をついている。私は少し痛む肩を休ませるように石を掴んだ。

「大丈夫かい?」

「大丈夫よ。でも、もう少しで雨が降るわ」

「本当に?」

「ええ。私が海へ入る前から、湿った温い空気が漂っていたから。だからもう、帰った方がいいかもしれない」

 私は空を見上げて言った。

「ナツキ」

 どうしたの? という間もなく、デイビッドはもう片方の腕で私を引き寄せ、手慣れたように口づけた。

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