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明日に繋がる道

lastエピソード2ー二日前譚~当日譚ー

作者: minoarei

登場人物現在

山森健一(やまもりけんいち)

白岩涼子(しらいわりょうこ)

その他の山戸川高校の生徒会メンバー


5年前

山森健一(やまもりけんいち)

山森結香(やまもりゆうか)

綾川結衣(あやかわゆい)

山森莉沙(やまもりりさ)

山森夫妻

綾川家の皆

元矢麻突藻樹(もとやまともき)

俺は、学校から家に帰る。家に着いたのは良いんだが、何故か涼子も一緒だ。まぁ、彼女だから良いか。


「ところで涼子。家にはちゃんと連絡したのか?」

「うん。さっき学校出る前にね。」

「そうか。なら良いや。で、どうする?」

「夕飯食べてお風呂に入った後にね。」

「ん、分かった。」


今日の夕飯は涼子も一緒だ。夕食を食べ終わった後に、親父から俺との関係を知ってはいるのだが、改めて聞かれて笑顔で話していた。お袋には一言で「もう経験済みなんでしょ。」とバッサリ言い当てられました。俺は無表情で、涼子は顔を赤らめていた。妹の結香は羨ましそうに見ていた。俺は妹の好意を知っているから何も言えない。けど俺にとっては大切な妹だ。たとえ実妹だろうと義妹だろうと変わらないだろう。凛は首を傾げている。そして、莉沙姉は何も言わずにただ微笑んでいた。


その後俺は風呂に入って部屋に戻る。もちろん涼子とは別々に入りました。流石に恋人とは言え一緒に入るのは気が引ける。べ別に涼子の裸に興味がない訳ではないですよ。言うなら見たいですよ。でもね流石にねぇ幾ら恋人とは言え見るわけにはいかんのですよ。ただ俺の現状を教えておこう。自分の部屋の前で扉を開けようか開けないか迷っています。開けろと思うでしょ。開けたら押し倒されますよ。涼子にね。いや、だってね今日の涼子は何だか積極的なんですよ。

仮に開けたとしよう。間違いなく押し倒されます。そのままヤられますね。はい。

で、開けないでいると開けられて、顔面打ってそのままヤられますね。どっちも一緒なんです。はい。

ここはもう腹括るしか有りませんね。


ガチャ

開けました。目の前に涼子が正座してます。はい。終わった。終わりました。終わっちゃったよ。ははは。もうどうとでもなれ。


「よう。」

「今出たの?」

「ああ。」

「じゃ、私入ってくるね。」

「おう。」


そう言って涼子は、風呂に向かっていった。ははは。何とか危機回避。ははは。しかし、問題は涼子が風呂から出てきた後だ。どうしよう?まぁ、そうなったらどうとでもなれと思ってます。恋人なんだし婚約者なんだから。さて、涼子が風呂から出てくるまで暇だから本でも読みますかね。お馴染みの推理小説を。某探偵物の。某探偵物のシリーズは全て揃えている。日本語訳版と英語版が揃っている。読み終える頃には、涼子が戻ってきた。この後に起きたことに関しては何も言わない。勝手に想像してくれ。だからといって、変な想像はするなよ。


そんなこんなで二日過ぎて十二月十五日だ。俺は今山戸川高校の生徒会メンバーを引き連れて、墓参りに来ていた。今日が何の日かというと、俺の幼馴染みの命日だ。


「皆は先に行っててくれ。」

「それで、その墓は何処にあるんだ?」

「そこの階段から上がって一番奥から右に三個目の墓だ。」

「分かった。先に行ってるよ。」

「おう。」


そう言って生徒会メンバーは先に向かった。俺は花を買っていなかったので、花と線香を買っていくことにした。


「あれ?涼子先に行ってなかったのか?」

「うん。待ってた。」

「じゃ、行くか?」

「うん。」

俺と涼子は手を繋いで皆が先に向かっていった場所へと向かう。これから俺は、自らの過去を語る。数分後俺は、皆が待つ墓の前に辿り着く。俺は先程購入した花を添えて、線香に火を点けて、皆に均等に配分する。その後全員で線香を添える。


「さて、山森先輩今日は何故オレたちをここに連れてきたんですか?」

「ちょっ、ちょっと蒼。」

「聞かないといけないだろ。何故山森先輩がオレたちをここに連れてきたのかを。そうだろ、楓。」

「確かにそうだけど、もう少し優しく聞けないの?」

「別に構わないよ。何も聞かなくても、話すつもりだったし、これで話しやすくなったよ。」

「それで、山森君。私たちを、ここに連れてきたのは何故?」

「皆をここに連れてきたのは、俺の過去を話すためだ。」


俺は今から自らの過去を話す。

「今から、凡そ5年前の事だ。俺には、幼馴染みの女の子がいた。彼女の名は、綾川結衣。一つ下の小学六年生だった。昔良く莉沙姉と俺と結香と結衣の四人で良く遊んでいた。でもそれも莉沙姉が小学校を卒業して俺が小学校を卒業する頃には、遊ばなくなった。けれど、結衣は良く遊びに来ていた。」


――――――――――5年前―――――――――――――――

「あははは、それはおかしいよ。」

「いや、本当なんだよ。昨日テレビでやってたんだよ。」

「絶対にないって、そんなことが起きるわけないよ。」

「本当だって、昨日やってたんだから。」

「分かったよ。」

「絶対に分かってないでしょ。」


今日も結香の部屋からは、楽しそうな会話が聞こえてくる。幼馴染みの結衣が遊びに来ているのだ。俺は、自分の部屋で勉強をしていた。もうすぐ期末テストがやって来るので遊んでいる場合ではない。といっても、既にやる必要は全くないので、椅子から立ち上がり部屋を出てリビングに向かう。そのリビングには、先客がいた。結香と結衣がいた。


「あ」

「久し振り健一。」

「ああ、久し振りだな、結衣。」

「それで最近は調子どう?」

「まぁ、元気にやってるよ。そう言う結衣は、元気そうにやってるな。」

「おかげさまで。」

「そうか。なぁ、結衣。」

「なに?」

「その、なんだ。期末テストが終わったら、久し振りに遊びに行かないか?」

「うん、良いよ。」

「まぁ、ゆっくりしてけよ。」

「うん、今日は泊まっていくつもり。」

「そう。さてと、勉強でも再開するかな。」

「頑張ってね。」

「ああ。」


俺は、自分の部屋に戻り勉強を再開する。そんなこんなで、期末テスト当日を迎えた。二日間かけて行われる。一日目は、国語・英語・理科・数学の四教科だ。国語・英語・理科・数学のテストを終えて、帰宅する。二日目のテストの勉強をして夜を迎えて就寝する。二日目は、保健体育・技術家庭科・美術の三教科だ。保健体育・技術家庭科・美術のテストを終えて、期末テストが終わった。

その週末の日曜日。十二月十五日。運命の日。

俺と結衣は、駅前にて待ち合わせをしていた。10時を迎えて結衣が走ってやって来る。


「お待たせ。待った?」

「いや、待ってないよ。今さっき来たばっかだし。」

「そっか。それじゃ、早く行こ?」

「ああ。」

俺と結衣はこれから遊園地に向かう。某有名遊園地に向かう。遊園地に着くと、結衣ははしゃいでいた。


「次は、あれに乗ろう。」

「はいはい。」

凄いはしゃぎようだ。それより、俺は結衣の事をどう思ってるんだろ?幼馴染みと思ってるのか?それとも、それ以上の関係になりたいと思ってるのか?俺は、結衣の事を………。


そして、遊園地から帰ってきて、駅前で俺と結衣は並んで歩いていた。今日の遊園地での事を話している。


「今思い出しても笑えるな~。」

「お、おい。笑うなよ。」

「まさか健一があんなにはしゃぐなんて。」

「べ、別に良いだろ。それよりお前だってあんなにはしゃいでたじゃねえか。」

「私は、良いんだもん。」

「な………。」

「へへへ、後で結香に健一の写メ送っとこうと。」

「お、おい。やめてくれよ。」

「へへへ、やめてほしかったら、キスして。」

「…………………………は?」

「だから、送ってほしくなかったら、キスして。」

「出来るかよ。」

「ふうん、送ってほしいんだ?」

「な……………はぁ。」

俺は、視線を結衣の後ろに向けると、結衣の後ろに、ナイフを持った男が近づいていた。俺は、その背格好に見覚えがあった。


「結衣、危ねえ!」

「え?」

「ちっ。」

俺は結衣の元まで走りそのまま抱き締める形でナイフを持った男から庇う。左腕を切りつけられて、俺は右手で男の左腕を掴んで

「お前は、誰だ?」

男は左腕を掴んだ俺の右手を振りほどこうとして、ナイフを振り回す。その反動で男の被っていたフードが取れて、顔が露になった。メガネをかけたその男は、

「元矢麻突藻樹…………。」

「…………っ。」

小学校の頃に友人だった元矢麻突藻樹だった。

元矢麻は逃げようとして、右手を振り払おうとするが、俺は逃がすつもりはない。結衣を抱き締めていた左手を離しナイフを持つ手からナイフを取り上げて、背負い投げをかける。

「逃がさねぇ。」

「くっ、離せ。離しやがれ!」

「離さねえよ。」

俺は元矢麻の顔面を一発だけ殴った。


「大丈夫?怪我はない?」

「うん、大丈夫。健一が守ってくれたから。」

「そうか。」

怪我がなくて良かった。やっと分かった。俺は結衣の事が、幼馴染みの結衣の事が、幼馴染み以上の関係になりたいと思ってるんだ。俺は結衣の事が、間違いなく好きなんだ。守りたいと思ってるんだ。

「なぁ、結衣。聞いてほしい事があるんだ。」

「なに?」

「俺は、お前の事が」

「健一、危ない!」

「え?」

俺は結衣に引っ張られて地面に突っ伏した。

「結衣、何すんだ……よ?」

俺が見た光景は、元矢麻突藻樹が自分の近くに落ちていたナイフを投げ結衣の腹部に刺さっていた。


「結……衣。」

「け…ん…い…ち。」

結衣が倒れる直前で何とか抱き抱えた。

「結衣…………。」

「けん…いち。私は、けん…い…ちと久し振りに………出掛けられて嬉しかった。」

「結衣……。」

「私は、けん…いちに会えて………良かった。」

「結衣、もういい、喋るな。」

「けん…いち。泣かないで。」

「もう、いい、喋らなくて、いい。今、救急車、呼ぶ、から。」

「呼ば……なくて……いい。」

「何、言ってんだ…呼ばなくちゃ、助から、ない、だろ?」

「もう、間に、合わ、ない、から。」

「結衣、間に、合わ、ない、って。」

「けん……いち。聞いて……ほしい……事が、あるの。」

「結衣……。」

「私は、健…一…の…事が…好きだ…よ。」

「結衣……。」

「私は、健…一…の…事が…異性として…好きだ…よ。健…一…は?」

「俺も、結衣と、同じで、好きだ。結衣の、事が、好きだ。異性として。」

「ありが、と。」

「……っ………ぅ………うっ…………っ………うううう……結衣。」

「健…一。私の、分まで、生きてね。そして、新しい、彼女が、出来たら、守ってね。約束…だよ。」

「ああ、約束……する。必ず、新しい…彼女が…出来たら…守るよ。」

「約束、した、からね。ちゃんと、守ってね。絶対、だよ。」

「ああ、分かっ、た。」

「健…一。最期、に、二つだけ、お願い、聞いて…ほしいな。」

「なんだ?結衣。」

「最期、に、私に、想い出を、頂戴。私に、キス、して。」

「分かった。最期の、願い、叶えてやる。」

「ありがと、健一。」

そう言って、結衣は、目を瞑る。微かに、まだ、心臓の鼓動は聞こえる。俺は、結衣の唇に、自分の唇を重ねる。ほんの、数秒のキスだ。それでも、俺は、忘れないだろう。生涯何があろうと、今日のことは忘れない。幼馴染みとの。少しの間の彼女との。約束は、忘れないだろう。

「健…一。最期は、笑ってて、ほしい、な?」

「分かった、よ。結衣。」

俺は、笑顔を結衣に向ける。

「ありがと、健一。そして、さ・よ・な・ら。」

その後俺は、結衣を抱えて、元矢麻突藻樹の顔面を三回殴った。

結衣は、十二月十五日に他界した。享年12歳。まだこれからなのに、生きてれば、楽しいことがあったのに。これからだったのに。でも、泣いていたら、結衣に怒られちまう。だから、なるべく笑おう。俺は、結衣の遺体に上からジャケットをかけると、お姫様抱っこをして、綾川家へと向かう。俺は、綾川家に着くと、何故か山森家と綾川家の人々が待っていた。

俺はゆっくりと皆の前に歩いていく。


「健一…………。」

「お兄ちゃん…………。」

「山森君………。」

「…………健一。」

「皆………。」

俺は、その場に崩れ落ちた。結衣の遺体を、抱えて、崩れ落ちると同時に地面に置き、その場に泣き崩れ落ちた。

「…………っ…………ぅ…………っ…………うああああああ…………うううううううう…………。」

その後の事は覚えていない。一つだけ覚えているのは、莉沙姉に抱き締められて、泣いていたことぐらいだ。」数日後に、結衣の葬式が行われた。俺は、葬儀に参加して、結衣を見送った。最期の別れ。

俺は、心の中で誓った。

(結衣、見ててくれ。もし、俺に新しい彼女が出来たら、もう二度とこんなことにならないように、ちゃんと、守るよ。だから、見ていてくれ。俺は、必ず守るから。結衣との約束を。)

―――――――――現在―――――――――

これが、俺の過去。

「これが俺の過去だ。」

「「「…………。」」」

皆は声も出ない。

「それで、健一。その、結衣ちゃんを殺害した犯人はどうなったの?」

「元矢麻突藻樹は、逮捕されたよ。今も、刑務所にいるよ。」

「そっか。」

「恐らく、もう出てこれない。出てきても、俺は許さないよ。絶対にね。」

「…………。」

「そうだ。結衣に一応報告しとかないとな。」

「何を?」

「俺と涼子の事を。」

「あ、そうだね。」

「結衣、俺は、今俺の隣にいる白岩涼子と付き合ってる。」

(知ってるよ。)

「お前と約束した通り、守ってる。」

(見てたよ。)

「俺は、もう二度と繰り返さない。だから、これからも見守っていてくれ。」

(分かってる。いつまでも見守ってるよ。健一)

「ああ。」

「あの、山森先輩、オレたち先に帰ってますね。」

「おう。」

俺と涼子を残して皆は先に家に帰っていった。

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