第7話:地獄のサウナ!?魔王パパと裸の付き合い
「娘には指一本触れさせん!」
そう息巻く真央パパが仕掛けた次なる試練は、まさかの「一緒にお風呂」。
蒸気立ち込める浴室という名の密室で、元勇者と元魔王が裸の付き合い!
そこでレオが目にした、魔王の意外な「ステータス」とは……?
週末、俺の家に真央パパから招待状(という名の果たし状)が届いた。
『レオくん、たまには男同士、親睦を深めようじゃないか。我が家のジャグジーへ招待する』
母ちゃんは「あら、仲良しね!」と喜んでいたが、俺は知っている。
奴の家の風呂が、最近**「家庭用サウナ機能」**付きにリフォームされたことを。
これは「どちらが先にのぼせるか」という、命がけの耐久レースの誘いだ。
「さあ、入るぞレオくん……! 今日は逃がさんからな!」
浴室に入ると、真央パパは仁王立ちで俺を待っていた。
パパはなぜか頭に「必勝」と書かれたタオルを巻き、やる気満々だ。
俺は一応、システムウィンドウでパパを解析してみた。
真央 真央[魔王 Lv.99(育児により弱体化中)]
【状態】:重度の脱水症状(サウナに30分前から入っていたため)
【企み】:勇者をのぼせさせて「パパ、もう降参です」と言わせる。
【弱点】:娘たちの「パパ、嫌い」という言葉。
(……おい魔王。準備運動で既に死にかけてるじゃないか。無理すんなよ)
「バブ(熱いぞ、おっさん)」
俺が湯船の縁に座ると、パパはフラフラになりながらも不敵に笑った。
「フフフ……この温度、まさに煉獄の炎(42度設定)……。勇者よ、貴様にこの熱さが耐えられるか! ぐはっ、立ちくらみが……!」
パパは必死に壁を掴んで耐えている。
その時、脱衣所の方から5つ子たちの声(念話)が聞こえてきた。
忍三(暗殺者):『……パパの気配、不安定。レオ、危ないかも』
一華(賢者):『パパ、また無理してるわね。レオに格好いいところを見せようとして自爆するパターンよ』
乃二(聖騎士):『もう! パパが倒れたらレオが溺れちゃうじゃない! 私が突入するわ!』
扉の向こうで、赤ん坊たちが突入準備を始めている。
一方、浴室内のパパは、朦朧とする意識の中で俺に語りかけてきた。
「……なあ、レオくん……。お前、なんであんなにモテるんだ……? 俺がどれだけ高いおもちゃを買っても、一華たちは俺よりお前の『バブ』一言で喜ぶ……。正直、パパは嫉妬で魔力が暴走しそうだよ……」
パパの本音。それは、かつて世界を滅ぼそうとした男の、あまりにも切ない「父親の悩み」だった。
俺は少しだけパパが不憫になり、小さな手でパパの腕をポンポンと叩いた。
「バブ(お前が必死なのは、娘たちにも伝わってるぞ)」
その瞬間、パパの瞳から大粒の涙が溢れ出した。
「レオくぅぅぅん! 君、実はいい奴だったんだなぁぁ! よし、一緒に100まで数えよう!」
パパが俺を抱き上げようとしたその時――。
ドカーン!!
浴室の引き戸が勢いよく開いた。
突入してきたのは、おむつ姿の五つ子軍団。
先頭の輪四(格闘家)がパパの膝にタックルをかまし、忍三(暗殺者)がパパの手から俺を奪還。
結五(聖女)がパパの顔面に容赦なく冷水のシャワーを浴びせる!
「ぎゃああああ! 冷たい! 結五、パパに冷たいのは態度だけにしてぇぇ!」
一華(賢者)が冷静に告げた。
「バブ(パパ、のぼせすぎ。強制退場よ)」
結局、パパは脱衣所で母さんたちに「子供と一緒にお風呂で無理しちゃダメですよ!」と怒られ、俺は5つ子たちに囲まれて「洗われ放題(揉みくちゃ)」にされた。
(……やれやれ。魔王、お前の味方はこの家にはいないらしいな)
俺はウィンドウを確認した。
[魔王パパとの親密度が微増しました。称号『魔王の相談役』を獲得]
望んでいない称号が増えたが、パパの泣き顔を見て、少しだけ「この平和な世界も悪くない」と思いながら、俺は湯冷めしないように布団に潜り込んだ。
第7話、お読みいただきありがとうございました!
魔王パパ、ついにレオに悩み相談をしてしまうという急展開。
裸の付き合いで少しだけ心の距離が縮まりましたが、娘たちのディフェンスはさらに鉄壁になっています。
さて、次回は第8話!
「初めてのショッピングモール! 迷子の勇者と5人の追跡者」
家族でのお出かけ。そこでレオが、現代社会の魔物(?)「迷子センター」に捕まる!?
次回もお楽しみに!




