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第5話:パパの本気!親子ミニ運動会は場外乱闘の予感

保育園の親子参加行事「わんぱく運動会」。

魔王パパにとっては、娘たちの前で勇者レオを完膚なきまでに叩きのめし、「パパこそが最強の英雄」だと知らしめる絶好のチャンス!

大人の財力と魔王のプライドをかけた、大人気ない戦いが今、始まります。

保育園の園庭は、熱気に包まれていた。

今日は「親子ふれあいミニ運動会」。1歳児クラスのメインイベントは、親が子を抱えて走る「障害物競走」だ。

俺、レオのペアは母ちゃんだ。

「レオくん、頑張ろうね!」

(ああ、母ちゃん。俺を信じてくれ。重力制御(体幹維持)は完璧だ)

一方、隣のレーンには、場違いなオーラを放つ男がいた。

真央パパ(魔王)だ。

奴はなぜか、プロのアスリートが使うような超軽量・高反発のランニングシューズを履き、全身を高級スポーツウェアで固めている。

「……フフフ。この日のために、俺は有給を使い、近所の公園で秘密特訓(魔王軍式教練)を重ねてきたのだ。今日、娘たちの前で土を舐めるのは、勇者、貴様の方だ!」

パパは、5つ子の中から今日のパートナーに選ばれた乃二(聖騎士)を抱きかかえ、不敵に笑った。

乃二は「バブ(パパ、恥ずかしいから静かにして)」と顔を伏せているが、パパには聞こえていない。

「位置について、よーい……ピーッ!」

笛の音と同時に、パパが爆発的なスタートを切った。

(……速すぎるだろ! 1歳児の運動会で『縮地』を使うな!)

パパは第一障害物の「トンネルくぐり」を、匍匐前進のプロのような動きで突破。

続く「平均台」では、乃二を片手で高く掲げ、サーカスの曲芸師のように駆け抜けた。

「見たかレオ! これが父親の愛の力だ!」

だが、パパは気づいていなかった。

あまりのスピードに、他の親子たちがドン引きしていることに。そして、肝心の乃二が、パパの激しい上下運動で三半規管をやられ、目が回っていることに。

(……やれやれ。魔王は相変わらず、周りが見えなくなるのが弱点だな)

一方、俺と母ちゃんは着実に進んでいた。

俺は母ちゃんが走りやすいよう、完璧に重心を移動させ、空気抵抗を計算した姿勢を取る。

「あら、レオくん、抱っこしやすいわね!」

母ちゃんとの見事な連携パーティプレイだ。

最終障害物は「パン食い競争」ならぬ「ボーロ取り競争」。

吊るされた袋を子が掴めばゴールだ。

パパは乃二を高く放り投げた。

「いけっ! 乃二! 勝利を掴み取れ!」

(……赤ん坊を投げるな!)

空中で目を回していた乃二だったが、そこは元・聖騎士。

空中で体勢を立て直し、見事に袋をキャッチ。そのままパパの腕にスタッと着地した。

パパが1位でゴールテープを切る。

「勝った……勝ったぞ! 勇者に勝ったぁぁ!」

パパは天を仰ぎ、男泣きした。

だが、表彰式。

優勝したのは、パパではなく、俺と母ちゃんのペアだった。

理由は「親子の絆が最も感じられ、安全に配慮していたから」。

パパは「特別賞(やりすぎ賞)」として、保育士さんから「お父さん、もう少し落ち着きましょうね」と厳重注意を受けていた。

「……そんな……勝負には勝ったのに……」

ガックリと肩を落とすパパに、乃二がトコトコと歩み寄り、自分の獲ったボーロを一つ、パパの口に放り込んだ。

「バブ(パパ、お疲れ様)」

パパはその場で「乃二ぃぃぃ!!」と絶叫しながら娘を抱きしめ、周囲から再び不審者を見るような目で見られていた。

俺はそれを見ながら、一華(賢者)たちと合流した。

一華は「バブ(次は私がパパのパートナーをやって、ドーピング検査に引っかかるレベルの作戦を立てるわ)」と物騒なことを言っていた。

(……魔王。お前の娘たちは、お前よりよっぽど『魔王』らしいぞ)

勇者レオ。運動会の戦績は2位。

だが、母ちゃんとの絆と、パパの爆死を見られたことで、俺の満足度は最大カンストだった。

第5話、お読みいただきありがとうございました!

「大人げない魔王パパ」と「空気を読む勇者レオ」の対比、楽しんでいただけたでしょうか?

乃二のツンデレな優しさに救われるパパ……。なんだかんだで、いい親子ですね。

さて、次回は第6話!

「ベビーサークルの密談!解析不能の恋心(と物理攻撃)」

パパのいないところで、ヒロイン5人がついに本格的な「勇者攻略作戦」を開始!?

レオが知らない間に、驚愕の計画が練られることに……。

次回もお楽しみに!

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