第4話:潜入!魔王城はピンク色の罠で満ちていた
お散歩という名の「勇者争奪戦」を終え、レオはついに隣の家――真央家へ。
そこは、前世で幾度となく剣を交えた宿敵の城(一戸建て)。
親バカ魔王が仕掛ける「最高のおもてなし(物理)」に、レオはどう立ち向かうのか!?
「あら、レオくんいらっしゃい! 狭いけど上がってちょうだい」
真央家の母さんに招かれ、俺はついに隣家の玄関を跨いだ。
一歩足を踏み入れた瞬間、俺の「危険察知」スキルが最大レベルで鳴り響く。
(……なんだ、このプレッシャーは!?)
廊下の突き当たり。半開きのドアの向こうから、ドス黒いオーラ(と、凄まじい花の香り)が漂ってくる。
そこはリビング。かつての魔王が「王座」として構える聖域だ。
「……よく来たな、レオンハルト。いや、レオくん」
ソファに座っていたのは、真央パパ(魔王)だった。
奴はなぜかタキシードを着て、猫を膝に乗せ、ブランデー(中身は麦茶)を回していた。
「お父さん、何してるの? 早く着替えてちょうだい」
母さんの冷たいツッコミに、パパは「これは様式美だぞ!」と泣きそうな顔をしながら、俺をジロリと睨んだ。
「レオくん。今日は娘たちがどうしても君を呼びたいと言うから招いたが……この家には『三つの掟』がある。
一つ、娘たちから30センチ以上離れること。
二つ、娘たちに可愛いと言わないこと。
三つ、俺を『パパ』と呼ばないことだ!」
(……安心しろ魔王。最後のはこっちから願い下げだ)
俺が「バブ(ちっす)」と適当に挨拶すると、リビングの奥から「キャッキャッ」という歓声が上がった。
5つ子たちが、それぞれの「獲物」を持って俺を取り囲む。
一華(賢者)は、なぜか百科事典を持ってきて「バブ(これ、読み聞かせなさい)」と強要し、
乃二(聖騎士)は、俺に「手作り(粘土)の鎧」を着せようとし、
忍三(暗殺者)は、俺の背後から「バブ(膝枕、あいてる)」と静かに膝を叩き、
輪四(格闘家)は、「バブー!(組手だ!)」と俺の首を絞め(抱きつき)、
結五(聖女)は、「バブ(あーん)」と自分のおやつ(ボーロ)を俺の口にねじ込もうとする。
(……ぐ、苦しい。魔王城の罠より過酷だぞ、このもてなし!)
そんな俺たちの様子を見て、真央パパはソファで悶絶していた。
「ぐぬぬ……! 結五が俺にもやってくれない『あーん』を!? 乃二が俺には見せない『はにかみ顔』を!? レオ……貴様、前世で奪い足りず、今世では俺の家族の絆まで奪うつもりか!」
パパは耐えきれず、隠し持っていた「秘密兵器」を取り出した。
それは、最新式の「自動走行お掃除ロボット」を改造した、『対勇者用・強制接近阻止ゴーレム』(という名の、ただのルンバに怖い顔を貼ったもの)だった。
「行け! 我が忠実なる下僕よ! 奴らの間に割って入れ!」
リモコン操作されたお掃除ロボットが、俺と結五の間に突っ込んでくる。
だが、その進路を阻んだのは忍三(暗殺者)だった。
彼女は無言でロボットの電源スイッチを正確に踏み抜き、機能を停止させた。
さらに輪四(格闘家)が、止まったロボットを「バブ(邪魔!)」と投げ飛ばし、一華(賢者)がその飛距離を冷静に計測する。
「……う、嘘だろ。俺が3時間かけて改造したゴーレムが……」
魔王パパは膝から崩れ落ちた。
俺はそんなパパを哀れみの目で見ながら、結五から差し出されたボーロを甘んじて受け入れた。
(……味方(娘たち)に背後から撃たれる気分はどうだ、魔王。まあ、お前が愛を注いで育てた結果だからな)
帰り際、俺はパパの耳元で「バブ(楽しかったぞ、魔王)」と囁いた。
パパは顔を真っ赤にして、「二度と来るな! 明日も来い!」と訳のわからない叫び声を上げていた。
玄関が閉まる直前、5つ子たちが一斉に手を振る。
その瞳には、「次はもっとすごい計画があるから」という不敵な光が宿っていた。
勇者レオ。現代の魔王城、初攻略。
得られた報酬は、パパの嫉妬と、口の中のボーロの甘みだった。
第4話、お読みいただきありがとうございました!
魔王パパの家、もはやレオにとっては「ホームグラウンド」になりつつありますね。
パパの「様式美」が秒で崩壊する様は、書いていてとても楽しかったです。
さて、物語は50話を見据えた長期戦!
次回、第5話は**「魔王パパの逆襲、公園の王者は俺だ!」**
保育園の親子参加イベントで、レオとパパがガチンコ対決!?
いよいよパパが「大人の力(財力と体力)」でレオにマウントを取ろうとしますが、果たしてどうなるのか。
次回もお楽しみに!




