第39話:パパ、ついに孫の気配を察知!? 5つ子たちの「重大発表」と、魔王城の育児リフォーム
世界を五分割して統治する(リモートで)という超弩級の新婚生活にも慣れてきた頃。
魔王城の食卓に、かつてない緊張感が走った。
一華が静かに箸を置き、乃二が顔を赤らめ、忍三がそっとお腹をさする。
「パパ、話があるの」
その一言で、魔王パパの全細胞が凍りついた。
現代日本での苦労、異世界での戦い、すべてはこの瞬間のための序章に過ぎなかった。
勇者レオ、三度目の人生の「真のクエスト」が今、胎動する!
「……レオ、覚悟はできているわね?」
一華(賢者)の問いかけに、俺は生唾を飲み込んだ。
魔王城の玉座の間。パパと田中さんが見守る中、5つ子たちが一列に並ぶ。
一華:『……私たちの魔力波形に、未知の微弱な「生命魔力」が同期し始めたわ。……5人全員に、同時にね』
乃二(聖騎士):『……そういうことよ。レオ、あんた、パパ(父親)になる準備……しなさいよね!』
その瞬間、パパの持っていた湯呑みが粉々に砕け散った。
パパ:『……ご、5人……? 5人同時に……俺の……俺の初孫が……誕生する……だと……!?』
パパの瞳から、濁流のような涙が溢れ出した。
それは、かつて世界を滅ぼそうとした「魔王の涙」ではなく、ただの「初孫を楽しみにする初老の男」の涙だった。
パパ:『田中ぁぁ!! 今すぐ魔王城の全トラップを撤去しろ! 針の山はボルダリング施設に、毒の沼地は温水プールに作り替えろ! 角という角にクッションを貼り、城全体を「全自動おむつ替え魔法」でエンチャントするんだぁぁ!』
田中さん:『……部長。もうやってあります。ついでに、最新型の魔導ベビーカーも5台、最速で発注済みです』
(……田中さん、仕事が早すぎるだろ!)
だが、ここからが本当の戦いだった。
5つ子たちの妊娠(+魔力増幅)により、魔王城の周囲には、伝説の聖獣や神々が「祝福」のために次々と降臨し始めたのだ。
結五(聖女):『ふふっ……神様たちも、レオ様と私たちの赤ちゃんを楽しみにしているみたいですねぇ♪』
輪四(格闘家):『お腹の子と一緒に特訓できるのはいつかなー!?』
(……輪四、まだ早い! そして神様たち、勝手に庭に聖なる実を植えていかないでくれ!)
ウィンドウが更新される。
[緊急メインクエスト:五つ子の出産を無事に完遂せよ]
[現在のステータス:パパ→『おじいちゃんハイ』状態で、近隣諸国に孫の誕生を祝う「強制祝日」を布告中]
[レオの決意:勇者として、夫として、そして父として、このカオスな家族を一生守り抜く]
俺は、少しだけふっくらした(ように見える)5人の手を順番に握った。
前世の孤独な戦いが、今、最高の「未来」へと繋がっていく。
パパ:『レオくん! 孫の名前だが、「真央・レオ・ジュニア1世」から「5世」でどうだ!?』
レオ:『……バブ(パパ、それは流石に却下だ!)』
勇者レオ。
三度目の人生、ついに「世界を救う」よりも重大な、「オムツを替える」という聖域へと足を踏み入れた。
第39話、お読みいただきありがとうございました!
ついに次世代の予感。パパが「おじいちゃん」として完全覚醒し、魔王城が世界一安全な(そして騒がしい)保育園へと改造されていきます。
5人同時の育児……レオの体力と精神力が、今、試される時!




