第34話:新婚生活のルール! 5つの部屋の間に、パパが設置した「ベルリンの壁」
「今日からここは、真央家の新たな居城だ!」
喜びも束の間、レオに突きつけられたのは、パパ(元魔王)が徹夜で魔法構築した「新・城内校則」。
特にレオの寝室の周囲には、物理・魔法・精神全ての干渉を遮断する、通称『パパ・ウォール』がそびえ立つ。
新婚早々、嫁5人と隔離された勇者。
だが、元・勇者パーティの連携(と欲望)を、ただの壁が止められるはずもなかった!
「……何だ、これは」
俺、レオは、城の中央廊下で呆然と立ち尽くしていた。
さっきまであったはずの嫁たちの部屋への扉が、厚さ5メートルのオリハルコン製隔壁に差し替わっている。
壁には赤々と光る魔導文字でこう書かれていた。
『夜20時以降、異性の部屋への侵入は即、田中による連行の対象とする』
パパ:『フハハハ! 見たかレオくん! これぞ現代日本のセコムと異世界の古代魔術を融合させた、究極の防犯システムだ! 娘たちは俺が守る!』
(……パパ。お前、娘たちから「夫」を守ってどうするんだよ)
さらにパパは、城内に「巡回ゴーレム(パパの顔型)」を配備し、サーチライトを照らしながら廊下を監視し始めた。
だが、そんなもので止まるような嫁たちではない。
一華(賢者):『……無駄よ。レオ、聴こえる? 壁の分子構造を解析して、15分後に「量子透過」のゲートを作るわ。……夜中の2時に、私の部屋で待ってるわね』
乃二(聖騎士):『一華! 抜け駆けは聖騎士として許さないわ! 私はこのオリハルコンを「物理」で粉砕して突破する! レオ、爆音がしたらそれが合図よ!』
(……乃二、それじゃ新婚初夜じゃなくて攻城戦だよ!)
夜。静まり返った魔王城。
俺は自分の部屋で待機していたが、不穏な音が四方八方から聞こえてきた。
忍三(暗殺者):『……レオ。……天井裏のダクトから、失礼。……パパ、ダクトの中に「ネズミ捕り」仕掛けてた。……でも、無力化した』
忍三が音もなく天井から舞い降り、俺のベッドに滑り込んでくる。
しかし、その瞬間、壁が轟音と共に吹き飛んだ!
輪四(格闘家):『レオー! 乃二が壁を壊した隙に、先回りしちゃった!』
乃二:『ちょっと輪四! 壊したのは私よ! どきなさい!』
さらに、一華が空間を歪めて転移し、結五(聖女)が「パパに強力な睡眠薬を飲ませてきましたぁ……♪」と、およそ聖女とは思えない笑顔で現れた。
結果、俺の部屋に5つ子全員が集結し、かつての「冒険者の宿屋」のような大混雑に。
そこに、睡眠薬に耐性(親バカ補正)のあったパパが、パジャマ姿で飛び込んできた!
パパ:『お、お前らぁぁ! なぜ壁を抜けてここにいる! そもそもレオくんの部屋に5人で集まるなど、不健全極まりない! 田中! 田中ぁぁ! 防護服を着て突入しろ!』
田中さん:『……部長(魔王様)。もう諦めて、おじいちゃんになる準備をしませんか? 私、この家族の揉め事に巻き込まれてLv.100超えちゃいましたよ……』
ウィンドウが更新される。
[クエスト:新婚初夜の防衛ライン突破]
[結果:オリハルコンの壁、粉砕。レオの部屋の床が抜ける]
[パパの状態:絶望による精神崩壊]
勇者レオ。
異世界の魔王城での初夜は、家族全員での「枕投げ大会(物理破壊あり)」で幕を閉じた。
第34話、お読みいただきありがとうございました!
パパの「ベルリンの壁」も、嫁たちの愛と破壊力の前では紙芝居同然。
しかし、新婚生活は始まったばかりです。




