第29話:クリスマスの最終決戦! 五つに分かれたデートコース
降りしきる粉雪。街はイルミネーションに彩られ、恋人たちの季節がやってきた。
しかし、レオの元に届いたのは、5通の「果たし状(という名のデートの誘い)」。
同じ日、同じ時刻、5つの異なる場所。
「誰か一人を選べ」というザギの言葉。
「全員を泣かせるな」というパパの慟哭。
勇者レオが出した答えは、前世の聖剣よりも鋭く、今世の愛よりも温かいものだった!
12月24日、午後18時。
俺は、真央グループの本社ビル最上階にある、理事長の部屋にいた。
窓の外には、5つの光が見える。
一華が待つ、街一番の展望レストラン。
乃二が待つ、二人の思い出の公園。
忍三が待つ、静かな図書室(貸切)。
輪四が待つ、賑やかな遊園地の中央広場。
結五が待つ、荘厳な大聖堂。
パパは、シャンパングラス(中身はジンジャーエール)を片手に、震える声で俺に尋ねた。
パパ:『……レオくん。時間は来た。お前は、誰の元へ行く? 誰を選んでも、残りの4人は絶望し、俺はこのビルから飛び降りる(比喩ではなく覚悟としてだ)』
(……パパ、お前が死んでどうする。それに、俺は最初から決めているんだ)
俺はウィンドウを開き、前世から貯めてきた全スキルポイントを、一つの隠しスキルへと一気に注ぎ込んだ。
[スキル:時空多重存在開放]
パパ:『な、なんだ……!? レオくんが……5人に増えただとぉぉ!?』
レオ(1〜5):『……ああ。一人の女性を幸せにするのは男の義務だが、俺は「5つ子の幸せ」を願う勇者だ。だったら、5人全員を同時に、100%の愛で幸せにするしかないだろ!』
俺は5人に分身し、それぞれの場所へと同時に駆け出した。
【展望レストラン】
一華:『……あら、ジャスト18時。論理的に見て、あなたがここに来る確率は20%だと思っていたけれど。……嬉しいわ、レオ』
レオ1:『一華。お前の知性も、時折見せる弱さも、全部俺が一生支える』
【思い出の公園】
乃二:『……遅い! 寒かったじゃない……! ……でも、来てくれた。……ありがと』
レオ2:『乃二。お前の真っ直ぐな正義感、俺が一番近くで守り続けるよ』
【静かな図書室】
忍三:『……レオ。……捕まえた。もう、離さない』
レオ3:『ああ、忍三。俺も、お前の声をもっとずっと聞いていたい』
【遊園地の広場】
輪四:『レオー! 待ってたよ! さあ、観覧車乗ろう!』
レオ4:『輪四、お前の笑顔が俺の最高の活力だ。これからも走り抜けようぜ』
【大聖堂】
結五:『……信じていました。レオ様は、愛を分け隔てない方だと』
レオ5:『結五。お前の慈愛を、俺が独り占めさせてくれ』
しかし、この「超常的な二股(五股)」を、魔王パパが黙って見ているはずがなかった。
パパは本社のコントロールパネルを叩き、全ドローンと田中さんを動員した!
パパ:『ふざけるな! 分身して全員とデートなど、物理法則が許してもこの俺が許さぁぁぁん! 全力で阻止だ! 全てのデートスポットに「お邪魔虫(田中さん)」を投下せよ!』
田中さん(ヘリから降下中):『……部長、もう祝ってあげましょうよ……。私、5人のレオくんに囲まれて幸せそうな彼女たちを見て、もう涙が止まりません……』
ウィンドウが更新される。
[最終クエスト:5つの愛を同時進行で完遂せよ]
[現在の障害:号泣するパパ、空飛ぶ田中さん、そして分裂した自分自身の魔力消耗]
レオ(全員):『……バブ(負けるかよ、これが俺の選んだ「最強のパーティ」の形だ!)』
勇者レオ。
クリスマスの夜、街中に5人の勇者と5人のヒロイン、そしてそれを追う1人の魔王の姿が目撃され、翌日のネット掲示板は「集団幻覚」の話題で持ちきりとなった。
第29話、お読みいただきありがとうございました!
ついに禁断の「分身デート」。誰か一人を選ぶのではなく、全員を本気で愛し抜くという、勇者ならではの超次元的な回答です。
パパは必死に邪魔をしていますが、もはや「5人の幸せそうな笑顔」の前では無力に近い……?
さて、次回はいよいよ……最終回!
第30話「五等分の勇者〜そして、三度目の人生へ!?〜」
高校卒業、そして結婚!?
魔王と勇者が家族になるその日、世界に再び奇跡が起きる。
次回、感動のフィナーレ!




