第25話:体育祭の借り物競争! お題は「世界で一番大切な人」
青空の下、熱狂に包まれる校庭。
しかし、トラックの周辺には、なぜか特殊部隊のような装備をした魔王軍(パパと田中さん)が配置されていた。
「レオくんが娘の手を引いて走るなど、断じて認めん!」
パパの妨害工作を跳ね除け、レオが引き当てた「運命の紙」に書かれていたものとは……!?
「位置について、よーい……ドン!」
ピストルの音と共に、俺、レオは駆け出した。
コースの中央に置かれた箱。そこには、数々の「借り物」が書かれた運命の紙が入っている。
(……頼む、せめて『眼鏡』とか『100点のテスト』とか、物理的なものにしてくれ!)
俺が掴み取った紙を開く。そこに書かれていた文字は――
『世界で一番、大切だと思う人』
(……詰んだ。これ、誰を連れて行っても、残りの4人と背後の魔王に殺されるやつだ)
俺が紙を持って立ち尽くした瞬間、観客席の五つ子たちが一斉に立ち上がった。
一華(賢者):『……レオ、私の計算によれば、ここで私を選べば、事後のフォローアッププランを24通り用意してあるわ』
乃二(聖騎士):『何言ってるの! 私を連れて行きなさい! 盾としてパパの狙撃から守ってあげるわよ!』
忍三(暗殺者):『……レオ。私……。……隠密で、もう隣にいる』
(……いつの間に!? 忍三、お前いつからトラック内にいたんだ!)
一方、本部席ではパパ(理事長補佐)が立ち上がり、実況マイクを奪い取った。
パパ:『……速報だ! レオくんが引いたお題は無効だ! そもそも「大切な人」を公衆の面前で晒すなど、ハラスメントだ! 田中、今すぐレオくんを「校長先生」のところへ誘導しろ!』
田中さん:『……部長、それはそれでシュールすぎます。あ、お嬢様方がレオくんを取り囲みましたよ!』
トラック上では、5人が俺の腕、服、さらには首元を掴み合う大乱戦が始まろうとしていた。
結五(聖女)が、慈愛に満ちた、しかし逃げ場のない微笑みで俺を見つめる。
結五:『レオ様……。選べないなら……「5人全員」でゴールすればいいんですよぉ……♪』
(……それだ!)
俺は、一華と乃二の手を引き、背後には忍三が張り付き、輪四には肩を貸し、結五に背中を押される形で、巨大な「人の塊」となってゴールへと突き進んだ。
パパ:『やめろぉぉ! 5等分にしろ! 娘たちをレオくんから引き剥がせ! 田中、ネット銃だ! ネット銃を持ってこい!』
俺たちは、パパの放ったネットを輪四が回し蹴りで跳ね返し、ザギ生徒会長が「校則違反(集団走行)」と叫ぶのを無視して、そのまま6人同時でゴールテープを切った。
判定:【1位(?):勇者パーティ一行】
ウィンドウが更新される。
[クエスト:借り物競争(修羅場)、力技で突破]
[報酬:5つ子との『絆』が物理的に強化。パパの血圧が過去最高値を記録]
放課後、俺の体操着は5人に引っ張られたせいで、かつての「戦士のボロ服」のようにズタボロになっていた。
パパは校庭の隅で「……5人同時……。1/5じゃなくて……5倍のダメージだ……」と白目を剥いて倒れていたが、5つ子たちは誇らしげに俺を囲んで記念撮影をしていた。
勇者レオ。
中学生の体育祭は、前世の「対魔王決戦」よりも、エネルギーの消耗が激しいものだった。
第25話、お読みいただきありがとうございました!
「大切な人」というお題に対し、全員連れて行くというパワープレイ。
パパにとっては悪夢のような光景でしたが、5つ子たちの満足度はMAXです。
さて、次回は第26話!
「中学生編・第1部完! 勇者レオ、ついにパパ(魔王)とサシで勝負!?」
娘たちの成長に耐えかねたパパが、ついに「理事長室」にレオを呼び出し、真剣勝負を挑む!?
次回もお楽しみに!




