第23話:放課後の図書室! 忍三のサイレント・アプローチ
放課後の図書室。静寂と本の匂い。
忍三(三玖)がレオを誘い出したのは、本棚に囲まれた「完璧な死角」。
しかし、中学生になっても娘をストーキングするパパの執念は、理事長の権限を使って図書室の全蔵書に「盗聴魔法(という名のICタグ)」を仕込んでいた!
放課後、俺は忍三に呼び出され、図書室の最奥、歴史資料コーナーへと足を運んだ。
ここは利用者が少なく、巨大な本棚が迷路のように入り組んでいる。
(……忍三、気配がまったくない。中学生になっても隠密スキルは健在か)
「……レオ。ここ」
本棚の影から、忍三がひょいと顔を出した。
制服の上に少し大きめのカーディガンを羽織った彼女は、前世の無機質な暗殺者時代とは違い、どこか儚げな美少女に見える。
忍三(暗殺者):『……ここなら、他の4人も、パパも来ない。……これ、読んで』
差し出されたのは、歴史の本……ではなく、表紙をすり替えた『前世の冒険録(レオ編)』だった。
忍三:『……あの時、レオが救ってくれたから、今の私がある。……だから、今度は私が、レオを「確保」したい』
(……忍三。告白の仕方が、やっぱりターゲットの捕獲宣言に近いぞ)
忍三が俺の袖をぎゅっと掴み、顔を近づけてくる。
彼女の体温と、かすかなシャンプーの香りが鼻をくすぐる。
俺の『真実の眼』が激しく警告を発した。
真央 忍三:【状態】最大集中(全神経を恋に投資中)
【警告】:外部から超指向性集音マイクの指向性が感知されました。
(……やっぱりか!)
その時、図書室の天井裏(通気口)から、カサカサと怪しい音が響いた。
パパ:『……田中! 聞こえるか! 忍三がレオくんに「確保」とか言ったぞ! 確保されるのは俺のほうだ(ショックで)! 今すぐスプリンクラーを作動させて、この場を水浸しにしろ!』
田中さん:『……理事長補佐、天井裏で匍匐前進するのはやめてください。埃でくしゃみが出そうです……ハ、ハクション!』
パパの部下のくしゃみが図書室に響き渡った瞬間、忍三の瞳が「暗殺者モード」に切り替わった。
彼女は流れるような動作でカーディガンの中から「しおり(鉄製)」を取り出し、天井の通気口に向かって正確無比に放り投げた。
ガィィィン!!
パパ:『ぎゃああああ! 俺の鼻の頭にしおりが突き刺さったぁぁ!!』
天井からパパと田中さんがドサドサと落ちてきた。
そこに、異変を察知した他の一行も乱入してくる。
一華(賢者):『……あら、抜け駆けは許さないって言ったはずよ、忍三』
乃二(聖騎士):『図書室で密会なんて、風紀が乱れてるわ! 私が正してあげる(混ざる)!』
結五(聖女)がパパに駆け寄り、慈愛の微笑みで「……パパ、また天井裏にいたんですかぁ?」と首を傾げる。その背後には、負のオーラが立ち上っていた。
パパ:『ひっ……結五、違うんだ、パパはただ、本の整理を……!』
ウィンドウが更新される。
[クエスト:図書室の密会、パパの墜落により強制終了]
[報酬:忍三との『袖クイ』記憶。パパの鼻に名誉の負傷]
俺は、騒がしくなった図書室を後にしながら、自分の袖に残る感覚を反芻した。
(……中学生編、これ心臓がいくつあっても足りないな)
勇者レオ。
静かなはずの図書室は、魔王の悲鳴と、ヒロインたちの火花散る戦場へと変わっていた。
第23話、お読みいただきありがとうございました!
忍三の「死角」でのアプローチ、パパの天井裏待機によってあえなく撃沈。
しかし、中学生になった彼女たちの攻勢は、物理的な攻撃(?)から精神的な攻撃へとシフトしつつあります。
さて、次回は第24話!
「地獄の中間テスト! ザギ生徒会長の『恋の抜き打ち検査』」
生徒会長となったザギが、校則を厳格化!
「校内での男女の会話は、申請書を3日前に提出すること」
その無茶苦茶な校則に、レオと5つ子が反旗を翻す!
次回もお楽しみに!




