第18話:秋の運動会! 走れ勇者、パパの仕掛けた「地雷」を飛び越えて
青空の下、万国旗がなびく小学校。
今日は待ちに待った運動会。
しかし、校庭の砂の下には、PTA会長(魔王)が昨夜、田中さんと共に埋設した「対勇者用・鈍足トラップ」が隠されていた。
「レオくん、1位は譲らんぞ(娘の前で格好つけさせんぞ)!」
パパの妨害を、勇者はその超身体能力でどう切り抜けるのか!?
「いよいよ、1年生男子の徒競走が始まります!」
放送委員の声が響く。
スタートラインに立つ俺、レオは、足の裏に伝わるかすかな「魔力の振動」を感じ取っていた。
(……ほう。スタートから3メートル地点に『鈍足』の魔法陣、5メートル地点には『バナナの皮(物理)』か。魔王、相変わらず手が込んでるな)
客席の最前列。PTA会長の腕章を巻いた真央パパ(魔王)が、怪しいスイッチを握りしめ、不敵な笑みを浮かべている。
パパ:『……ククク。レオくん、その位置は「田中特製・踏むと煙が出る落とし穴」の真上だ。1位になろうなどと、100年早い!』
一方、応援席の5つ子たちは、手作りのレオ専用うちわ(魔力強化済み)を振って叫んでいた。
乃二(聖騎士):『レオ! 1位にならなかったら、晩ごはん抜きだからね! 走りなさい!』
輪四(格闘家):『レオ、左から3番目のコースは「地雷」が多いから、2番目へスイッチだよ!』
一華(賢者):『……無駄よ。私がパパのスイッチの配線を、昨日のうちに「爆音のファンファーレ」に書き換えておいたから』
(……一華、お前が一番おそろしいわ)
「位置について、よーい……ドン!」
ピストルの音と同時に、俺は飛び出した。
パパが狂ったようにスイッチを連打するが、魔法陣は発動せず、代わりに放送スピーカーから「レオくん、世界一! レオくん、優勝!」という一華自作の応援ソングが大音量で流れ始めた。
パパ:『なっ!? なぜだ、なぜ発動せん! 田中! 田中ぁぁぁ!!』
田中さん:『……部長、お嬢様が怖くて、配線図を渡してしまいました……(涙)』
俺は第2コーナーへ。
そこには、輪四(格闘家)のアドバイス通り、不自然に盛り土がされた「落とし穴」があった。
俺は前世のスキル**『空中歩行(エア歩行)』を1ミリ秒だけ発動。
地面を蹴るフリをして、罠の上を浮遊して通り過ぎる。
(……魔王。穴が浅いぞ。もっと本気で掘れ)
ゴール手前。最後の難関は、パパが「風紀委員」として立ちはだかる物理的ブロックだ。
パパ:『待てぇぇレオくん! ゼッケンが1ミリ傾いている! 直してやるから止まれ!』
パパが俺を捕まえようと飛びかかってくるが、それを阻止したのは、ゴール地点で待機していた結五(聖女)の「聖なる微笑み(スタン)」だった。
結五:『パパ、危ないですよぉ……♪』
その瞬間、パパは娘のあまりの神々しさに直立不動(石化)となり、俺はその横を疾風のごとく駆け抜けた。
「ゴール!! 1位、レオくん!」
ウィンドウが更新される。
[クエスト:運動会・徒競走、完全制覇]
[報酬:金メダル(プラスチック製)。パパ、校長先生に「運営妨害」で呼び出し確定]
放課後。俺の首には、5つ子たちから贈られた「手作りの特大メダル」が5つも掛けられていた。
重すぎて肩が凝るが、悪くない気分だ。
パパは校長室から「すみませんでしたぁぁ!」という叫び声を上げながら出てきたが、俺が5つ子たちに囲まれて記念撮影をしているのを見て、再び「レオぉぉぉ!!」と血涙を流していた。
勇者レオ。
運動会は、魔王の妨害を「回避」する、最高のレベルアップ・ダンジョンだった。
第18話、お読みいただきありがとうございました!
運動会、パパの仕掛けた地雷(煙玉)を一華が応援ソングに変えるという、娘たちの盤石なサポート。
パパ、PTA会長という立場を使いすぎて、ついに校長先生の逆鱗に触れてしまいました。
さて、次回は第19話!
「秋の遠足! 山登りの頂上で、魔王パパが遭難!?」
5つ子との楽しいお弁当タイム。しかし、パパは一人、レオを驚かせるために「崖から吊り下がる」という暴挙に出て……。
次回もお楽しみに!




