第17話:宿題パニック! 自由研究は「魔導書」か「魔王の自伝」か
「夏休みが……あと3日しかないだと?」
勇者レオ、痛恨のミス。現代の娯楽に溺れ、宿題の存在を忘却。
救いの手を差し伸べたのは、眼鏡を光らせる長女・一華。
しかし彼女が提案したのは、小学生のレベルを遥かに超越した「異世界魔導の論文」だった!?
8月28日。勇者レオ、絶体絶命。
俺の目の前には、白紙の「なつやすみのとも」と、手付かずの自由研究。
前世では魔王軍の軍勢に囲まれても冷静だった俺だが、この白い紙のプレッシャーには勝てない。
(……やばい。算数ドリル、一問も解いていない。現代の数式は、古代魔法の陣より複雑だ……)
そこに、救世主(という名の教育ママ)が現れた。
一華(賢者):『……レオ。その惨状、私の計算通りよ。さあ、今から私の「ハイパー・スパルタ補習」を開始するわ。今夜は寝かせないわよ(意味深な微笑)』
一華は一瞬で俺の部屋を「魔導書院」のように改造。
一華の指導(という名の精神リンク)により、俺の手は自動的に動き、ドリルが秒速で埋まっていく。
一華:『自由研究はどうするの? 蟻の観察? 朝顔?……いいえ、そんなのつまらないわ。レオ、「現代の摩擦係数を用いた火炎魔法の効率的発動に関する考察」を書きなさい。私が下書き(魔導陣)を用意したわ』
(……一華。それ、提出した瞬間に政府の特務機関に拉致されるぞ!)
そんな時、壁を突き破って(※ドアから普通に来てください)真央パパ(魔王)が乱入してきた。
パパは、黄金に輝く巨大な模造紙を抱えている。
パパ:『待て待てレオくん! 自由研究なら、俺が田中を3日間徹夜させて作った「真央家(魔王軍)の華麗なる系譜とその支配領域」という立体模型がある! これを出せば、担任の佐藤先生もひれ伏すぞ!』
(……魔王。それ、ただの「世界の半分を征服しようとした証拠」だろ! 自首する気か!)
パパの模型には、かつての魔王城が1/100スケールで再現され、周囲には「不審者を撃退するための罠」の仕組みまで詳細に記載されていた。
そこに乃二(聖騎士)と忍三(暗殺者)が割り込む。
乃二:『パパの模型なんて古臭いわ。レオ、私の自由研究「校庭の雑草で作る、即効性回復薬」を一緒にやりましょう!』
忍三:『……私は、「学校のセキュリティホールの特定と侵入ルート」……書いた』
(……お前ら、頼むから「普通の」小学生をやってくれ!)
最終的に、俺が選んだ自由研究は、結五(聖女)が提案した「近所の公園で見つけた綺麗な石の標本」だった。
一番無難で、小学生らしくて、安全だ。
……はずだったが、結五が石を磨きすぎたせいで、ただの河原の石が「賢者の石(高純度)」へと昇華し、深夜のレオの部屋から黄金の光が立ち上ることになった。
ウィンドウが更新される。
[クエスト:夏休みの宿題、無理やりコンプリート]
[報酬:一華からの『追加補習(お泊まり)』権。パパの模型、母ちゃんにより「粗大ゴミ」として処分決定]
9月1日。
俺は「賢者の石(標本)」をランドセルに詰め、登校した。
先生に「これ、どうやって作ったの?」と聞かれたら、全力で「バブ(内緒)」で押し通すつもりだ。
勇者レオ。
宿題という名の魔物を討伐した代償は、一華との「徹夜勉強会」による極度の寝不足だった。
第17話、お読みいただきありがとうございました!
宿題に追われる勇者と、暴走するパーティメンバー。
一華の教育ママっぷりが板についてきましたね。そしてパパの渾身の魔王城模型……あえなく母ちゃんに捨てられるのがお約束です。
さて、次回は第18話!
「秋の運動会! 走れ勇者、パパの仕掛けた『落とし穴』を飛び越えて」
徒競走でレオを最下位にするため、パパが校庭にガチのトラップを埋設!?
次回もお楽しみに!




