第16話:勇者の夏休み! 避暑地の別荘は「パパの手作り」ダンジョン
「レオくん、夏休みはうちの別荘へおいで!」
母ちゃんたちのノリで決まった合同旅行。
だが、別荘の地下室では、PTA会長(魔王)が田中さんを動員し、レオを恐怖のどん底に叩き落とす「特設ダンジョン」を建設していた。
水着に、スイカ割りに、そして――深夜の肝試し。
勇者レオ、避暑地で試されるのは「恋の勇気」か「パパからの生存」か!?
高原の爽やかな風。豪華なプール付き別荘。
本来なら最高のバカンスだが、俺、レオは車を降りた瞬間、背筋に冷たいモノを感じた。
(……この別荘、外見はスイス風だが、内装から漂うのは「死者の王」の迷宮と同じ臭いだ)
リビングに入ると、アロハシャツを着た真央パパ(魔王)が、冷えたココナッツジュースを飲みながら待ち構えていた。
パパ:『よく来たな、レオくん。さあ、今日は無礼講だ。プールで泳ぐもよし、バーベキューを楽しむもよし。ただし――夜の「肝試し」だけは、我が家の伝統行事として参加してもらうぞ!』
(……わざわざ伝統とか言い出す時は、十中八九、俺をハメる罠だな)
昼間、プールサイドでは5つ子たちが最新のキッズ水着に身を包み、俺を巡る「水上騎馬戦」を繰り広げていた。
一華(賢者):『レオ、日焼け止めを塗ってあげる。論理的に見て、背中の中心は自分では届かないでしょ?』
乃二(聖騎士):『私が先よ! レオ、私と一緒に浮き輪で流れるわよ。これは「護衛任務」なんだから!』
忍三(暗殺者):『……レオの背後、取った。……水鉄砲(消音仕様)で、狙い撃ち』
(……お前ら、水遊びを暗殺の訓練にするな!)
そして夜。パパがニヤニヤしながら告げた。
「さあ、肝試しの時間だ! ペアはクジ引きで決める!」
パパが差し出した箱。俺が引いたのは、なんと**「5つ子全員+俺」**という、パパの計算ミス(あるいは5つ子の魔力工作)によるハーレムペアだった。
パパ:『なっ!? 田中! クジの細工はどうした! レオくんと田中(落ち武者コスプレ)をペアにするはずだろ!』
田中さん:『……部長、お嬢様方の視線が怖くて、すり替えられませんでした……』
俺たちは真っ暗な森の中のコースを歩き始めた。
だが、そこはもはや肝試しではなかった。
前方の木々から、パパが配置した「電動のガイコツ(田中さん手作り)」が飛び出す。
しかし、それを輪四(格闘家)が「バブー!(正拳突き!)」と粉砕。
忍三(暗殺者)が、暗闇に隠れていたパパの部下たちを、音もなく気絶させていく。
ついにコースの終盤、パパ自らが「巨大な泥の怪物(中身はパパ)」に扮して現れた。
「グオオオ! 勇者レオ……娘たちから離れろ……さもなくばおやつを抜きにするぞ……!」
(……セリフがショボすぎるぞ、魔王)
結五(聖女)がそっと俺の手を握り、聖なる微笑みを浮かべた。
結五:『……レオ様、怖くありませんよ。私が「浄化」してあげますねぇ』
結五が放った強力な「浄化(という名の高圧洗浄)」がパパを直撃。
「ぎゃああああ! 泥だけじゃなくて、俺のプライドまで洗われるぅぅ!」
ウィンドウが更新される。
[クエスト:肝試しダンジョン、物理的に破壊してクリア]
[報酬:5つ子との『吊り橋効果』により好感度が20%上昇。パパの別荘修繕費が100万円確定]
結局、パパはびしょ濡れのまま夜の森で反省文を書かされ、俺は5人に囲まれて満天の星空を眺めることになった。
「……レオ。来年の夏休みも、またここに来ようね」
一華がそっと呟く。
勇者レオ。
避暑地の夜は、魔王の叫び声と、かつての仲間たちの温かい体温に包まれていた。
第16話、お読みいただきありがとうございました!
夏休み恒例の肝試し。パパの渾身の恐怖演出も、元勇者パーティにとっては「格好のレベリング」でしかありませんでした。
結五の浄化シャワー、物理的にも精神的にもパパに効きすぎたようです。
さて、次回は第17話!
「宿題パニック! 勇者の自由研究は、異世界の魔導書(自作)!?」
夏休み終盤。白紙の宿題を前に、一華の「超・スパルタ勉強会」が開幕する!
次回もお楽しみに!




