第12話:給食の時間は戦場!?余ったプリンを巡る聖戦(ジハード)
算数や国語なんて二の次だ。
小学校という名のダンジョンにおいて、最も士気を左右する報酬――それが「給食」。
今日のデザートは、1クラスに3個しか余らなかった「伝説の特製プリン」。
勇者、魔王、そして5つ子の、プライドをかけたスプーン捌きが火を吹く!
4時間目のチャイムが鳴り響くと同時に、教室の空気は一変した。
机を下げ、白衣を纏うその姿は、まるで最終決戦に臨む騎士団のようだ。
(……ふむ。異世界の兵糧攻めに比べれば、この豊かな香りはもはや天国だな)
今日の献立はカレー。そして、クラス全員の視線が集中しているのは、配膳台の端に鎮座する「余った3個のカスタードプリン」だった。
担任の先生が告げる。
「今日はプリンが3つ余ったから、欲しい人でジャンケンしましょうねー」
クラスの男子たちが「よっしゃぁぁ!」と雄叫びを上げる。
だが、俺、レオの『真実の眼』は、教室の四隅に配置された最強の布陣を捉えていた。
一華(賢者):『……レオ、プランBよ。クラスの男子30人のジャンケンの勝率を計算したわ。私が右手を出すタイミングを誘導するから、あなたはそれに合わせて』
乃二(聖騎士):『作戦なんていらないわ。私の威圧感(覇気)で、弱気な奴らから辞退させてあげる!』
忍三(暗殺者):『……先生が目をつぶった隙に、プリンを異次元(机の下)へ……』
輪四(格闘家):『ジャンケンは格闘技! 拳の振りの速さで勝負だよ!』
結五(聖女):『レオ様……もし私が勝ったら、半分こしましょうねぇ……ふふっ』
(……お前ら、たかがプリンに全戦力を使うな!)
だが、そこに「最大のイレギュラー」が発生した。
ガラッと教室のドアが開いたのだ。
入ってきたのは、不自然に白い割烹着を着て、長い髭をつけた給食配膳員……に変装した、真央パパ(魔王)だった。
パパ:『……おっと失礼。給食の「毒味」に参った。PTA会長として、児童の食の安全を守るのは義務だからな。特にこの、プリンという名の甘い罠(勇者を誘惑するもの)は没収だ!』
(……魔王。お前、ついに給食室にまで潜入したのか)
パパは没収という名目でプリンを奪おうとするが、乃二がその前に立ちふさがった。
乃二:『……パパ。これはクラスの正当な報酬よ。……邪魔するなら、今晩のパパの靴下、全部隠すわよ?』
パパ:『……っ!? 乃二、それは「魔滅の禁呪」より痛い……!』
パパが怯んだ隙に、ジャンケン大会が始まった。
「最初はグー、ジャンケン……!」
一華の念話が脳内に響く。
一華:『レオ、次、チョキよ! 全員の筋肉の動きから見て、グーを出そうとしているのは3割、パーが6割よ!』
俺は一華の計算を信じ、チョキを繰り出した。
激戦の末、勝ち残ったのは――俺、一華、そして結五だった。
パパは悔しそうにハンカチを噛んでいたが、俺が手に入れたプリンを見て、結五が聖母のような微笑みを浮かべた。
結五:『さあ、レオ様。あーん、ですよぉ』
パパ:『ぎゃああああ! 職権乱用だ! 教育委員会を呼べ! 1年生の教室で「あーん」は公序良俗に反するぞぉぉ!』
パパの絶叫が廊下に響き渡る中、俺は結五から差し出されたプリンを口にした。
(……甘い。前世の「回復薬」より、ずっと体に染みる味だ)
ウィンドウが更新される。
[クエスト:プリン争奪戦、完全勝利]
[報酬:パパの血圧が20上昇。結五との親密度が上昇しました]
俺は、一華と結五とプリンを分け合いながら、窓の外で田中さん(部下)に担ぎ出されていくパパを見送った。
勇者レオ。小学校の洗礼は、なかなかどうして、甘くて刺激的な味がした。
第12話、お読みいただきありがとうございました!
給食のプリンを巡る戦い。魔王パパ、PTA会長の特権をフル活用(悪用)していますが、娘たちの「パパ嫌い」カードには勝てないようです。
5つ子たちも、レオを甘やかすためなら手段を選ばないあたり、流石は元勇者パーティですね。
さて、次回は第13話!
「地獄の家庭訪問! 担任の先生 vs 魔王パパ」
新任の熱血先生が、真央家(魔王城)に突撃!
パパが仕掛けた「おもてなし(という名の罠)」に、先生は耐えられるのか!?
次回もお楽しみに!




