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異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件  作者: おおりく


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第5話 毒舌な魔導士と究極の二重コピー

カエデの強引なスカウトにより、俺は半ば強制的に彼女のパーティー『紅蓮の牙』に仮加入することになった。リリアは不安そうにしていたが、「ユウトさんの安全を第一に」という条件付きで、渋々了承してくれた。


「いいか、ユウト。俺のパーティーは弱虫はいらねえ。それに、スキルレベルが低い奴はすぐに置いていく」


カエデはギルドの掲示板から、街からほど近い場所にある『初級ダンジョン:苔むした坑道』の討伐依頼を乱暴に剥がした。


「さあ行くぞ!パーティーのもう一人に挨拶してもらおう」


カエデに連れられて行ったのは、ギルドの隅で一人、魔導書を読み込んでいる少女だった。真っ黒なローブを深々と被り、顔はほとんど見えない。髪は青く、見るからに神経質そうな雰囲気を漂わせている。


「おい、ルナ。新しいメンバーだ。ユウトだ」


カエデがそう紹介すると、ローブの少女――ルナは顔を上げ、俺を一瞥した。その視線は氷のように冷たい。


「ふん。スキルレベル1の『模倣者』?冗談でしょう。ゴミ収集員の募集ですか、カエデ。私は、足手まといの世話をするためにパーティーに入ったわけじゃない」


ルナ・アークライド。彼女は街でも有名な『氷結の魔導士』で、攻撃魔法のエキスパートらしいが、その口調は噂通りの毒舌だった。


「まぁそう言うな。こいつは面白い動きをする。それに、ルナのスキルを見たら、こいつはすぐに使えるようになるかもしれないぜ」


カエデがニヤニヤしながらルナを煽ると、ルナはさらに不機嫌になった。


「私の高度な魔法を、そんな雑魚スキルでコピーできるとでも?笑わせないで。もし私が、私の『絶対零度アブソリュート・ゼロ』を発動させたら、貴方なんて一瞬で凍死しますよ」


「まぁまぁ、実戦で試せばいいさ!」


カエデは無理やり俺たちをダンジョンへ連れ出した。リリアは街に残るため、一時的だが、俺の周りは戦闘狂と毒舌魔導士という、非常に刺激的な組み合わせになった。


『苔むした坑道』の入り口は、巨大な岩に開いた亀裂のようだった。中に入ると、湿った土とカビの匂いが鼻をつく。


「前衛は俺だ。ユウトは俺の後ろにつけ。ルナ、援護準備」


カエデは大剣を抜き、先頭を進む。すぐに、ダンジョン最初の敵である『コガネムシ(ジャイアント・ビートル)』が現れた。体長50センチほどの巨大な甲虫で、硬い甲羅を持っている。


「邪魔よ。氷結弾フロスト・ボルト!」


ルナが杖を一振りすると、青白い魔力の弾丸がコガネムシに命中し、その動きを一瞬だけ凍らせた。


【スキル:氷結弾フロスト・ボルトを模倣しました】


ルナのスキルを見た瞬間、俺の紋章が光り、すぐにそのスキルを獲得した。


しかし、カエデは待たない。


「遅いぞ、ルナ!終わりだ!」


カエデは雄叫びを上げ、大剣に赤い魔力を纏わせた。


紅蓮一閃スカーレット・スラッシュ!」


カエデの剣は、凍って動きの鈍ったコガネムシを一刀両断し、討伐した。


俺はすぐに試したくなった。


氷結弾フロスト・ボルト!」


俺の掌から放たれた氷結弾は、ルナのものより遥かに威力が弱く、コガネムシの甲羅に当たっても、ただ少し動きを鈍らせる程度だった。


「やはり、その程度ね」ルナが冷たく言い放った。


「くそ…」


初期値が低すぎるのか。それとも、魔力の扱いが未熟なのか。


さらに奥に進むと、今度は三匹のコガネムシが現れた。


「ルナ!」カエデが叫ぶ。「一匹凍らせろ!俺が残りをやる!」


ルナは渋々、一匹に氷結弾を命中させた。しかし、残りの二匹が、カエデを挟み撃ちにする形で襲いかかった。


危険だ!


その瞬間、俺の頭の中に閃きが走った。


肉体強化フィジカル・ブースト!…そして、氷結弾フロスト・ボルトを!」


俺は、左手に肉体強化を発動させ、右手に氷結弾の魔力を集中させた。そして、強化した左手で、俺に向かってきたコガネムシを弾き飛ばした。


ドン!


甲羅の硬いコガネムシが、まるで鉄球にぶつかったかのように、呻きをあげて壁に激突した。


そして俺は、よろめいたそのコガネムシに向かって、右手の氷結弾を近距離で連射した。


ダダダダッ!


「…え?」ルナが驚きの声を上げた。


魔導士は、魔法の詠唱や発動に集中するため、身体能力強化系のスキルを同時に使うことはほとんどない。だが、俺は魔法と身体能力強化を、同時に、しかも独立した部位で発動させたのだ。


肉体強化で防御と回避、そして攻撃を行い、その隙間を埋めるように氷結弾を連射する。


それは、魔導士の柔軟性と戦士の攻撃力を、俺一人で同時に持つという、究極の複合スキルだった。


「すごい!ユウト、今の動き…!」


カエデは目を輝かせ、俺の肩を強く叩いた。


一方、ルナは信じられないといった様子で、俺の右腕と左腕を交互に見つめていた。その冷たい表情の奥に、初めての困惑と、そして微かな探求心が見えた。


「まさか…『模倣者』は、コピーしたスキルを、同時に二つ、そして複合的に使えるというの…?」


俺のチートスキルは、最悪のスタートから、ついに誰も到達し得ない「スキルの二重奏」という領域に足を踏み入れたのだった。

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