第43話 運命改変の力と世界の終焉
俺の全身から放たれる『ユニティ・ドライブ』の光は、金色と白の調和に満ちていた。それは、愛するヒロインたちの存在意義を永遠に守り続けるという、俺の愛の誓いそのものが具現化した力だった。
俺の防御を無力化されたアザゼルは、初めて感情を露わにした。
「許さんぞ、模倣者!貴様は、存在意義を奪うどころか、愛する者たちの運命を勝手に創造しようとしている!それは、神の領域への冒涜だ!」
アザゼルは、『均衡の守護者』の真のリーダーとして、その秘められた力を解放した。
「貴様には、『均衡の守護者』が持つ真の力を見せてやろう!世界の歴史は、不確定要素を排除し、正しい軌道に戻されなければならない!」
アザゼルは、その漆黒の瞳に闇の魔力を集め、俺たちに向けて空間と時間そのものを捻じ曲げるような、巨大な魔力の渦を放った。
『ディスロケーション・ヒストリー(歴史の強制排除)』。
それは、俺たち四人を『世界の歴史』から完全に切り離し、『存在しない時間軸』へと送るための、究極の排除スキルだった。
「ユウトさん!この闇に触れてはいけません!この力は、私たちの記憶も存在も、世界から消し去ろうとしています!」リリアが叫んだ。
「チッ、時間属性か!こんなデカい魔力を、どうやって捌くんだ!」カエデが、炎の剣を構えるが、空間そのものが敵では、なす術がない。
ルナは、俺の隣で冷静に、しかし焦燥した声で指示を出した。「ユウト!貴方の『時間掌握』と『ユニティ・ドライブ』を複合させるのよ!世界から排除される前に、私たちを時間軸に『固定』しなさい!」
『歴史の強制排除』の闇の渦が、俺たちに迫る。この力に飲み込まれれば、俺たちは誰の記憶にも残らない、架空の存在になる。
俺は、ルナの指示に従い、七属性の調和の力を、新しく得た時属性に集中させた。
ユニティ・ドライブ + 時間掌握 + 光の安定核。
「僕の愛の調和は、運命改変の力だ!僕と、僕が愛する者たちの『現在』は、誰にも奪わせない!」
俺は、『ユニティ・ドライブ』によって調和した七つの魔力を、時間軸に沿って光の楔のように打ち込んだ。
『ステイシス・アフィニティ(永遠の愛の固定)』。
俺たちの周囲の空間が、時の流れから一時的に切り離され、純粋な光の結界で包まれた。アザゼルの歴史排除の渦は、その光の結界に激しく衝突するが、愛の調和によって固定された俺たちを、時間軸から引き剥がすことはできない。
アザゼルは、俺の新しい力に戦慄した。
「バカな…歴史の強制排除を、愛の力で…!貴様は、世界の法則を超えている!」
俺は、リリア、カエデ、ルナを背後に守りながら、究極の単一属性の力を、今度は攻撃へと転換させた。
「アザゼル。貴様の均衡は、僕の愛の創造の前で、終焉を迎える!」
俺の拳に、七属性全てを調和させた魔力が収束する。それは、一点の光でありながら、世界を再構成できるほどの密度を持っていた。
『ユニティ・ストライク(究極調和の一撃)』。
俺は、愛するヒロインたちの存在意義をかけた渾身の一撃を、『均衡の守護者』のリーダーに叩き込んだ。
ドォオオオオン!!!
純粋な調和の光は、アザゼルの全身を包み込んだ。それは、破壊ではなく、彼の闇の魔力の『強制的な調和』だった。アザゼルの闇は、俺の光によって無力な中和魔力へと分解され、彼の体から全ての均衡を乱す力が失われた。
アザゼルは、膝をつき、力なく倒れた。
「これが…愛の力が持つ真の調和…なのか…」
世界の均衡を司る者は、愛と調和によって、ついに打ち破られた。
俺たちの勝利は、世界の歴史が、『均衡の守護者』の支配から解放されたことを意味していた。
しかし、戦いが終わった後、ルナはギルドの地下から持ち出した古文書のページをめくり、顔色を変えた。
「ユウト!戦いは終わっていないわ…『均衡の守護者』のリーダーが倒れた時、世界の歴史は、強制的に『再起動』をかける…!」
ルナの指差す古文書には、こう記されていた。
『均衡が崩れた時、世界は、始まりの光を求める。世界の再起動が始まる』。
俺たちの愛の勝利は、世界そのものの消滅という、究極の試練を招き寄せていたのだ。




