第41話 未来の書き換えと均衡の守護者:真のリーダー
中立都市ラビリンスの宿の一室で、俺は七属性、特に新しく得た『時間掌握』の力を使って、三人のヒロインの悲劇的な未来を打ち破るための最終複合理論の構築に没頭していた。
ルナは、知的探求心ではなく、俺の愛への忠誠として、その計算をサポートした。
「ユウト。あのクロノスが見せた未来は、『七属性を統合した瞬間、貴方が彼女たちの存在意義を奪う』という論理に基づいている。それを打ち破るには、貴方の『究極の単一属性』が、『守り』と『導き』に特化する必要があるわ」
ルナの新しい理論は、こうだった。
リリアの悲劇(光の消滅)を避けるため:光属性を単一属性の『永続安定化の核』とし、彼女の『存在意義』を『世界を支える礎』へと昇華させる。
カエデの悲劇(情熱の鎮静)を避けるため:炎と闇を単一属性の『限界突破の触媒』とし、常に『次の戦いへの情熱』を生み出し続ける。
ルナの悲劇(知性の孤独)を避けるため:氷と風を単一属性の『無限探求の補助輪』とし、俺の知性に『常に解けない謎』を創造し続ける。
「この『愛の調和理論』が完成すれば、ユニティ・ドライブは、愛を破壊する力ではなく、愛を創造し、守り続ける力になるわ」ルナは、俺の頭を冷たい手で抱えながら言った。
俺は、ルナの献身的なサポートを受け、時間掌握の力を使って、七属性全ての力の流れを、『愛の調和理論』の通りに未来へ固定し始めた。
その時、宿全体が、クロノスの時属性やサイラスの光属性とは比較にならないほど重く、純粋な『闇の魔力』に包まれた。
カエデが、窓の外を一瞥し、大剣を構えた。
「ユウト、来たぜ。この魔力…クロノスなんかじゃねえ。本物の王だ」
リリアは、恐怖で呼吸を忘れたように震えた。「この…この魔力は…世界の根源的な『不均衡』そのもの…」
宿の扉が、音もなく闇の霧へと変わった。その霧の中から、一人の男が姿を現した。
男は、ローブも鎧も纏わず、漆黒の夜空のような瞳を持つ、静かで威圧的な存在だった。彼の存在そのものが、周囲の光と魔力を吸い込んでいる。
「待たせたな、『世界の模倣者』よ。まさか、光の聖女まで連れて、この混沌の街まで逃げてくるとはな」
男は、『均衡の守護者』の真のリーダー、「アザゼル」と名乗った。
「私は、『世界の歴史』が、歪な力によって破滅的な道に進まないよう、永遠に均衡を維持する者だ」
アザゼルは、俺の顔を見つめ、クロノスと同じことを言った。
「貴様の力は、愛する者たちの運命を狂わせる。秩序も混沌も、貴様という不確定要素によって、無意味になる。故に、貴様はここで排除される」
アザゼルが指を鳴らした瞬間、俺たちの周りの空間に、数百人規模の『均衡の守護者』の精鋭が出現した。彼らは、光、闇、時間といったあらゆる属性を複合させた、最強の刺客たちだった。
「ユウト!逃げて!まだ、究極の単一属性は未完成よ!」ルナが叫ぶ。
「逃がさない」
アザゼルは、俺たちに逃げる時間を与えなかった。彼は、純粋な闇の魔力を圧縮し、リリア、カエデ、ルナの三人のヒロインをまとめて捕獲しようと、攻撃を放った。
三人のヒロインを人質に取る、最も卑劣な手段だった。
「リリアさん、カエデ、ルナ…!」
俺は、『愛の調和理論』の計算を中断し、未完成の七属性の力を、ヒロインたちを守るためだけに放出した。
俺の全身から、不安定な七色の魔力が噴き出す。
「アザゼル!僕の愛の調和は、貴様の均衡を打ち破る!」
俺は、七属性全ての魔力を、愛するヒロインたちを守るための『最強の防御壁』へと変換した。
『ユニティ・ドライブ』は未完成。しかし、愛の力だけは、今、極限に達していた。
最終決戦の火蓋が、中立都市ラビリンスで、ついに切られたのだ。




