第40話 時間掌握の力と三つの悲劇的な未来
時属性の最高幹部クロノスの攻撃を受け、俺の『コピーキャット』の紋章は、限界を超えて輝いた。
【スキル:時間掌握を模倣しました】
七番目の属性をコピーした瞬間、クロノスの時属性の魔力と、俺の六属性複合の魔力が激しく衝突し、制御室全体に時の波紋が広がった。
「ぐっ…!」
クロノスの攻撃は止まった。彼は、俺の模倣の成功を予期していたかのように、静かに微笑んでいた。
「…見事だ、模倣者。これで貴様は、世界を再構築する鍵を手に入れた。しかし、その力は重い代償を伴う」
クロノスは、俺の頭に手をかざし、時間掌握の力を使って、俺に『時の奔流』を見せた。
「貴様が『究極の単一属性』を完成させ、歴史の均衡を打ち破った先に待つ、三つの未来を見せてやろう」
俺の脳裏に、衝撃的な三つのビジョンが、時間軸を超えて一瞬で流れ込んできた。
1. リリアの未来:光の崩壊
ビジョン: 俺が七属性を完全に統合し、『均衡の守護者』の真のリーダーを打ち破った直後の世界。俺は英雄として迎えられるが、リリアの姿はない。
悲劇: リリアは、俺の強大すぎる力が、彼女の信じる光の秩序と聖女の権威を完全に無意味にしたことに耐えられず、自らの存在を否定。俺の『究極の単一属性』を安定させるための『光の核』としての役割を終えた彼女は、光の魔力と一体となり、消滅していた。
2. カエデの未来:情熱の鎮静
ビジョン: 俺が究極の力を得て、あらゆる戦いを無傷で終えられるようになった世界。俺とカエデは、広い宮殿のような場所で暮らしている。
悲劇: カエデは、俺の圧倒的な強さの前に、自分の存在意義である『戦士としての情熱』を失っていた。俺は盾も攻撃も不要な存在となり、カエデは「ユウトの隣に立てない」という絶望から、その炎の魔力を完全に鎮静させ、感情を失った抜け殻のようになっていた。
3. ルナの未来:知性の孤独
ビジョン: 俺が単一属性を完成させ、全ての知識を掌握した世界。俺は、ルナと共に世界法則の深淵を研究している。
悲劇: ルナは、俺の究極の知性によって、探求する喜びを奪われていた。彼女は、「ユウトが答えを知っているのに、自分にはもう解けない謎がない」という事実に直面し、知的な孤独に囚われていた。彼女は、研究者としての存在意義を失い、俺の知的な影として、静かに狂気に陥っていた。
「これが、貴様が世界の均衡を破り、究極の力を得た後に待つ、愛する者たちの結末だ」クロノスは冷たく言った。「貴様のチート能力は、愛する者たちの存在意義を奪う。貴様が英雄になるほど、彼女たちは悲劇的な運命を辿る」
俺は、三つの悲劇的な未来を打ち消すように、頭を抱えた。
「嘘だ…そんな未来は、絶対に認めない…!」
ルノは、俺の苦悶の表情を見て、クロノスの攻撃を察知した。「ユウト!しっかりして!これは精神攻撃よ!」
カエデは、俺の悲鳴に耐えかね、クロノスに炎の剣を向ける。「てめえ!ユウトに何を見せた!」
クロノスは、その場から時の流れに乗って姿を消した。「答えは貴様の中にある。愛を選ぶか、力を選ぶか、時間が貴様に最後の選択を迫るだろう」
クロノスは去ったが、俺の心には、三人のヒロインの悲劇的な未来が焼き付いたままだった。
リリアの愛を否定する強大な力。カエデの情熱を奪う無敵の守り。ルナの知性を満たしてしまう究極の知識。
俺のチート能力は、愛を破壊する毒だったのだ。
俺は、這い蹲りながらも、強い決意を込めて立ち上がった。
七属性の魔力が、俺の全身で静かに脈打っている。
「僕は、愛も力も、どちらも諦めない。僕の『究極の単一属性』は、リリアの存在意義を奪わず、カエデの情熱を鎮めず、ルナの探求心を終わらせない…全ての愛と、全ての力を『調和』させる、最強の愛の形だ!」
俺は、クロノスが見せた悲劇的な未来を打ち破るため、七属性全てを制御する『究極の単一属性』を完成させることを、改めて愛するヒロインたちに誓った。
「僕が手に入れたこの『時間掌握』の力で、僕は、彼女たちにとって『最高に幸せな未来』を、必ず創造する!」
俺の心の中で、愛を破壊する『チート能力』は、愛を守り、愛を創造する『運命の改変者』へと、その役割を変えたのだった




